2021年5月10日月曜日

1000に近い方が勝ちゲームをしよう!

3年生「たし算とひき算」の導入場面です。


3種類のパターンブロックを使って,「1000に近い方が勝ちゲームをしよう」と投げ掛けます。次の3種類のブロックを子ども達に配布します。使用したのは,パターンブロックです。


六角形(100オザ):4個 

○四角形(10オザ):9個 

○三角形ブロック(1オザ):10


 合計500オザがゲーム開始当初の持ちオザです。最初の自分の得オザを考える時点で,子どもからは,次のこえが聞こえてきました。


「100オザが4個なら,400オザになる」

「10オザが9個なら,90オザ」

「400オザと90オザをたせば,490オザになる」


 これらの声は,位取り記数法の考え方に沿ったものです。ゲームのルールを確認する活動の中から,本単元で大切な位取りの見方が生まれてきました。


 ジャンケンをして,パーで勝ったら100オザ,チョキで勝ったら10オザ,グーで勝ったら1オザ分のブロックが相手からもらえます。ジャンケンは5回。

 このゲームは個人戦ではありません。隣の席の友だちとの合計が1000オザに近いペアが勝ちです。従って,ジャンケンで負け続けても必ずしも悲しむ必要はないのです。


 5回戦のジャンケンが始まります。子ども達は相手を変えながら,ジャンケンを進めていきます。5回戦が終わった後,得オザをノートに書かせます。各ペアの得オザを合計しますが,百の位同士のたし算は未習です。そこで,「211オザ」「350オザ」を獲得したペアの計算方法を全員で考えていくことにしました。


 この場面で「筆算でできる」という声もあがりました。筆算は抽象度が高く形式的な計算方法です。この場面で大切な数の仕組みを考えるには,筆算を使わない方法を考えることに価値があります。そこで,筆算を使わない計算方法を考えさせました。


 多くの子ども達が考えたのが,右のような計算方法です。同じ位同士の数を線でつなぎ,それらを計算していく考えです。ここで引かれた線の意味を,ていねいに読解していきます。この読解活動の中で,子ども達は線を引く順番にこだわりました。


「百の位から線を引いちゃあ,ダメだよ」


「一の位から引かないと,繰り上がりがあったら困るよ」

「この計算は繰り上がりはないけど,繰り上がりがあると計算が大変になるから,一の位から計算しないとだめだよ」

「どこで繰り上がりがあるか分からないから,一の位から計算しておいた方がいいよ」


繰り上がりの存在を意識することで,計算の手順を見直す声が生まれてきました。これは「位分け分け」と2年生で名付けた計算方法です。子どもたちは,「位分け分け」なら「簡単に計算ができる」「位が大きくなるまで品さんはもう必要ない」と考えています。本当に筆算は必要ないのでしょうか?


本実践は,『板書で見る全単元・全時間の授業3年上」(東洋館出版社)のアイディアを参考に展開をアレンジしたものです。