2025年6月17日火曜日

体積もできるかな?

「辺の長さが分数でも立体の体積は求められるかな?」
直方体の辺の長さが分数になっても,体積は求められるか尋ねます。縦横高さが分数値の辺の長さを提示します。
多くの子どもたちは,3本の辺の長さを一気にかけ算をして計算しました。一方,最初の2つのかけ算を行った後で,その答えと3つ目をかけ算する子どももいました。その子は,「なるほど,そんなやり方もあるのか」と感心していました。

その後は,「仮分数でもできるよ」の声を受けて,分数の範囲を拡張して計算を進めていきました。


 

2025年6月16日月曜日

大きいのはどっち?

「大きい方が勝ちゲームをしよう」
このように子どもに投げかけます。「3/7×□」の□に入る数字を,赤いカードを裏返して決めていく2チーム対抗ゲームです。

最初は,かけられる数の3/7が固定されています。従って,赤いカードが裏返されるたびに,「あー」「終わったー」などの声が聞こえてきました。
「終わったー」という声は,1よりも小さいカードが引かれた時に生まれてきました。一方,「あー」という喜びの声は,1よりも大きいカードが引かれた時に生まれてきました。

後半は,かけられる数もかける数も赤いカードから決めるという展開に変更しました。このルール変更で,一層わくわく感がアップしました。

赤いカードには小数値も混じっています。子どもたちは,それを分数に置き換えることで計算していました。ところが,計算結果の両者の分母が異なった場合は,通分ではなく再度小数に置き換えていました。状況に応じて数値を使い分けることも大切な見方・考え方ですね。


 

2025年6月15日日曜日

関西math勉強会盛り上がりました!

 昨日は兵庫県川西市で関西math勉強会が行われました。

3年生のわり算の模擬授業対決が2本,そして,ワークショップが6本と私の講演が行われました。

関西地区の若手の先生方が大活躍をしてくれました。中でも和歌山県田辺市の先生方のパワーがすごかったですねえ。人口約7万人の自治体にこれだけたくさんの熱心で力のある先生がいることに驚きました! きっとよい学びのサイクルができいるのでしょうね。他地域の先生方もうかうかしていられませんね。

懇親会では次回の企画と担当者があっという間に決まりました。このスピード感は,やる気のあるメンバーがいるからこそですね。これからますます発展していくスタートアップ企業のようですね。



2025年6月14日土曜日

帯分数でもできるかな?

 「辺の長さが帯分数でも長方形の面積は求められるかな」

このように子どもたちに投げかけます。多くの子どもは,「仮分数に直したら簡単」と考えます。

そこで,縦1・1/2m,横1・1/3mの長方形の面積を求めます。式から答えを求めることは簡単にできました。答えは12/6mです。しかし,この答えの正しさは図で確かめる必要があります。そこで,図で答えを確かめます。

図に線を入れて分数表記の面積を考えます。今回の問題場面では,分子が長方形全体になります。一方,分母は分子部分よりも小さくなります。これが,これまでの分数の図とは異なる点です。分母は「基準は1」であることから,縦・横1mの正方形部分に当たることを,時間をかけて共有していきました。

式と図を往還する学びが,分数学習では特に大切ですね。


2025年6月12日木曜日

図に面積が見えるかな?

「縦8/9m,横3/4mの長方形の面積を求めよう」
このように投げかけます。式を使って,答えが24/36㎡になることはすぐに分かります。

そこで,「図の中に24/36㎡は見えるかな?」と投げかけます。子どもたちは,長方形の図の中に分割する直線を引いていきます。ところが,困っている子どもがいました。一方,早々に線を引き終えた子どももいます。

そこで,多くの子どもが作図した図を提示します。縦方向に4分割,横方向に9分割された図です。そこで,「この図でいいね?」と念押しをします。

すると,「あれ?」という声が聞こえてきます。一方,「これでいいじゃん」という表情の子どももいます。
そこで,「あれ?」と疑問を抱いた子どもが説明を始めます。
「これだと4/4mに見えるよ」
「3/4mは4つに分けた3つ分。でも,これは4つに分けた4つ分」
「じゃあ,どうしたらいいの?」

この図では間違っているようです。そこで、図を修正します。今度は縦方向に3分割,横方向に8分割します。これなら3/4mに見えると子どもたちは考えました。この図の中に,分子に当たる24も見えてきます。

では,分母はどこに見えるのでしょうか。ここが次の問いになります。このままでは,分母は見えません。「?」が大きく子どもに浮かびます。

すると「だったら伸ばしたら」と声がします。オレンジ色のように図を外側に拡張していきます。しかし,この図を見てもその意味が読解できな子どももいます。ここは時間をかけて共有していきます。

「このままだと,横は3/3mに見えてしまいます」
「分母は1つ分だと№33で勉強したから,分母はもとの数」
「1つ分増やすと,4つに分けた3つ分が見える」
「縦も同じように1つ分増やすと,9つに分けた8つ分が見える」

これまでの学習は,分母に当たる部分は図の中に最初から位置づいていました。しかし,今回の問題は最初の図の中に,それは見えません。そこが難しい部分でした。外側に拡張することで,分母が見える展開でした。

 

2025年6月11日水曜日

仮分数が混じっていても大丈夫?

「仮分数が混じった問題も本当に前のやり方でできるかな?」
このように子どもたちに投げかけます。多くの子どもはできると考えましたが,心配な子どもも一部にいました。
最初に取り組んだのは,3/4×7/5になる問題場面です。計算の後,図で確かめます。これは前回も学習しているので,図の中に分子・分母部分を見いだすことができました。すると,次の声があがります。
「あれ? あそこと一緒だ」
「計算の式と,図の分母・分子の部屋の数を求める式と同じだ」
「図の中に式が隠れているね」

よい気付きが生まれてきました。

次に取り組んだのは,かけられる数もかける数も仮分数の問題です。4/3×5/4になる問題を考えます。図で確かめるときに,子どもが悩みました。
「あふれる・・・」

1Lのコップでに4/3Lは入りません。そこでコップを上方向に増やすアイディアが生まれてきます。これならうまくできそうです。
問題は図の中の分母部分を見いだす場面でした。分母だと考える場所が3つに分裂しました。子どもたちは話し合います。
「前も1Lがもとだった」
「過分数になってももとは変わらない」
「さっきは横にコップが増えた。今は上にコップが増えた。でも,もとは変わらない」

「もとは変わらない」の説明で全員が分母の場所を正しく見いだすことができました。


 

2025年6月9日月曜日

分数のかけ算の計算方法はいつでも使えるの?

 

「分数のかけ算の計算方法は,いつでも使えるのかな?」
このように子どもたちに投げかけます。前回は,4/5×1/3の計算方法を考えました。子どもたちは,分母同士・分子同士をそれぞれかけ算することで答えが見つけられる方法を発見しました。しかし,まだ試したのはたった1問です。

そこで,本当にこの計算方法が一般化できるのかを考えていくことにしました。
最初は,「1分で3/4Lを作るジュースマシン。1/2分では何L作ることができる?」を考えます。式で形式的に答えを求めることはできます。しかし,その答えの正しさは図で確かめるしかありません。
そこで,図を使って確かめます。結果は,図の中に答えの分数の分母・分子部分を見いだすことができました。この問題でも,前回の計算方法の妥当さが見えてきました。

その後,「仮分数でもできるの?」と疑問の声があがります。そこで,「1分で2/3Lを作るジュースマシン。4/3分なら何L作ることができる」を考えます。
式で答えを求めることは簡単でした。8/9Lと計算できます。この答えの正しさを,図で確認します。
ところが,作図が始まってしばらくすると半分ほどの子どもたちの手が止まります。「1分はできるけど,4/3分は?」と声が聞こえます。これまでは1分の内部を分割していました。しかし,この問題は仮分数です。1分を超える時間です。そのため,その状態を図でどう表せばいいのかが見えないのです。

最終的に,1Lのコップを左側に追加することで,そこに4/3分を見いだすことができました。ところがこの図の中に,答えに該当する分数を見つける場面でズレが生まれます。分子部分の8個はすぐに分かります。しかし,分母部分にズレが生まれます。2Lのコップ全体だとする子どもと,1Lのコップ部分だけだとする子どもです。
「分母は全体」
「全体はもともとを表す」
「もとは1Lだから,全体は1Lのところだけ」

分母に該当する基準量は6年生で混乱が見られる場面です。分数の意味に立ち返り,分母は基準量を分割したもの(もと)を想起することで,1L部分が分母になることが見えてきました。


2025年6月7日土曜日

分母を通分?

次の問題を提示します。
「1分間で4/5Lのジュースを作るマシンがあります。1/3分では何Lのジュースができる?」
式は4/5×1/3となります。すると,この式を巡って子どもたちの声が続きます。
「どうやるの?」
「前みたいにしたらいい?」

ここで,子どもから「前」という話題が出ました。子どもが考える「前」とはいつのことでしょうか。

「№18では4/5×3で分子だけ4×3をしたこと」
「でも,今は分母が5と1で違うから揃えないと…」
「通分?」
「例えば4/5×3だとすると,これは4/5×3/1とも考えられる。通分すると4/5×15/5になる。これで前みたいに分母・分子かけると,60/5になって本当の答えと違うから通分するのは違うよ」
「分数÷整数では分母をかけたから,これも分母をかけてもいい」
「通分するんじゃなくて,分母も分子もかけたらいい」

分母をかけ算することへの抵抗感から通分の話題が生まれてきました。分数の加減では通分で計算を行いました。ここを既習とした考えです。よい見方が生まれてきました。
しかし,それでは正しく計算できないことが例示を行うことで見えてきました。そこから,分母・分子をそれぞれかけ算すればいいのではないかという考えが生まれてきました。

分母・分子をかけ算すると4/15になります。しかし,本当にこの答えは正しいのでしょうか。図で確認します。

面積図を作図することで,分母部分も分子部分も図の中に見出すことができました。この結果から,分母・分子をかけ算することで計算できそうだということが見えてきました。しかし,実験数はまだ1つです。子どもからも「全部で3つ計算しないと分からない」と一般化を疑う声が生まれてきました。よい見方が生まれてきました。


 

2025年6月6日金曜日

関西算数授業セミナー「子どもが愉しむ算数授業とは」来週末開催!

 来週末の6月14日(土)に兵庫県川西市川西商工会議所を会場に,関西math勉強会が開催されます。間もなく満席です。お申し込みはお早めに!

さて,大会テーマは「子どもが愉しむ算数授業とは」です。「愉しむ」の意味や本質を探る研修会にしていきますね。

模擬授業対決やワークショップなど盛りだくさんの内容となっています。是非,ご参加ください。詳細・お申し込みは以下からお願いします!

https://www.kokuchpro.com/event/c47c1056a4599ef6d4be4dd4bb9411c3/

「あき子さんのグループは男子2人女子3人です。この中から3人ずつ毎日給食当番をします。男子1人,女子2人の組み合わせは?」
このように子どもたちに尋ねます。子どもたちは樹形図などを使って,調べ始めます。ところが,こどもからは「4通り」「10通り」「6通り」など様々な組み合わせ数が聞こえてきました。
最終的に,樹形図には重なる部分があることを確認し。6通りあることが分かりました。

続いて,男女の区別をしない場合を考えます。この場合は,表に整理すると簡単に組み合わせが見えてきます。
一方,五角関係図を使った子どももいました。3人選ぶので使えない?と考えてしまいますが・・・。
当番をしない子どもが2人いると考えると,対角線で関係図をつなぐことができます。子どもの発想は柔軟です。


 


鹿児島県算数部夏期研修会開催!

8月7日(木)鹿児島県にある第一工科大学を会場に,鹿児島県・鹿児島市算数部合同夏期研修会が開催されます。

午前は地元鹿児島の先生方の提案,午後は私と田中博史先生の講演や対談が実施されます。詳細は以下のちらしをご覧ください。

鹿児島県外からの参加の可能です。ご興味のある方は,以下からお申し込みください。

https://docs.google.com/forms/d/1DG_kvki5YRL6BcARfFyaA6bDrmNYJgqBG9_llrpi2Zs/viewform?edit_requested=true



2025年6月5日木曜日

高知の学校を訪問します

 今日は高知市内にある小学校を訪問します。全クラス約30クラスの授業を参観します。全クラスが公開授業を行うだけでも,志の高さを感じます。

朝ドラ「あんぱん」でなにかと話題の高知です。楽しみですねえ!

2025年6月4日水曜日

3Dならできる?

 次の問題を提示します。

「五百円玉,百円玉,五十円玉,十円玉が1枚ずつあります。この中から□枚選んでできる金額はいくらでしょう」

1枚のコインなら,五百円・百円・五十円・十円の4通りです。

では,2枚のコインならどうなるでしょうか。

多くの子どもたちは,樹形図を描きました。完成したのは12通りです。しかし,この中には同じ組み合わせがあります。12÷2で6通りあることが分かりました。

また,二次元表を使って考えた子どももいました。これを見た子どもから「簡単」「だぶりがない」という圧倒的支持の声があがります。

ところが,次の声が続きます。

「3枚なら・・・」

「これはできないよ」

「3Dの図にしたらできるんじゃない?」

「どうやってやるの?」

3枚のコインを選択した場合,二次元表は使えないのではないかという声が生まれてきました。そこで,3枚のコインを選択する場合を考えます。

3Dの表は難しいので,多くの子どもは樹形図を選択しました。この場合,全部で24通りの組み合わせが生まれます。すると子どもからは,「だぶっているのがあるから,24÷2で12通り」と声があがります。

ところが,「そんなにないよ」という声があがります。二次元表をよく見ると,重なっている組み合わせは2組ではないことが見えてきます。500円・100円・50円の組み合わせは6組あります。他の同様に,同じ金額は6組ずつあります。従って,24÷6で4通りしかないことが見えてきました。

この他にも,「使うコインだけに印をつける」「使わないコインだけに印をつける」「のれんみたいにつなげる」の見つけ方も生まれてきました。

授業後,「3Dできました!」と言ってノートを持って来た子がいました。立方体の図から,順に内部の情報を取り出していき,最後は4通りあることを見いだしていました。子どもの発想はすごいですね!


2025年6月3日火曜日

どれ引いたか分かんない!

「7チームになった時の試合数を求めよう」
前回の試合数の問題の続編です。今回はチーム数を7チームに増やした場合を考えます。試合数は,前回の学習を活用することで21試合になりそうだということは見えてきます。
しかし,その真偽は試合組み合わせを書き出さないと見えてきません。

そこで子どもたちは,樹形図・七角関係図の2つの方法で組み合わせを探します。ところが,取り組んでいる中から悲鳴?が聞こえてきます。
「どれ書いたか分かんない!」
「どう数えるの?」
「1個ミスると終わってしまう」
「17しかないよ」
これらは七角関係図に取り組んでいた子どもからの声です。

一方,樹形図の子どもからも次の声があがります。
「すごく多くなってノートがたりない」
「書いていらんない」

いずれの方法も7チームの場合は面倒さが増すことが見えてきました。そこで,隣のクラスから生まれた二次元表を提示します。この方法を知った子どもからは,次の声があがります。
「さっきより簡単」
「半分だけ数えたらいいね」
「線対称になっているね」
二次元表のよさを実感する声が生まれてきました。

その後,9チームで実験を行いました。さらにチーム数が増えます。子どもたちが選択したのは,二次元表と九角関係図でした。「分からない」と不評だと思った九角関係図ですが,意外に人気のある方法でした。


 

2025年6月2日月曜日

三角関係?

「□チームあります。どのチームとも1回ずつドッチボールの試合をすると,全部で何試合しますか」
子どもたちに投げかけます。
「1チームなら0試合」
「2チームなら1試合」
ここまではすぐに試合数が見えてきます。すると,次の声があがります。
「1チームなら1−1で0。2チームなら2−1で1」
「でもまだ3回試していないから,−1は違うかも?」
「だったら,2チームは2÷2かな」
「それだと3チームなら3÷2で1.5試合?」

いろいろな声が生まれてきました。そこで,3チームの場合を実験します。樹形図,三角関係図で子どもたちは,試合数が3試合であることを見出していきました。

3チームだと3試合という結果が見えると,再び子どもが動き出します。
「+2,+3になるから次は6試合?」
「1チームから2チームは+1,2チームから3チームは+2だから,3チームから4チームは+3で6試合」
「5チームなら+4で10試合」

その後,四角関係図で確認します。結果は,子どもの予想通りの結果になりました。これが見えると,5チームは10試合と予想ができます。

そこで,この予想の真偽を五角関係図で確かめます。結果は,予想通りの10試合となりました。

組み合わせを調べる学習を通して,試合数の変化のきまりを見つけていくことができました。