2021年10月23日土曜日

何倍の何倍はたしざん? かけざん?

 3年生の子どもたちに,次の問題を提示します。

「紙テープがあります。赤は青の2倍の長さです。黒は赤の3倍の長さです。黒は赤の何倍ですか」

問題に出会った子どもからは,「?」「頭の中がごちゃごちゃしてきた」などの声が聞こえてきました。問題場面が複雑で,うまくイメージができないのです。

そこで,頭の中のごちゃごちゃを解消するにはどうしたらよいのかを考えます。子どもたちは「図にすると分かりやすい」と考えました。

子どもたちは右のような図を描きます。これで,各色のテープの関係がかなり整理されてきました。

すると今度は子どもから,「5倍だね」「えっ?6倍でしょ」と,青と黒のテープが何倍の関係に当たるのかを考える声が聞こえてきます。

そこで,「5倍と考えた友だちの気持ちは分かるかな?」と,5倍の気持ちの読解を行います。

「青から赤が2倍。赤から黒が3倍。だから,これを合わせたら5倍になる」

この説明に子どもたちも納得です。しかし,「でも!」とこの論理を否定する声が聞こえてきます。一方,「5倍でしょ」という声も聞こえてきます。

いったい5倍なのか,6倍のなのか? 子どもの中から,「だったら長さを入れたらいい」と声が聞こえてきます。ここまでは具体的な長さがない状態で,青と黒の関係を考えていました。しかし,これでは5倍か6倍かがはっきりとしません。そこで,具体的な数値を入れれば分かるというアイディアです。

「もし青が1㎝なら,赤は2倍の2㎝。そうすると,黒は2㎝の3倍だから6㎝」

「だから,6÷1の計算をすれば6倍だと分かる」

具体的な数値で考えることで,子どもたちも青を黒の関係が6倍になることを全員が納得をしました。

抽象的な場面に意図的に出会わせることで,具体的な数値を使って考える良さを子どもたちは実感していくことができました。

その後,テープ図を作図しても6倍の関係が見えることも分かりました。