2022年4月20日水曜日

どのアルファベットが動いた?

 6年生「対称」の一場面です。次のように投げかけます。

「アルファベットを動かします。どれを動かしたのでしょうか」

ホワイトボードに8枚のアルファベット(A,T,N,C,M,B,K,L)を提示します。子どもたちに目を閉じさせます。その間に,アルファベットを動かします。目を開けた瞬間,動いたアルファベットを指ささせます。

子どもたちは目を開けると同時に,動いたアルファベットを目で探していきます。やがて,動いたアルファベットを一斉に指さします。子どもたちが指さしたのは「A」でした。

そこで,「本当に動いたの?」と尋ねます。子どもたちは動いた証拠を,次のように説明してきます。

「これがこうなった(ジェスチャー表現で説明)」

「回転した」

「180°回転している」

ジェスチャー表現をきっかけにして,180°という具体的数字を使った説明が生まれてきました。

さて,確かに「A」は180°回転した形になっています。子どもたちの目は確かでした。

するとここで,「まだある」と声がします。この声をきっかけに,「本当だ」「まだある」と声が続きます。「A」の他に動いたアルファベットはあるのでしょうか?

「Nも動いている」

「本当だ」

「Nも180°回転すると同じになる」

子どもたちは,頭を斜めにしてホワイトボードのNを見つめています。本当にNは180°回転しても同じ形になるのでしょうか。子どもたちに「斜めの線は,反対向きになるんじゃないの?」と揺さぶりをかけます。

この揺さぶりに一瞬不安そうになる子どももいましたが,すぐに「そうはならない」と声があがります。

「6カ所に点を打って,その点だけを180°回転した位置に動かして,最後にそこ(点)をつなげば同じNになる」

「半分で切って,右だけ回すと左と同じになる。左だけ回すと右と同じになるから,Nになる」

「回すときには,Nの斜めの線の真ん中で回さないとぴったり重ならない」

「90°回転すると,Nの斜めの線は反対向きになる。また90°回転させるとはじめと同じ斜めになる」

子どもたちのイメージ力はかなり具体的でした。やはりNは180°回転しても同じNになるのでしょうか。最後は,実際にアルファベットを回転させて確かめます。

子どもたちの予想通り,もとの形と同じNにぴったりと重なりました。

その後,Nと同じように180°回転しても重なるアルファベットや漢字を探す学習を進めていきました。

点対称の導入場面を,アルファベットを使って展開した1時間でした。