2020年12月30日水曜日

新刊本来春発刊 「問いをつくり出す力」を育てる 算数の授業開発ー教材研究・教材開発・授業展開ー(仮題)

 2021年春,東洋館出版社から新刊本が出ます。現在,校正の最終段階です。

タイトルは,

「問いをつくり出す力」を育てる 算数の授業開発ー教材研究・教材開発・授業展開ー

「算数が愉しい」と子どもが心底感じるには,子どもがワクワクする教材開発や,そのワクワクを喚起していく授業展開が必要です。そのためのノウハウを13の視点でまとめた本です。

お若い先生からベテランの先生まで,算数授業を愉しくしたいという志がある方なら,きっとお役に立てることがたくさんあると考えたいます。発刊迄,もうしばらくお待ちください!

2020年12月21日月曜日

新潟大学教育学部附属小学校初等教育研究会に参戦します!

 2021年2月6日(土)に,オンライン開催となる新潟大学教育学部附属小学校初等教育研究会に協議会メンバーとして参戦します。

授業者は私の研究仲間でもある志田倫明先生です。志田先生には,本校の研究会で私の公開授業の指導をしていただきました。今回は,その逆バージョンになります。

志田先生は4年生「分数」の授業を公開します。私の授業の指導をお願いした際に公開したのは3年生「分数」単元でした。同じ「分数」教材をどのように志田先生が授業展開されるのか楽しみです。

私の他には,以下の方々も参戦されます。

協議会メンバー

国立教育政策研究所

   教科調査官 笠井 健一 様

新潟市立浜浦小学校

   教諭 二瓶 亮 様

オンライン開催ですので,全国どこからも参加可能です。詳細は,以下のアドレスからお願いします。

2020年12月14日月曜日

教科書を活用した算数授業づくりセミナー 満員御礼

 教科書を活用した算数授業づくりセミナー,ご好評により,早くも満員御礼になりました。お申込みいただいた先生方,ありがとうございました!

1月にお会いしましょう!

教科書を活用した算数授業づくりセミナー 本日12月14日18時申し込み開始!

以前お知らせした田中博史先生,樋口万太郎先生とのコラボ企画「教科書を活用した算数授業づくりセミナー」の申し込みが,12月14日18時から開始です。先着90名限定です。参加予定の皆様は,お早めにお申し込み下さい!

申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://gakuto.co.jp/lecture-2/

2020年12月11日金曜日

教科書を活用した算数授業づくりセミナー開催

田中博史先生(人塾),樋口万太郎先生(京都教育大学附属小学校)と私の3人で,先生応援トリプル算数講座を開催します。開催はzoomを使った講座です。

小学校最難関単元と言われる「割合」に焦点を当てた講座です。わたしは模擬授業を公開します。参加は限定90名です。

参加申し込みは,12月14日(月)学校図書のホームページで告知されます。ホームページチェックをお願いします。




2020年12月8日火曜日

「WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A」本日発売です!

本日,12月8日,明治図書より「WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A」が発刊されます。先生方の日頃の算数授業に対する疑問をQ&A形式でまとめたものです。算数授業でもっと授業を活性化したいと考えている先生方のお役に立てると信じています。どうぞ,書店やネットでお求めください。
タイトルと目次は次の通りです。

目次序章 算数授業の想定外を愉しもう
第1章 教科書活用のQ&A
Q1 教科書は,授業中いつも開いていないといけないのですか?
Q2 教科書に出てくる考え方は,全部扱うのですか?
Q3 教科書は,どのようにして比較すればよいのですか?
Q4 教科書の数値や図形の形は変えてもよいのですか?
Q5 教科書の展開と異なる授業を展開してもよいのですか?
Q6 教科書通りに授業を展開すると,時間が足りなくなります…
Q7 練習問題を扱う時間が確保できません…
第2章 めあて,まとめ,ふりかえりのQ&A
Q1 「めあて」は,どのように設定すればよいのですか?
Q2 「めあて」と「まとめ」は,どのように対応させればよいのですか?
Q3 「めあて」は,全部板書しないといけないのですか?
Q4 「ふりかえり」が,いつも同じパターンになってしまいます…
Q5 「まとめ」は教科書の言葉を使うのですか? 子どもの言葉を使うのですか?
Q6 そもそも,「めあて」「まとめ」「ふりかえり」は必要ですか?
第3章 話し合い活動のQ&A
Q1 「はかせ」は,どのように扱えばよいのですか?
Q2 算数が苦手な子どもが,話し合いに参加できません…
Q3 「学び合い」の授業が,途中で失速してしまうのはなぜですか?
Q4 ペアで説明し合う活動がうまくいきません…
Q5 子どもの説明が,うまく友だちに伝わりません…
Q6 ミニホワイトボードは,どのように活用すればよいのですか?
Q7 複数の考え方を,うまく1つに収束することができません…
第4章 授業展開,授業構成のQ&A
Q1 導入で子どもに興味をもたせるには,どうすればよいですか?
Q2 指導書通りに展開すると,子どもの反応がよくありません…
Q3 子どもの学力差が大き過ぎて,対応しきれません…
Q4 教師の想定するズレと実際の授業展開が異なったら,どうすればよいですか?
Q5 数学的な考え方の育て方,鍛え方がわかりません…
Q6 帰納的な考え方と演繹的な考え方を1つの授業で捉えさせるにはどうすればよいですか?
Q7 子どもが「見方・考え方」を働かせられないのはなぜですか?
第5章 ノート指導,板書のQ&A
Q1 教科書の問題は,ノートに書かせないといけませんか?
Q2 板書をノートに写しきれない子どもにどう指導したらよいですか?
Q3 ノートの種類や書き方は,どこまで指導するべきですか?
Q4 子どもの意見は,どのように板書すればよいのですか?
第6章 学力,個人差のQ&A
Q1 宿題の○つけは,どのように行えばよいですか?
Q2 基礎・基本が,なかなか定着しません…
Q3 発展問題は,どのように扱えばよいですか?
Q4 授業は盛り上がるのに,テストの点がよくありません…
Q5 文章問題が苦手な子どもは,読解力不足なのですか?
Q6 数直線や図を,子どもが使おうとしません…
Q7 割合の指導がうまくいきません…
Q8 集中力が続かない1年生には,どんな授業を行えばよいですか?
Q9 教材研究を,十分に行うことができません…

ネットでの本のお申し込み等は,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-425221-9

2020年12月4日金曜日

四角形に1本の直線を引くと

 2年生「三角形と四角形」の学習場面です。子どもたちに次のように投げかけます。

「四角形に1本の直線を引くと・・・」

このままでは何をするのかわかりません。そこで,


右の四角形を提示します。そして,次のように投げかけます。

「この四角形の中に1本だけ直線を引きます。そうすると2つの形に分かれるね。どんな2つの形ができそうかな?頭の中にイメージしてみましょう」

子どもたちは,頭の中で四角形を分割していきます。子どもたちがイメージできた形を発表します。

「三角形と四角形」

「三角形と三角形もできるよ」

「えー,どうやって?」

「四角形と四角形もできるよ」

「えっ?」

「それは無理だよ」

三角形と四角形の組み合わせは,ほとんどの子どもたちができると考えました。一方,これ以外の組み合わせについては,本当にできるのか不安な声をあげる子どもも多数いました。

そこで,ほとんどの子どもができると考えた「三角形と四角形」の組み合わせができるのかをノートに実験します。

その結果,右のように直線を引けば三角形と四角形がで
きることが分かりました。


次に,三角形と三角形が本当にできるのかを実験します。当初は


「できない」という声が聞こえましたが,しばらくすると「あれ,できた」「本当だ」という声が聞こえてきます。右のように直線を引くことで,三角形と三角形の組み合わせができることが分かりました。2つの直線の引き方があることが分かりました。


残るは,四角形と四角形の組み合わせです。するとここで,次の声があがります。

「次も2つあるよ,だって,三角形と三角形は2つの線の引き方があった。三角形と四角形も2つの線の引き方があった。だから,四角形と四角形も2つの線の引き方があるよ」

組み合わせを導き出す線の引き方にきまりを発見したのです。こんな発想が子どもから生まれてくるとは,私の想定外でした。子どもの柔軟な発想はすばらしいですね。

この決まりに対して,多くの子どもも納得しています。しかし,「違うかも」と考える子どももいます。そこで,四角形と四角形の線の引き方は2つあるのかを実験します。

結果は右のように縦方向と横方向に線を引くことで,


大きく分けて2つの引き方があることがわかりました。子どもたちが見つけたきまりの正しさが確かめられました。

今回提示した四角形は,台形です。四角形は他にも様々な形があります。どんな四角形でも子どもたちが見つけたきまりが当てはまるのかを尋ねます。「とても細長い長方形だとできなかも」という声もあがります。?で授業を終えました。

2020年12月2日水曜日

直角三角形は微妙な三角形提示で活性化!

 2年生「三角形と四角形」単元,直角三角形の学習場面です。

子どもたちに,「同じ形を見つけよう」と言って,右の三角形を


提示します。子どもたちは,「よく見てノートにメモしなきゃ」と声をあげながら,提示された図形を見つめます。図形をよーく観察した子どもから,次の声があがります。

「左下が直角になっているね」

「三角形だね」

これまでの学習を活用した見方が生まれてきました。

「この形は同じかな?」と言って,右の図形を提示します。


これには一斉に「違います」と声があがります。

「左の辺が斜めになっている」

「左にまっすぐ上に線を引いたとしたら,これには隙間ができちゃうよ」

「左の角がウルトラマンビームの直角じゃないよ」

この図形の左下の角の大きさは,見た目で直角はありません。そのことを,子どもたちは前述のように指摘してきました。

次に提示したのは,右の図形です。悩んでいる表情の子どももいます。


「微妙」という声も聞こえてきます。見る向きよって,左下の角が直角に見えたり見えなかったりするようです。見た目ではどうもはっきりとしません。

そこで,同じ図形を子どもたちに配布して,左下の角の大きさが直角なのかを調べることにしました。子どもたちは,実に様々な方法で直角調べを進めました。

筆箱の四隅の直角を使う子ども,はさみを時計の3時の方向に開いて直角を調べる子ども,ノートのます目の直角を使う子ども,2本の定規をL字型に合わせて直角を作る子どもなど様々な調べ方が生まれてきました。

これらの調査の結果,提示された角には少し隙間ができることが分かりました。従って,この図形も最初の三角形とは異なることが分かります。

次に提示したのは,最初と同じ図形です。「これだよ」と声があがりますが,「怪しいかも」と疑っている子どももいます。そこで,先ほどと同じように様々な方法で直角かどうかを調べてみました。結果は,左下の角は直角であることが分かりました。

この直角調べの際,「定規が2本ないからL字の方法はできない」と悲しい声をあげる子どもがいました。そこで,定規が2本なくても直角を調べるスーパーマシンがあることを子どもたちに伝え,三角定規を配布しました。これなら先ほどまで苦労して確かめた直角調べが簡単にできます。三角定規を手にした子どもたちは,大喜びでした!

三角定規を使いたくなる必要感と,直角三角形の構成要素に気付かせる1時間の授業となりました。

2020年12月1日火曜日

長方形と正方形

 長方形と正方形の概念を2年生の子どもたちから引き出していく授業です。

子どもたちに「同じ形あるかな?」と投げかけ,


右の長方形を提示します。これと同じ形を探す学習です。

図形提示と同時に子どもからは,「この形を覚えないと」と声があがります。それと同時に,ジェスチャーで形を表現する子どももいました。その子どもたちに,「何をしているの?」と尋ねます。

「これは長四角だよ」

「縦に長くて横に短い四角」

「角が4つ,辺も4本あるね」

前時の学習を基に図形の構成要素に視点を当てた声も聞こえてきます。

さらに,次の声も聞こえきました。

「真四角が2つ分あるね」

「1+1で2っていうことだね」


「真四角」も子どもたちが日常生活の中で使う言葉です。

そこで,「真四角ってなに?」と尋ねます。

「縦も横も同じ長さの四角」

「辺は4本,角は4つだよ」

正方形につながる図形の構成要素の視点が生まれてきました。

長四角・真四角のよい見方が生まれてきました。


「では,これは同じ形かな?」と言って,右の図形を提示します。
これには,一斉に「違う」と声があがります。

「これは五角形でしょ」

「だって,辺が5本で角も5個だから,絶対に違うよ」

「最初のは辺が4本,角が4個だよ」

的確に長四角でないことを説明することができました。


次に,右の図形を提示します。これに対しても「違う」と声があがります。

「左の角は,長四角と同じ直角でしょ。でも,右が違うよ。右上は斜めになっているよ」

「ペアの辺の長さも違うよ。最初の長四角は同じ長さだよ」

台形を提示したことで,直角の見方が新たに生まれてきました。この声をきっかけに,長四角と真四角には直角が4つずつあることも再確認することができました。また,向かう合う辺の長さの関係も指摘することができました。


次に提示したのは,正方形です。これに対しても「絶対に違う」と声があがります。


「最初の長四角は縦長。でも,今のは真四角で縦が短いからダメ」

「縦の長さが短くなっているから違う」

「直角が4つあるけど,辺の長さが全部同じだからだめだよ」

最初の長四角と真四角の辺の長さの違いに目を付けた声があがってきました。


最後に提示したのは,最初と同じ図形です。

「これだよ」

「直角が4つ,辺も4本」

「ペアの辺の長さも同じだよ」

長四角は長方形,真四角は正方形という名前のあることを,この後,教えていきます。

長方形と異質な図形を連続的に比較させていくことで,長方形・正方形の図形の構成要素を子どもからひきだしていくことができました。

2020年11月29日日曜日

「三角形と四角形」4時間分を1時間で!

 2年「三角形と四角形」の導入場面です。

子どもたちに「同じ形ではどれかな?」と投げかけます。
最初に右の二等辺三角形を提示します。この二等辺三角形と同じ形を見つける学習です。この形をよーく見せた上で,この形を隠します。

そして,「この形は最初の形と同じかな?」と投げかけ,左の形を提示します。子どもからは,次の声が次々と聞こえてきます。

「全然違う」

「角っとしている所が4個ある。さっきのは,角っとしている所は3個でしょ」

「真っすぐな線の数も違うよ。最初のは3本で,今のは4本でしょ。だから,今のは四角」

「そうだよ。最初のは三角なんだよ」

「三角」「四角」という言葉は,日常生活で子どもたちが使い慣れています。それらの言葉を,角と辺の数の視点で整理する言葉が生まれてきました。この場面で「角っとしいる所」は「角」,真っすぐな線は「直線」と言葉を置き換えることを教えます。

次に,右の図形を提示します。この図形も,「違う」
と声があがります。

「これも違うよ。直線が4本で,角が4個でしょ」

学習したばかりの「直線」「角」の言葉を使って,最初の形と異なることを説明することができました。

今度は,左の形を提示します。三角形です。ところが,これに対しても「違う」と声があがります。子どもたちが,違うと考える理由を説明してきます。


「右下の角が,四角みたいにかくっとなっている」

右下の角の大きさが,最初の形と異なることを「かくっと」という子どもらしい言葉で表現してきました。しかし,この「かくっと」という言葉は曖昧です。そこで,「『かくっと』ってどういうこと?」と子どもたちに投げ返します。

ここでまたまた子どもらしい反応が生まれてきました。多くの子どもたちが,手や腕を使って「かくっと」を表現したのです。左手を縦方向,右手を横方向に向けて「かくっと」を表現する子どもがいました。また,両腕を2方向に向けて「ウルトラマンのビームみたいな形」と説明する子どももいました。まだ,角度は知りません。ジェスチャーで必死に表現していく2年生の姿は微笑ましいですね。「英語のLの形だよ」という説明も生まれてきました。

これらの直角に対する表現をきっかけに,子どもたちはすでに提示された図形も見直します。

「さっっきの四角(長方形)にも,ウルトラマンのビームがある」

「この四角には,ウルトラマンのビームが4個あるね」

長方形の概念への気付きが生まれてきました。

今度は,右の形を提示します。最初の形に似ています。しかし,
これに対しても「違う」と声があがります。

「最初のは囲まれている。でも,今のは切れているよ」

「もし,最初の三角の中に水を入れたとします。これは水はこぼれません。でも,今の形は隙間があるから水がこぼれるよ」

最後に,最初と同じ三角形を提示します。「そうそう,それだよ」と今度は満足の声が聞こえてきました。

「三角形」「四角形」「頂点」「直角」の用語を,合わせて指導を行います。

「三角形と四角形」学習で大切な図形の構成要素に対する教科書4時間分の概念が,1時間の授業で一気に生まれてきました。子どもたちが本来持っている概念を引き出し,クラス全員で共有していくことで,指導計画の時間概念を超えた展開ができました。





算数プレミアム懇談会 第2弾開催決定!

 昨日,算数プレミアムオンライン懇談会を開催しました。

新潟,東京,大阪,岡山の5人の先生方と算数指導のお悩みや質問をからめながら2時間懇談を行いました。密度の濃い時間を過ごすことができました。オンラインでも少人数であれば,まるで同じ空間にいるような気分になれますね。参加いただいた先生方,ありがとうございました。

算数プレミアム懇談会の第2弾を開催することが決定しました。

期日:2021年1月16日(土)16時30分~18時30分

定員:5人

参加資格は算数プレミアムオンラインセミナーにお申し込みいただいたにもかかわらず,定員オーバーで入れなかった方です。後日,学校図書から該当の先生方にメールでご案内を差し上げます。メールチェックを忘れずにお願いします!


2020年11月26日木曜日

WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A(明治図書)発刊のお知らせ

まもなく明治図書より,新刊本が発刊されます。

先生方の日頃の算数授業に対する疑問を
Q&A形式でまとめたものです。
算数授業でもっと授業を活性化したいと考えている先生方のお役に立てると信じています。発刊までもう少しお待ち下さい。
タイトルと目次は次の通りです。
「WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A」目次序章 算数授業の想定外を愉しもう
第1章 教科書活用のQ&A
Q1 教科書は,授業中いつも開いていないといけないのですか?
Q2 教科書に出てくる考え方は,全部扱うのですか?
Q3 教科書は,どのようにして比較すればよいのですか?
Q4 教科書の数値や図形の形は変えてもよいのですか?
Q5 教科書の展開と異なる授業を展開してもよいのですか?
Q6 教科書通りに授業を展開すると,時間が足りなくなります…
Q7 練習問題を扱う時間が確保できません…
第2章 めあて,まとめ,ふりかえりのQ&A
Q1 「めあて」は,どのように設定すればよいのですか?
Q2 「めあて」と「まとめ」は,どのように対応させればよいのですか?
Q3 「めあて」は,全部板書しないといけないのですか?
Q4 「ふりかえり」が,いつも同じパターンになってしまいます…
Q5 「まとめ」は教科書の言葉を使うのですか? 子どもの言葉を使うのですか?
Q6 そもそも,「めあて」「まとめ」「ふりかえり」は必要ですか?
第3章 話し合い活動のQ&A
Q1 「はかせ」は,どのように扱えばよいのですか?
Q2 算数が苦手な子どもが,話し合いに参加できません…
Q3 「学び合い」の授業が,途中で失速してしまうのはなぜですか?
Q4 ペアで説明し合う活動がうまくいきません…
Q5 子どもの説明が,うまく友だちに伝わりません…
Q6 ミニホワイトボードは,どのように活用すればよいのですか?
Q7 複数の考え方を,うまく1つに収束することができません…
第4章 授業展開,授業構成のQ&A
Q1 導入で子どもに興味をもたせるには,どうすればよいですか?
Q2 指導書通りに展開すると,子どもの反応がよくありません…
Q3 子どもの学力差が大き過ぎて,対応しきれません…
Q4 教師の想定するズレと実際の授業展開が異なったら,どうすればよいですか?
Q5 数学的な考え方の育て方,鍛え方がわかりません…
Q6 帰納的な考え方と演繹的な考え方を1つの授業で捉えさせるにはどうすればよいですか?
Q7 子どもが「見方・考え方」を働かせられないのはなぜですか?
第5章 ノート指導,板書のQ&A
Q1 教科書の問題は,ノートに書かせないといけませんか?
Q2 板書をノートに写しきれない子どもにどう指導したらよいですか?
Q3 ノートの種類や書き方は,どこまで指導するべきですか?
Q4 子どもの意見は,どのように板書すればよいのですか?
第6章 学力,個人差のQ&A
Q1 宿題の○つけは,どのように行えばよいですか?
Q2 基礎・基本が,なかなか定着しません…
Q3 発展問題は,どのように扱えばよいですか?
Q4 授業は盛り上がるのに,テストの点がよくありません…
Q5 文章問題が苦手な子どもは,読解力不足なのですか?
Q6 数直線や図を,子どもが使おうとしません…
Q7 割合の指導がうまくいきません…
Q8 集中力が続かない1年生には,どんな授業を行えばよいですか?
Q9 教材研究を,十分に行うことができません…

ネットでの本のお申し込み等は,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-425221-9

9ますビンゴに勝つ秘密

前号でお知らせした9ますビンゴ,これに勝つ必勝法を自主学習で発見してきた子どもがいます。そこで,このアイディアを授業でも取り上げてみることにしました。


子どもたちに,「9ますビンゴで勝つ方法を考えよう」と投げかけます。すると,子どもからは次の声が生まれてきました。

 

1118日の勉強で,九九にはない答えを書くとビンゴにならないことを勉強した。だから,九九にある答えだけを書けばいい」

99とかの九九にない答えを書いてはいけない」


 以前の学習とつなげて,ビンゴに勝つ方法を見つけることができました。九九にない答えはいくつくらいあるのでしょうか?

 子どもたちの多くは,その数は3040位だと考えていました。そこで,九九にはない数字がいくつあるのか,全て調べることにしました。 


 その数は,子どもたちの調査ではなんと45個もありました。これに8299も加えると63個も使ってはいけない数字があることになります。その多さに子どもたちも驚いていました。



 

 九九にはない答えを書けば,これでビンゴに勝てそうです。ところが,「それだけじゃダメ」と声があがります。まだ,ビンゴに勝つための秘策があるようです。


例えば,答えの4になる式は2×21×44×13つあるから,こんな答えを書いた方が有利」

12なら,式は4×33×42×66×24つもある」

「もし81を書くと,式は9×9しかないから不利」

12とか24を書いた方が式が多いから勝つ確率が高くなる」

 

 勝つ確率の高い数字を記入した方が,ビンゴが速く成立する可能性が高くなることを見つけることができました。


 子どももたちが見つけた2つの方法を使えば,ビンゴに必勝できそうです!

2020年11月18日水曜日

9ますビンゴから見えたかけ算九九の新しい見方

子どもたちに,「9ますビンゴ」をしようと投げかけます。ルールは次の通りです・

  同じ数字は1回しか使えない   ② 1〜99までの数字を記入する


子どもたちは9ますの中に,自由に数字を記入していきます。数字を全員が記入し終えた後,ビンゴの数字を発表します。ただし,その数字は「5×9」のように式で発表します。




すると「えっ?」という声が聞こえてきました。この「えっ?」の声の意味をクラス全体で考えます。

「99はできない」

「99はかけ算の九九に答えがないよ」

「かけ算は9の段までしかないから,81で終わり」

「九九なら,82〜99の数字はない」


 私が板書したのはかけ算です。もし,この後も九九の式のみが板書されたら,82以上の数字を記入してはビンゴができなくなります。そこで,ビンゴの数字を修正してもよいことにしました。これで子どもたちも一安心・・・?

 

 すると今度は,「11と13もないダメだよ」という声が聞こえてきます。この声の意味もクラス全体で考えていきます。

「11も13も,九九の答えにないよ」

「あれ,他にあるよ。43もないよ」

「まだあるよ。50,60,80もないよ」

「73も74もないよ」


 子どもたちは,右のような数字が九九にはないことを見つけ出します。「まだまだ,九九にはない数があるよ」

「九九にない数はたくさんある」

 子どもたちは,81以下の数字にも九九の答えにないもの多数あることを知って,驚きの声があがります。


 再度,ビンゴの数を修正するチャンスを作ります。その後,かけ算九九を板書し,ビンゴゲームを楽しみました。

 九九の答えは1〜81まであると考えていた子どもたちの数への見方が,ビンゴを通して変わっていった1時間となりました。


 本実践は,「板書で見る全単元・全時間の授業 2年下」(東洋館出版社)の山本良和先生の提案を追試したものです。



2020年11月16日月曜日

まだある,かけ算九九表のおもしろさ!

かけ算九九表のきまり探しの2時間目です。

「おもしろいことなんて,もうないよ」


 こんな風に考える子どもたちが,かなりいました。一方,「おもしろいことは,まだあるよ」と考える子どももいます。


 おもしろいことは,まだ本当にあるのでしょうか。子どもたちが発表します。

「(黄色い部分の)一の位だけ見て下さい。下から順に,8,7,6と同じ数字が出てくる」

「それなら,5,4,3,2,1も同じになっている」



 一の位に限定して見ていくと,数字の変化に対称性が見えてきます。対称的に数が並べことも,子どもの興味を引くのですね。おもしろい気付きが生まれてきました。



 すると,この声をきっかけにして子どもたちの追究が続きます。


「だったら,8のところもが同じになっている」

「それなら,7も6も同じになっている。

「全部なっている。5〜1もなっている」




9の段のところで見つけた一の位の数字の対称性のきまりが,他の段にも当てはまることにも気付いたのです。8の段にも同じきまりが当てはまることを確認すると,一気にその見方は全ての段へと拡張していきました。

見方を拡張できる素晴らしい子どもたちです。


すると今度は,次の声もあがります。

「向きを反対にしても,同じになってるよ」



 左のように見ても,一の位の数字の対称性が見えます。視点を当てる数字の列を転換していく見方も素敵です。


また,右のように見ても同じ対称性が見えます。かけ算九九表は対称性が囲まれた形であることが見えてきました。


「おもしろいこと」は,まだまだありました!

かけ算九九表はおもしろい!

 かけ算学習のまとめとして,空白のかけ算九九表に答えを埋めていく学習を行いました。その活動の中で子どもから,「おもしろことがある」「きまりがある」という声が聞こえてきました。すぐにきまりを見つけようとする姿が育ってきたことにうれしくなります。


 さて,子どもたちが見つけたおもしろいこととは一体どんなことでしょうか。1つ目のおもしろさは,次のことでした。


「かける数1の下は1,2,3・・・となっていて,かけられる数の1の横も1,2,3・・・となっている」

「かける数2の下は2,4,6・・・となっていて,かけられる数の2の横も2,4,6・・・となっている」

「だったら,3の段も4の段もそうなっている」


 

同じ数字の並びが,縦方向・横方向に見えることを見つけてきました。この数字の並びが「トンネルに見える」と感じる子どももいました。きれいな数字の並び,同じパターンの数字の並びに子どもたちはおもしろさを感じるようですね。


次に生まれてきたのは,次のおもしろさでした。


「斜めに見ると,1×1=1,2×2=4,3×3=9・・・で,答えが斜めにつながっている」

「かけられる数とかける数が同じ数字をかける答えが,斜めに並んでいる」




 斜めに並ぶ数字を作るかけ算の式の数字がぞろ目で構成されるというおもしろさを感じたのです。こんなおもしろさを感じるのもよい感性ですね。

 

 九九表のきまりはまだまだあります。この時間はこの2つの発表で時間オーバー!楽しい時間となりました。

2020年11月15日日曜日

第2回愉しい算数授業をつくる研修会申し込み開始!

 愉しい算数授業をつくる研修会の第1回が終わりました。少人数での開催でしたが,参加いただいた先生方の熱量の高さに圧倒されました。

さて,第2回の愉しい算数授業をつくる研修会の申し込が始まりました。詳細は,以下のちらしをごらんくだごらんくだい。

お申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

morimoriaki504-tanosiisansuu@yahoo.co.jp



新型コロナ感染拡大の際は,開催を中止させていただく場合もありますので,ご承知おきください。

2020年11月12日木曜日

1の段でも盛り上がる!

 2年生「かけ算」学習でかけ算九九を作り出す学習も大詰めを迎えています。この日は最後の九九の1の段を作る時間です。

子どもたちに,次のように投げかけます。

「1の段のかけ算を作ろう」

6〜9の段では,既習のかけ算九九を合体することで答えを見つけていく学習を進めてきました。そこで,「1の段のかけ算も合体でできるかな」と投げかけます。

「できないよ」

「だって,1は半分にできないからこれは無理だよ」

合体かけ算ができないことと,その理由を子どもなりに説明してきました。その後,1ずつ答えが増えるきまりを使って,1の段のかけ算を作っていきます。

1×1から1×3までの計算が進んだところで,「おもしろいことがあります」という声がいくつも聞こえてきます。その中の一つに,次の声がありました。

「かける数と答えをたすと,2,4,6でしょ。これって2とびの数になっている」M子

M子の声の意味を共有していきます。しかし,まだ1×3までしか実験していません。そこで,M子の見方の正しさを,1×10まで計算して確かめます。


すると,M子の見方が正しいことが見えてきました。すると,この結果をもとに子どもたちが動き出します。

「かける数と答えをたすと,2,4,6,8・・・に全部なってる」

「これって2の段の答えだね」

「別の段の2の段の答えが見えるんだね」

「だったら,8の段もそうなっているよ」T男

T男は1の段から2の段が見えるという見方を,8の段にも当てはめて考えたのです。

そこで8の段のかけ算で,T男の声を確かめます。すると,写真のようにかける数+答えが9の段になっていることが見えてきます。すると,この結果からさらに子どもたちは動き出します。

「8の段だと,1つ上の9の段の答えになるんだ」


「だったら,さっきもそうだったよ」K子

「1の段だから,1つ上の2の段の答えになっている」

「だったら,2の段は3の段に,3の段は4の段になるね」

先ほどの1の段で見つけた見方は,かける数+答えが単に2とびの数になっているというものでした。ところが,T男の声を受けてK子はその見方を1の段にも当てはめたのです。T男の見方を使うと,1の段も違った見え方ができるのです。

その後,2の段からは3の段,9の段からは10の段が見えることを確かめていきました。

そもそもかけ算九九を作る必要があるのだろうかと思いたくなる1の段ですが,子どもたちはそんな1の段でもたくさんの発見を行うことができました。