2019年1月17日木曜日

分数のたしざんから引き算へ,そして・・・

3年生の子どもたちに,右の図を提示して次のように投げかけます。
「何mあるでしょうか?」

前回のブログの次の時間です。長さを分数で表現することはすぐにできます。「3/4m」です。

ここで子どもから,「式でもできる」と声があがります。前時も式化を行いました。同様の発想が,ここでも生まれてきました。

多くの子どもが考えた式は,
「1/4+1/4+1/4」
でした。青い部分の長さを順にたしたのです。

「まだ,別の式があります」と声があげる子どもが何人かいました。
「1/4+2/4」
という式を発表する子どもがいました。図の右端の2つの青い部分をまとめて2/4mと見たのです。ところが,この見方は子どもに難しいようです。2つの青をつなげて見てしまうと1/2mになるからです。分割する縦線は見えることから,子どもたちは右端の青い部分が2/4mになることを納得していきました。

たしざんの式には,2種類あることが見えてきました。すると「だったら引き算にもできる」という声が聞こえてきました。一方,「引き算?」という疑問の声も聞こえてきました。
引き算の子どもたちは,次のような式を考えていました。
「1m=4/4m 4/4−1/4=3/4m」
式の中の1/4が何を意味するのかが難しかったようです。少しずつ時間をかけて,式の意味を共有していきました。

式の意味が見えた後,子どもたちは次のように話し合いを進めていきました。
「分数の引き算でも,分母は変わらないね」
「これは,分数のたしざんと同じだね」
「前回の勉強と今回の勉強は同じだったね」
「だったら,分数のかけ算も分母は変わらないのかな?」
「???」

子どもたちは,分数の引き算とたしざんに共通する点があることを見つけてきました。発見した共通点が,分数のかけ算にもあてはまるのだろうかと発想を広げたのです。類推的な見方・考え方が生まれた瞬間だと言えます。子どもたちの素晴らしい発想力に驚きました。

さて,分数のかけ算は5年生の学習内容です。しかし,子どもの発想に寄り添った展開を進めていくと,子どもが教科書を超えて発想を拡張していくのです。分数のかけ算の計算自体は3年生にはできません。しかし,立式はできます。「1/4+1/4+1/4」をもとにすれば,式は1/4×3であることがわかります。また,この式の答えもたしざんと同じなので3/4mであることがわかります。分母に着目すると,「4」になるのでたしざん・引き算と変わっていないことが分かります。

分数のたしざんの場面をきっかけに,分数の引き算・分数のかけ算と子どもたちが場面を発展させていくことができた1時間となりました。