2025年7月2日水曜日

1より小さいと小さい

「式を完成させて,答えが大きい方が勝ちゲームをしよう」
このように投げかけます。3/4以降の演算と数字をカードから引いて,式を完成させます。

最初のチームが,3/4×7/8になるカードを引きました。するとこの式を見た子どもから,
「1より小さいと小さい」
と声があがります。この声の意味を読解します。
「1より小さい数をかけると,答えは小さくなる」

演算とそれに対応する数字が1よりも大きいか小さいかによって,答えの大きさが変わるという説明です。この場面での読解が,その後の「÷」の演算が生まれた時にも生きてきました。

合計12回のゲームを通して,分数のわり算のわられる数とわる数とその商の大きさの関係を見いだした1時間でした。


 

2025年7月1日火曜日

あまりが・・・

次の問題を子どもたちに提示します。
「2と1/5Lの牛乳があります。2/5L入りの瓶に分けます。瓶は何本できて何Lあまりますか」
式が2と1/5÷2/5になることはすぐに分かります。計算すると,答えは5と1/2となります。ここからほとんどの子どもたちは,答えを「5本になって1/2Lあまる」としました。この答えに違和感を抱く子どもはいませんでした。

一方,「あまりますか」という問題文から,計算を分母同士・分子同士でわり算する考えが生まれてきました。分母は5÷5で1となります。分子は11÷2なので5あまり1となります。この結果から,答えは「5本できて1Lあまる」としました。

すると,この結果を見た子どもから声があがります。
「あまりの1Lの中に2/5Lがまだある」
「図で描くと,2/5Lが2つあるよ」
「だから答えは7本とれるんじゃない」
「そしてあまりは1/5Lになる」

あまりの大きさに目を付けた鋭い指摘です。すると,この結果を見た子どもから,さらに声があがります。
「それなら,左の式のあまり1/2Lの中にも2/5Lがある」
「図を描いても,1/2Lの中に2/5Lが1つ分ある」
「通分したら,5/10Lの中に4/10Lが1つ分ある」
「だから答えは6本とれて1/10Lあまるだ」

右側の式から生まれが疑問が,左側の式にも当てはまることを子どもたちが指摘していきました。よい学びの連鎖です。
しかし,生まれてきた式は2種類になりました。この答えは正しいのでしょうか?

そこで,確かめ算を行います。結果は,いずれも正しくないことが分かりました。では,一体答えはどうなるのでしょうか。

計算結果は5と1/2となりました。このことから,牛乳瓶5本が取れることは間違いありません。問題はあまりに該当する1/2の部分です。多くの子どもたちは,1/2Lと考えましたが,それでは正しくはないようです。
すると子どもから,次の声があがります。
「1/2というのは,2/5の1/2なんだよ」
「???」
「そーいうことか!」
「図で描くと,2/5L入るコップがあって,その中の1/2だけ牛乳が入るということ」
「だから1/5Lあまるんだ」
答えの1/2の意味を捉え直す声が生まれてきました。この場面はていねいに展開しました。理解に時間がかかるからです。
この考え方を確かめ算で確認すると,正しい答えであることが分かりました。

そこでもう一度,最初の子どもたちの誤答に戻ります。
「計算の答えの5と1/2から,みんなは5本と1/2Lと考えたね。なにがよくなかったのでしょうか」
子どもたちが考えます。
「答えを5本と1/2Lと別の単位にしてしまったら」
「5と1/2は同じ数だから,まとめて本と考えるのに,別々にしてしまったからだめだった」

1/2は牛乳の量ではなく,2/5Lの中の割合を示す1/2だったのです。この意味を時間をかけて読解していきました。