2022年6月11日土曜日

分子が・・・

 子どもたちに次の問題を提示します。

「2/3分で1/4Lのアイスティーを作るマシンがあります。1分では何Lのアイスティーを作ることができるでしょうか」

式は1/4÷2/3となります。この計算は,1/4を倍分することで計算ができることは既習です。従って,(1×6÷2)/(4×6÷3)=3/8(L)と計算ができます。念のために,図でこの計算結果が正しいのかを確認します。この図が子どもには難しいですね。筑波大附属小の夏坂先生もご講演の中で「分数の面積図は難しい」とおっしゃっていましたが,まさにその通りです。

さて,面積図でも答えが3/8(L)になることを確認することができました。ところが,計算の際に倍分を行ってからわりざんを行う手続きに対して,前回の学習から「めんどうだ」と声があがっていました。そこで,この声を子どもたちに投げかけます。

「倍分すると面倒だという人がいたね。だったら,なにかいい方法はあるかな?」

するとM男が声をあげます。

「分子の計算の6÷2は3になる」

この説明で,「あー」と納得の声やその先の説明を予測する声が聞こえてきました。一方,まだM男の気持ちが見えていない子どもたちもいました。そこで,この部分をていねいに展開していきます。

「同じように分母の6÷3は2になる」

「そうすると式は,(1×3)/(4×2)になって,÷3/2の分母と分子が反対になった」

「逆数をかけるということになる」

倍分による式変形の中から,逆数をかける計算につながる部分をM男は見つけてきたのです。じっくりと式を見つめたよい視点でした。

この他にも,次のような見方も生まれてきました。

「前の分数÷整数の勉強で÷3→×1/3だったのは,÷3/1→×1/3と考えたらすでに逆数をかけることになっていた」

「1/4÷2/3=(1/4)/(2/3)と考え,倍分方式で2/3をかけると分母が消えて,1/4×2/3になる」

「2/3分を1分にする問題だから,4ます関係表のように考えると,2/3分に3/2をかければ1分になるから,式は2/3×2/3になる」

分数のわり算を逆数をかける式に変身して計算を行ってもよい意味を,式の中や問題の意味から見いだすことができた時間となりました。