「倍分のやり方は,どんな分数でも使えるのかな?」
子どもたちに投げかけます。多くの子どもは,前時に生まれてきた倍分方式が一般化できると考えています。
そこで「4分で5/6Lのジュースを作るマシンが1分で作ることができるジュースの量は」の問題場面で考えることにしました。式は5/6÷4になります。このままでは分子をわることはできません。すると,次の声があがります。
「5/6を変えたらいいよ」
「4で割り切れるようにしたらいい」
「4倍したらいい」
「4倍」という声が生まれてきました。なぜ「4倍」なのでしょうか。そこで,4倍する理由を考えさせます。
「だって,昨日もそうだった」
「昨日は4/5÷3で4/5を3倍に倍分した」
「÷3だから×3をした。だから・・・」
「だから,今日の問題は÷4だから×4をしたらいい」
昨日の問題と今日の問題の共通点を見いだし,そこから倍分を行う数を見いだしたのです。複数の情報をつなげて共通点を見いだす帰納的な見方・考え方が発揮された場面です。
5/6の分母・分子を4倍ずつすると20/24になります。これなら4でわることができます。答えは5/24です。しかし,この答えが正しいのかを図で確認します。結果は,図の中にも5/24が見えてきました。従って,倍分方式は別の問題でも使えそうなことが見えてきました。
さて,倍分の式で計算していると「気づいたことがある」と声があがります。
「ここが無駄だよ」
「だって,×4をして÷4をしたら無駄になる」
「分子は5になる」
倍分で計算を進める式変形の中に,計算を省略ができる部分を見つけた声です。それを「無駄だよ」という子どもらしい言葉で表現してきたのです。
この無駄な部分を省略すると,教科書などに掲載されているb/a÷c=b/(a×c)という式に置き換えることができます。
分数÷整数の計算は,この方式と前時に子どもたちが見つけた倍分方式の2つがあることが見えてきました。問題場面に応じて,子どもが適切な方法を使い分けられるのがよい学び方ですね。