次の問題を子どもたちに提示します。
「2と1/5Lの牛乳があります。2/5L入りの瓶に分けます。瓶は何本できて何Lあまりますか」
式が2と1/5÷2/5になることはすぐに分かります。計算すると,答えは5と1/2となります。ここからほとんどの子どもたちは,答えを「5本になって1/2Lあまる」としました。この答えに違和感を抱く子どもはいませんでした。
一方,「あまりますか」という問題文から,計算を分母同士・分子同士でわり算する考えが生まれてきました。分母は5÷5で1となります。分子は11÷2なので5あまり1となります。この結果から,答えは「5本できて1Lあまる」としました。
すると,この結果を見た子どもから声があがります。
「あまりの1Lの中に2/5Lがまだある」
「図で描くと,2/5Lが2つあるよ」
「だから答えは7本とれるんじゃない」
「そしてあまりは1/5Lになる」
あまりの大きさに目を付けた鋭い指摘です。すると,この結果を見た子どもから,さらに声があがります。
「それなら,左の式のあまり1/2Lの中にも2/5Lがある」
「図を描いても,1/2Lの中に2/5Lが1つ分ある」
「通分したら,5/10Lの中に4/10Lが1つ分ある」
「だから答えは6本とれて1/10Lあまるだ」
右側の式から生まれが疑問が,左側の式にも当てはまることを子どもたちが指摘していきました。よい学びの連鎖です。
しかし,生まれてきた式は2種類になりました。この答えは正しいのでしょうか?
そこで,確かめ算を行います。結果は,いずれも正しくないことが分かりました。では,一体答えはどうなるのでしょうか。
計算結果は5と1/2となりました。このことから,牛乳瓶5本が取れることは間違いありません。問題はあまりに該当する1/2の部分です。多くの子どもたちは,1/2Lと考えましたが,それでは正しくはないようです。
すると子どもから,次の声があがります。
「1/2というのは,2/5の1/2なんだよ」
「???」
「そーいうことか!」
「図で描くと,2/5L入るコップがあって,その中の1/2だけ牛乳が入るということ」
「だから1/5Lあまるんだ」
答えの1/2の意味を捉え直す声が生まれてきました。この場面はていねいに展開しました。理解に時間がかかるからです。
この考え方を確かめ算で確認すると,正しい答えであることが分かりました。
そこでもう一度,最初の子どもたちの誤答に戻ります。
「計算の答えの5と1/2から,みんなは5本と1/2Lと考えたね。なにがよくなかったのでしょうか」
子どもたちが考えます。
「答えを5本と1/2Lと別の単位にしてしまったら」
「5と1/2は同じ数だから,まとめて本と考えるのに,別々にしてしまったからだめだった」
1/2は牛乳の量ではなく,2/5Lの中の割合を示す1/2だったのです。この意味を時間をかけて読解していきました。