「分数のかけ算の計算方法は,いつでも使えるのかな?」
このように子どもたちに投げかけます。前回は,4/5×1/3の計算方法を考えました。子どもたちは,分母同士・分子同士をそれぞれかけ算することで答えが見つけられる方法を発見しました。しかし,まだ試したのはたった1問です。
そこで,本当にこの計算方法が一般化できるのかを考えていくことにしました。
最初は,「1分で3/4Lを作るジュースマシン。1/2分では何L作ることができる?」を考えます。式で形式的に答えを求めることはできます。しかし,その答えの正しさは図で確かめるしかありません。
そこで,図を使って確かめます。結果は,図の中に答えの分数の分母・分子部分を見いだすことができました。この問題でも,前回の計算方法の妥当さが見えてきました。
その後,「仮分数でもできるの?」と疑問の声があがります。そこで,「1分で2/3Lを作るジュースマシン。4/3分なら何L作ることができる」を考えます。
式で答えを求めることは簡単でした。8/9Lと計算できます。この答えの正しさを,図で確認します。
ところが,作図が始まってしばらくすると半分ほどの子どもたちの手が止まります。「1分はできるけど,4/3分は?」と声が聞こえます。これまでは1分の内部を分割していました。しかし,この問題は仮分数です。1分を超える時間です。そのため,その状態を図でどう表せばいいのかが見えないのです。
最終的に,1Lのコップを左側に追加することで,そこに4/3分を見いだすことができました。ところがこの図の中に,答えに該当する分数を見つける場面でズレが生まれます。分子部分の8個はすぐに分かります。しかし,分母部分にズレが生まれます。2Lのコップ全体だとする子どもと,1Lのコップ部分だけだとする子どもです。
「分母は全体」
「全体はもともとを表す」
「もとは1Lだから,全体は1Lのところだけ」
分母に該当する基準量は6年生で混乱が見られる場面です。分数の意味に立ち返り,分母は基準量を分割したもの(もと)を想起することで,1L部分が分母になることが見えてきました。