2019年1月29日火曜日

子どもが発展的に場面設定する「変わり方」(4年)の授業

 4年生「変わり方」単元の第1時間目です。子どもたちに,次のように投げかけます。

「六角形をつなげていくと?」

黒板に右の図形を提示します。六角形が2列つながった図です。子どもたちにも,ノートに作図をさせます。子どもたちは,「面倒だなあ」と声をあげながら作図を行っています。「面倒だなあ」という気持ちを持たせることが,この変わり方の学習では大切なポイントです。

子どもたちに作図を終わったところで,次のように子どもたちに投げかけます。

「まわりの辺は何本ですか?」

子どもたちは,図を指さしながら本数を数えます。見ただけではすぐには判断ができないからです。やがて,「12本だ」と声があがります。

次に,先ほどの図形の右側に,さらにもう1列六角形をつなげていきます。この作図もノートに描かせます。先ほどにも増して「面倒」という声が聞こえてきます。
子どもたちに,まわりの辺の数を尋ねます。ここでも子どもたちは,図を指さしながら辺の数を数えます。やがて「18本」と声があがります。それと同時に「きまりがある」「式がある」という声も聞こえてきました。

「6本ずつ増えている」
「最初の六角形は6本。2列になると12本で6本増えた。3列になると18本。今度も6本増えた」
「だったら,もう1列増えたら24本になる」

六角形の列と本数の間にきまりを見つけたのです。さらに,きまり発見をきっかけに,まだ目の前にはない4列目の本数を予想する声が生まれてきました。類推的な思考が発揮された瞬間です。
そこで,4列目が本当に24本になるのかを,作図で確認します。この作図も面倒です。やがて,「やっぱり24本だ」という喜びの声が聞こえてきます。子どもたちに予想通りの結果が生まれました。それと同時に,「全部×6になる」という声があがります。新しいきまりに気づいた声です。

「1列目は6本だから,1×6。2列目は12本だから,2×6。3列目も3×6で18本。4列目も4×6で24本」
「だったら5列目も,5×6で30本」

変わり方の学習では,教師から表を提示して,見えてきたデータをそこに当てはめてきまりを発見させる展開があります。しかし,このような展開を行えば,表に当てはめなくても子どもたちはきまりを発見することができます。また,子どもたちの各データへの見方・考え方は表という枠組みがないだけで,それと同様の活動を進めているのです。

さて,データを横方向・縦方向と2つの見方で見つめることできまりを見つけた子どもたちです。今度は,このきまり発見から,次の声が生まれてきました。

「このきまりは,四角形でも五角形でも当てはまると思う」

六角形とは異なる図形にも,このようなきまりがあるのではないかと考えたのです。深い学びの世界へと,子どもたちの学びのベクトルが進んでいきました。
そこで,「四角形だったら,どんなふうに図形を作図するかな?」と,つながり方そのものを子どもに考えさせました。
子どもたちが考えた,四角形のつながり方の予想図は様々でした。大別すると,右の3種類です。1種類ずつ検討します。すると,左と真ん中は,いずれも「1列目4本,2列目8本」となります。列の数×4というきまりが見えてきます。六角形の縦のきまりと同様のきまりです。この2つの図形を見つめていた子どもが,おもしろいことに気がつきます。
「真ん中の形は,回したら左と同じ形だよ。だから同じきまりなんだよ」
確かに同じ形です。

右の図形は,「1列目4本」ですが,2列目が問題でした。列同士の結合部分の中途半端な縦の辺をどのように数えるのかが問題となりました。中途半端な長さをそれぞれ0.5本と数えると,「2列目8本」となります。この見方だと,左と真ん中と同じ結果になります。

六角形のつながり方を考える学習を通して,変わり方の見方・考え方や,場面を発展的に設定していく深い学びの世界も生まれた1時間となりました。