2023年4月30日日曜日

数学的な見方・考え方の培い方

 子どもたちの数学的な見方・考え方は,本来子どもには備わっているのでしょうか? このことを考えながら,1年生との算数授業を進めています。

複数の情報から共通点を見いだす帰納的な見方は,一部の子どもには備わっています。しかし,その割合は高学年のそれと比較するとかなり低いと考えられます。

帰納的な見方から,対象場面を拡張していく類推的な見方も,一部の子どもには備わっています。この割合も高学年よりもかなり低い印象です。

また,種類の異なる事象を比較し,それらの事象の共通点や異なる点を見いだすことは,前記の帰納的・類推的な見方と比較すると,それが備わっている子どもの割合は,さらに低くなる実感があります。

理由を考える演繹的な見方は,前者2つの見方よりもさらに低くなります。「だって」「だから」という語り始めの言葉でその理由を説明しようとする子どもの姿の割合は,前者2つよりも多い印象です。しかし,そこで説明される内容は論理的に納得できるレベルではありません。1年生ですから,当然と言えば当然です。

これらのことから,1年生に数学的な見方・考え方は一部の子どもには備わってはいることが見えてきます。ただし,その割合はかなり低いのが実態です。

大切なことは,それらの見方・考え方を引き出すような授業を教師が行うことです。その上で,その声や姿を教師が確実にキャッチしていくことが大切です。これが第一段階です。単なる答えだけに着目して,授業を展開してはいけないのです。

次は,引き出した見方・考え方をクラス全体で共有していくことです。1年生では,これはかなり時間がかかります。ていねいに進める必要がありますね。簡単にはクラス全員に理解されません。

最後は,これらの見方・考え方を価値づけることです。子どもたちは,まだどのように考えることに価値があるのかが分かりません。だからこそ,この時期に答えを出すことがだけが算数授業の目的ではないことを,しっかりと教師が価値づけることが必要になります。

まあ,これらのことは1年生だけはなくすべての学年に当てはまることですけど…。明日から5月ですが,再度,算数授業で大切なことや授業の進め方を見直してみましょう!

2023年4月28日金曜日

10個のブロックなら?

ブロックを使った数の分解シリーズのついに最終場面です。

「10個のブロックだと,階段は何段できる?」

この問いかけに,一斉に「9段」と声が挙がります。そこで,その根拠を尋ねていきます。

「9個のブッロクのとき8段で1個減ったから,10個から1個減って9段」

前時までは増える見方が主を占めていましたが,ここでは減る見方が生まれてきました。1年生の数学的な見方は,一直線では育っていきませんねえ。

ここで減る見方を共有していきます。私としては,ブロック9個以外の世界を子ども自身が広げていくことを期待しましたが,すぐにはその反応は生まれてきませんでした。子どもたちは,「9個で1個減ったから,10個も1個減る」と実に最短経路で結論を導き出して安定していました。そこで,次のように投げかけます。

「1個減ったのは,ブロック9個の時だけのたまたまでしょ?」

偶然性の問いかけです。これにより,子どもが考える対象範囲が広がっていきました。

「前もそうなっていたよ」

「8個は7段で1個減った」

「6個は5段で1個減った」

「5個は4段で1個減った」

なぜか,ブロック7個の声は生まれてきません。そこで,ブロック7個を板書するエリアを意図的に空けておきます。すると,その不自然さに気づく声が生まれてきます。

「なんでそこが空いてるの?」

「分かった! ブロック7個が入るんだ。7個は6段で1個減ってる」

「だから今日も1個減る」

帰納的にきまりを見つける対象範囲を子ども自身が広げて考えることは,1年生のこの段階ではまだハードルが高いことが見えてきました。だからこそ,教師からの意図的な働きかけが必要になることも見えてきました。今回は偶然性の問いかけを行うことで,前述の見方を引き出すことができることが見えてきました。

その後,前時で生まれた1ずつ増えるきまり(かにシリーズ)や同じ数字が斜めに出現するきまりを使っても,10個のブロックが9段になる根拠を明確にしていくことができました。

さて,9段の階段の根拠は共有しましたが,子どもの中には「確かめないと,本当に9段になるのか分からない」と考える子どももいました。そこで,実際にブロックを並べて確かめます。

その結果,階段は子どもたちの予想通りの9段であることが確認できました。また,この活動の中で,「2と8」「8と2」にように色を反対にすることで同じ数字の組み合わせが生まれるバームクーヘンのきまりがあることへの気付きも生まれてきました。

1年生の数学的な見方・考え方の成長や,それを伸ばすための手立てを考えながら,授業を進めてみました。


 

2023年4月27日木曜日

絶対に8段!

 子どもたちに,次のように投げかけます。
「9個のブロックでできる階段は,段かな?」
数のブロックを2つに分解する階段シリーズの続きの学習です。先ずは子どもたちに,に入る数字をノートに書かせました。ここは全員が「8」と記入します。
「8だよ」
「ぜったいに8段」

子どもたちは,自信満々です。そこで,「なんで絶対と言えるの?」と投げかけます。ここから,子どもたちは自信の背景にある論理を語り始めます。

「8個の時は7段。7個の時は6段で1個増えた」
「その前も,6個の時は5段」
「そのまた前は,5個の時が4段で,ブロックが1個ずつ増えた」
「階段が4,5,6・・・と1個ずつ増えた」

ブロックの数と階段の数の両者を比べて関数的に語る説明はすぐには生まれませんでした。そこで,「階段は1個ずつ増えるんだ」と強調します。
すると,「両方一緒だ」と2つの事象を関連付ける声が聞こえてきました。さらに,両手を少しずつ上に同時に動かして,増えていく動作を表現する子どもも現れました。これらの声や動きを時間をかけて共有化していきます。

2つの変化を関連付ける見方は,この段階の1年生では少しハードルが高いことが見えてきます。しかし,一部の子どもはそれができます。そこで,その気付きを時間をかけて共有化し,その見方に価値があることとその見方を自分の言葉で言語化しアウトプットすることで脳に記憶させることが必要となります。この経験値の蓄積が,やがて子ども自身が2つの変化を関連付けていく見方・考え方へとつながっていくと考えられます。

その後,絶対に8段の子どもの考えが正しいのかを実験していきます。結果は,子どもたちの予想通りの8段の階段になりました。
結果が確認できると,「分かった,明日は9段だ」「ブロックは10個だ」と類推的に場面を拡張する声が生まれてきました。この見方は,1年生にも少しずつ浸透してきました。数学的な見方・考え方の引き出し方・育て方をいろいろと試しています。


 

2023年4月25日火曜日

8個は7段でいいの?

 前回の算数では,ブロック7個の分解数を考えました。2つの数に分解する場合は6段(パターン)あることが分かりました。そのとき,Y子が「次は7段になる」とその先を予想しました。この声を受けて,今日の学習を始めました。

先ずは「Yちゃんの予想を実験しよう」と投げかけます。昨日のY子の予想をどれだけの子どもが覚えているのかを,先ずは尋ねてみました。ところが,ほとんどの子どもたちは忘却の彼方でした。これが1年生です・・・。

その後,Y子の予想を共有します。さらに,「7段と予想したY子の気持ちは分かる?」と予想の根拠を読解していきます。

ここでK子が「昨日は7個で6段だった」と既習の学習場面に戻る声を挙げます。ここ数日で鍛えている既習と関連付ける算数の見方が表出してきました。この声をきっかけに,ブロックが7個→6個→5個の場面へと子どもたちは戻っていきました。多くの子どもたちが,ノートを使って,その場面を確認しています。ここもこの数日で鍛えている見方・考え方及び学び方です。

これらの既習から,「ブロック数が1ずつ増えると段数も1ずつ増える」というきまりを帰納的に語らせていきます。さらに,ペア説明でこれらのきまりを再現させます。

さて,子どもたちはブロック8個の段数が7段になることに対して自信を持っています。しかし,その真偽は実験をしないと確かめられません。

そこで,「どんなパターンがあるかな?」と子どもたちに尋ねます。最初に聞こえてきたのは,次の声です。

「赤1個と黄色7個」

1から順に並べようとする思考パターンが見えてきます。このブロックを並べた後,「次はどんなのを並べたいですか」と尋ねます。

「赤4個と黄色4個」

「それなら2個空けないとだめだよ」

「赤の下に2個分空ける」

「2と3の階段が入るから空けます」

子どもたちは,見えない部分の赤ブロックの並びパターンと階段の形状を意識しながら考えを進めているのです。これらも既習のブロックシリーズ学習をベースにして生まれてきたものです。着実に既習が活用されていることが見えてきました。

さて,ブロック8個でできる階段は,子どもたちの予想通りの7段になりました。授業前半の子どもたちの帰納的な見方・類推的な見方の有効性が確かめられました。

さらにここで,次の声があがります。

「明日は,9個で8段だ」

「その次は10個で9段だ」

「そのまた次は11個で10段になるよ」

ここでも類推的な見方が発揮され,次時以降の問いが子どもから生まれてきました。こちらの話題は,次回に取り組みます。

少しずつ,きまりを見つける視点やきまりを楽しむ姿が育ってきました。1年生の学びは素直でスピーディーです。




2023年4月24日月曜日

帰納的・類推的な見方の出発点

ブロックつかみゲームを続けています。ブロックの数が7個になったときのことです。

最初に取り出されたのは,赤2個・黄5個でした。このブロックを貼ります。すると「階段になる」「今日は6段になる」と声があがります。まだ1段のブロックしか貼りだしてはいないのに,その先を予想する声が生まれてきたのです。


そこで,なぜ6段と考えたのか,その気持ちを読解していきます。すると,ここから子どもたちの発想がつながっていきます。


「4月21日は6個で5段だった」

「4月17日は5個で4段。階段が1増えている」

「だから今度も1段増えて6段」

「1個減るのもある」

「ブロック5個は4段で1個減った。ブロック6個は5段で,ここも1個減った」

「今日は7個だから1個減って6段になる」


 子どもたちは,ブロックつかみ過去2回の学習をもとに,ブロック7段の段数を予想していきました。算数では,複数の情報から決まりを見つける学習が繰り返されていきます。帰納的な見方と呼ばれる考え方です。子どもたちは,この見方を使って,未知のブッロク7個の場合の段数を予想することができたのです。この段階でここまで考えられるのは,すごい子どもたちです!

 

その後,本当に階段が6段になるのかをブロックを並べて確かめていきます。結果は,子どもたちの予想通りになりました。


すると今度は「8個なら7段になる」「9個なら8段」「10個なら9段」と,さらに先の階段数を予想する声も生まれてきました。こちらは類推的な見方です。


この時間,帰納的な見方・類推的な見方の両者が生まれてきました。しかし,これらの見方ができる子どもはまだ一部です。だからこそ,その声の意味を時間をかけて読解し共有するとともに価値づけていくことが必要になります。1年生のこの段階からの教師の意図的な働きかけがなければ,子どもたちの数学的な見方・考え方を培うことは難しいのです。

2023年4月23日日曜日

「めあて」「まとめ」は本当に必要ですか?

授業の冒頭に「めあて」を板書し,終末には「まとめ」を板書する。これって本当に必要ですか? このことに疑問を感じた訴えが声が私に届きます。

「めあて」「まとめ」を板書するのは誰のためですか? 教師の自己満足ではないですか?

「めあて」「まとめ」を板書することで,教育効果が現れるという一部の識者がいますが何を根拠にそう述べているのでしょうか? まさか子どもへのアンケートではないとは思いますけど。子どものアンケートの客観性はかなり低いです。昨日と今日では同じ設問でも異なることを答えることは現場教師なら実感として知っているはずです。

本当に効果があると述べるためには,実証実験が必要です。「めあて」「まとめ」を板書したクラスとそうではないクラスを数年かけて追跡調査するのです。しかも,そのための子どもの人数は相当数必要です。効果があるか否かを判断するには,比較実験が必須です。医薬分野では当然のことです。しかし,このような実験を行っていないのにも関わらず,「効果がある」と述べるのはいかがでしょうか・・・。

東北大学加齢医学部の川島隆太先生は,スマホが子どもの学びに与える影響について仙台市教育委員会と協力して,7万人の児童・生徒を対象に9年間の追跡調査を行っています。ここでも比較実験を行っています。従って,川島先生のデータや所見は納得ができます。

大切なことは,今,何がクラス全体で問題(問い)になっているのかを全ての子どもが自覚化することです。その問いは,時々刻々と変化していきます。問いを子どもが自覚化しているかどうかが重要なのです。板書したからといって,そのめあてを子どもが自覚化しているとは限りません。多くの場合,教師が授業冒頭に板書する「めあて」は,子どもが解いてみたい問いにはなっていません。単なる命令文です。それでは意味がないのです。

また,前述した通り,時々刻々と問いは変化します。従って,授業冒頭の「めあて」が45分間も続くことは通常ではありえません。 

新年度の授業がスタートして2週間。自分の授業スタイルを見直してみませんか?

2023年4月22日土曜日

あの名著!?が復刻かも・・・

 国立教育政策研究所の算数教科調査官を務められた小松信哉先生から,

「尾﨑先生の“ズレ”を生かす算数授業―子どもがホントにわかる場面8例ーは名著です。私の授業バイブルです」

と絶賛されたことがあります。明治図書から発刊されたこの本は,現在は手に入れることができません。かなり前に発刊されていますので絶版扱いになっています。

ところが,明治図書ではこの本の復刻投票を行っています。この名著!?をお読みになりたい先生方,是非,以下の明治図書ページから復刻への1票を投じていただけたら幸いです。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-529917-6



2023年4月21日金曜日

前の学習とつなげる!

2色のブロックを取り出すブロックつかみゲームを行いました。実は前回も同様のゲームを行っています。前回は5個のブロックを取り出しました。今回はその数を6個に変えました。この変化へ気付きが早々に聞こえてきました。よき見方が生まれてきました。


 最初に取り出されたのは,赤2個と黄4個です。異色なので1点です。

次に取り出されたのは,赤3個と黄3個です。これも異種なので1点です。

ここで,黄色のブロックを赤の下にわざと貼りました。すると「そこじゃない」と声が聞こえてきました。並べる位置に違和感を抱いたのです。

そこで,どこに置くのかを考えさせます。子どもたちは,「黄色の下」「そこに置くと階段になる」と貼る位置とその理由を説明してきました。黄色と赤を分けることで,前回の学習で発見した色の階段が見えやすくなると子どもたちは考えたのです。既習とつなげたよい見方が生まれてきました。


その後,同様にブロックつかみを続けていきます。最終的に5パターンのブロックの組み合わせがあることが分かりました。そこで,「階段は5段できるんだね」と子どもたちに投げかけます。「うん」という返事に混じって,「違うよ」「(ブロックの)数で違う」「この前は4段だった」という声が聞こえてきました。


「この前は4段だった」という子は,前回のノートに書かれた4段の階段のページを開いて隣の友だちに教えていました。算数はこれまでの学びの上に位置付きます。それを想起する手立ての一つがノートです。前のノートを見ることで,記憶を呼び起こすことができるのです。今後の算数学習で大切な姿を引き出すことができました。


この発見をきっかけに「ブロック5個の階段は4段」「ブロック6個の階段は5段」「階段が1段増えている」と関数的な変化へのきまりへの気付きも生まれてきました。


学びが連続する見方が繰り返し生まれてきた1時間となりました。1年生のこの時期で,既習の学びとつなげられる1年生は大したものですねえ。

10の見方

 20分ほどの算数授業の一コマです。10個のボールシールを,ランダムに貼ります。その後,すぐに隠します。

「ボールは何個見えた?」

この問いかけに対して,「10個」「8個」「7個」「6個」と子どもの答えにズレが生まれます。このズレの原因を考える中で,子どもたちは「横に並べたらいい」と考えます。

そこで,バラバラのボールを横に並べてもらいます。代表の子どもが,ボールを4個横に並べます。ここで,この状態に並べた気持ちを読解します。

「横に並べると1,2,3,4と数えやすい」

「分かりやすい」

1年生なりの言葉で,一生懸命に説明します。

その後,5個目をどこに貼るのかを考えさせます。これは全員が4個目の右側でした。次に,6個目の貼る位置を考えさせました。すると,これは2つに分裂します。1個目下に貼り,2段にする考えと,5個目の右側に貼る考えです。私は,5個目の右が多いと予想していましたが,2段にする考えが6割ほどでした。これにはびっくりでした。

横と2段に並べる考え方の,それぞれの気持ちを読解していきます。

「横に場所があるから,1,2,3,4,5,6個と並べればいい」

「横なら,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個と数えやすくなる」

最初の説明は,提示された6個目までの範囲で理由を語っています。ところが,次の子どもはまだ提示されていない7個目以降の場面に対象範囲を拡張して説明しています。1年生でも仮定の考え方を活用できる姿にびっくりです!

「(2段なら)場所がなくても貼れる」

「5個ずつの方が数えやすい」

2段の並べ方に対して,10を5と5と分解する見方が分かりやすいとする考えが生まれてきました。そこで,「2段にするなら,6個と4個でもいいんじゃないの?」と投げかけます。これに対しては,「数えにくい」「5と5が分かりやすい」と反論があがります。子どもは感覚的に,10を5と5と見るよさを持ち合わせているようです。



2023年4月19日水曜日

新刊本「教材研究×算数」(明治図書)発刊!

 明治図書から「教材研究×算数」の新刊本が発刊されました。国立教育政策研究所の笠井先生や新潟の間嶋先生・志田先生,東京の永田先生,千葉の平川先生をはじめとした熱き算数同志で執筆した本です。是非,お求めください。

詳細は以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-481325-0



2023年4月18日火曜日

8がない!

たくさんのシールをホワイトボードに貼ります。子どもからは「えー」「多過ぎ」「わかりにくい」と声があがります。

そこで,「どうしたらわかりやすくなるかな」と子どもに尋ねます。

ここから生まれてきたのが「並べる」という発想でした。子どもたちは,バラバラに貼られたシールを,種類ごとに並べていきました。ペンギンは10匹います。これを横に並べていきます。その後,最初のバラバラ状態と比較させます。子どもたちは「わかりやすい」「数えやすい」と,そのよさを実感することができました。

 

その後も同様に,風船9個,リンゴ7個,ミカン7個,ボール6個,金魚6匹と並べていきました。また,並べたカードが比較しやすいように,上下のカードの位置を揃えるという発想も生まれてきました。素敵な見方が生まれました。


さて,シールを並べ終えた子どもから,「6,7,8,9,10だ」と声が挙がります。

しかし,このシールには意図的に8個は入れていません。子どもたちも,8が欠落していることに気が付いてきます。授業では,そこから素敵な発想が生まれてきます。

「あれ,8がないよ」

「だったら,リンゴを1個増やしたら8個になるよ」

「5もないよ」

「6が2つあるから,金魚を1匹とれば5ができるよ」

「そうすると,また階段ができるよ」

 

ばらばらだったカードを並べ替えることで,新しい見方が生まれてきました。なかった数字を工夫することで創り出す発想も大したものでした!



2023年4月17日月曜日

階段になってる!

算数の時間,ブロックを使ってゲームを行いました。袋の中に赤と青の2色のブロックが入っています。中を見ないで,袋から5個のブロックを取り出します。取り出したブロックが2色で構成されていたら1点です。赤のブロックだけで5個,青のブロックだけで5個取り出した場合は0点となります。ただし,前の子どもと色の構成パターンが同じ場合はアウトとなります。従って,後半になるほど難易度が高まります。


代表の子どもたちがブロックを引いていきます。最初の子どもが引いたのは,青2個・赤3個でした。これは2色なので1点です。

その後,「青4個・赤1個」「青3個・赤2個」「青1個・赤4個」と子どもたちは順調にブロックを引いていきます。同じ組み合わせのブロックを引く子どもはほとんどいませんでした。2組の子は強運の持ち主ですね。



さて,子どもたちが引いた2色のブロックを私は意図的に写真のようにバラバラに並べました。

しばらくすると,「並べるとわかりやすい」「赤と青反対」などの声が聞こえてきました。私の並べ方に違和感を抱いたのです。1年生でもこのような感覚は備わっているのですね。大したものです!

 

その後,子どもたちは赤を左側・青を右側に並べ替えました。しかも,赤のブロックを(上から)「4,3,2,1」の順に並べた方がわかりやすいと考えました。その結果,板書されたブロックをゲームの順ではなく,赤のブロックの数順に並べ替えていきました。ここまでできる発想力,すばらしいですね。


すると今度は,「1,2,3,4になってる」「階段になっている」「反対の階段もある」「赤が10,青も10になっている」と,並べ替えた結果から見えてきた新たな発見を発表してきました。

このような学びの過程は,6年間の算数学習で繰り返し現れる場面です。その最初の学びの場ともいえる一コマでした。


本教材は,「板書シリーズ算数1年上」東洋館出版社から引用しています。

2023年4月14日金曜日

3が3個ある!

 算数時間の一コマです。〇が9個ある画像を一瞬だけ提示します。

「3はあった?」

私の問い掛けに,「ないよ」と一斉に声があがります。そこで,「3はないね」と私が言うと,「あるよ」「ないよ」「3が3個あったよ」「本当だ」と声が続きます。

そこで,本当に3が3個あったのかを確認します。〇を3個ずつ囲んでいきます。合計3セットあることが分かりました。

するとここで,「まだ他のもあるよ」「4と5がある」と声が続きます。9個の丸の多面的な見方が生まれた瞬間でした。数や形を多面的に見る力は,算数では大切な見方です。その見方は,1年生のこの段階から少しずつ育てていくことが大切ですね。

子どもたちはこの後も,「1と3と5」「4と1と4」「2と3と4」「2と2と2と2と1」「2と2と5」と実に多様な見方を発揮することができました。時間切れでここで終わりましたが,子どもからは「まだある!」という声が続きました。多面的な見方は,子どもの学びの熱を高めますね!

本実践は,「板書シリーズ1年生上」東洋館出版社の教材を参考にしています。



2023年4月13日木曜日

3がない!

たくさんのシールをホワイトボードに貼ります。前回「3」の学習をしているので,「リンゴが5個ある」のように物と数を対応させた声が聞こえてきました。学びが着実に定着していますね。賢い子どもたちです。


その後,リンゴ・チューリップの数が5,風船・金魚の数が4,ミカンの数が2,車の数が1であることを順に確認していきます。さらに,それらの数詞の書き方を練習します。


今回のシールには仕掛けがあります。子どもたちがどこでそれに気が付くかを待っていました。


子どもから気づきの声が挙がったのは,車の数を確認した後のことです。

「1,2,3,4,5になっている」

「えっ? 3はないよ」

「ミカンと車を合わせたら3ができるよ」

「でも,そうすると1と2がなくなっちゃう」

「ミカンと車をたしたら変だよ」

「ミカンは食べ物で車は食べ物じゃないから合わせたらだめだよ」

「それなら4匹の金魚から1匹とったら3だよ」

「そうすると1匹の金魚がかわいそうだよ」

「金魚がさみしいよ」


1年生でも異種の量をたしてはいけないことを認識できることに,びっくりしました。また,1匹の金魚をどこかに移動させるとかわいそうだという感覚も1年生らしくて素敵ですねえ。


10までの数を学習している段階ですが,自然にたし算や引き算の見方も生まれてきました。すごい1年生集団です!


2023年4月11日火曜日

「3」を学ぶ

ホワイトボードに様々なシールを貼ります。「何が見える?」の私の投げかけに,「ボール」「トマト」などの声が挙がります。

様々な声の中からボールを取り上げます。子どもたちに「ボールが見えるの?」と投げかけます。「ある」の声に続いて,「3個ある」と数値化する声が聞こえてきました。単に「ある」ではなく「3」という具体的数値に置き換えて考えられることは,算数では大切な見方です。

その後,ボールが3個あることを確認していきます。先ずはボールが1個ある場所を確認します。確認が終わると,両腕を交差させてボールを指さす姿が見えました。この姿の意味を,全員に投げかけます。

「ボールがあと2個あるから,両方の手で指したんだよ」

残りの2個を,両腕で指し示したのです。この姿から,1年生なりに3が1と2で構成されることを認識したことが分かります。

これでボールが3個あることは確認できました。この確認と同時に,ノートにもボールと同じ数だけ○を描きました。初めての算数ノートを使う瞬間でした。ここでもいろいろな姿が見えましたけどね・・・。ここは省略します。


その後,「3個あるのはボールだけだね」と投げかけます。すると「違う!」「ペンギンも3だ」と声が挙がります。そこで,「本当に3なの? 」との投げかけると,今度はほとんどの子どもたちが両腕と指を駆使してペンギンの3カ所を指しています。なんともかわいい姿です。


ペンギンも「3」であることを確認した後は,教室にある「3」を探しました。これは様々な見方が生まれてきました。

先ずは,カレンダーにある「3」や時計の文字盤の「3」のように3そのもの。次に生まれてきたのは,「めあて」の3文字や「花束が3つ」のように3つで構成されるものです。1年生でも,数字そのものと3つの構成物とを使い分けて考える姿にびっくりです。その後,驚きの声が生まれてきます。

「『あ』にも3がある」

「あ」に「3」はありますか? そうです。画数です。まだひらがなの学習は始まってはいませんが,「あ」が3画で構成されることを見つけたのです。恐るべし1年生です。



2023年4月8日土曜日

スタディーサプリで勉強します!

 今年の私の担任は1年生です。入学式でお会いした保護者の方の中には,ご兄弟が小学校に在籍している方もいらっしゃいます。その方からは,「兄(姉)の算数はスタディーサプリで勉強します」とうれしい声をいくつも掛けていただきました。でもこれって,喜んでいいのかなあ・・・?

昨年担任した6年生のA君のお家の方は,4月当初「3月まではスタディーサプリで尾﨑先生の算数を勉強していましたが,4月からは担任になってもらえたのでスタディーサプリは解約しました」とお声がけいただいたこともあります。「えー!」と営業的には思いましたが,これまたうれしい悲鳴です。

スタディーサプリ1~3年講座開講

 スタディーサプリでは4~6年生の授業動画を公開しています。今年度からは,1~3年生向けの講座もスタートしました。ただし,こちらはアニメーションで授業解説を行う設定となっています。発達段階にあった子どもの集中度を考えると,このようなすみ分けもありですね。基本的に自習学習用コンテンツですので。

小学校1~3年生講座は,以下からご覧ください。下のアドレスは3年生ページです。

https://studysapuri.jp/course/elementary/sho3/

新年度はスタディーサプリでスタート!

新年度が始まりました。先生方から「教材研究はどのようにしていますか」「どうしたら,先生のような授業アイディアが思いつきますか」という質問をよく受けます。現場の先生方は忙しすぎます。英語も教え,国語も教え,社会も教え,体育も教え…。時間が足りませんよね。そんな中でもよい授業を提供されたいという熱い思いが,前述の質問へとつながるのだと思います。

簡単にできる教材研究方法は2つです。

1つ目は,東洋館出版社から販売されている板書シリーズの本を参照されてください。本書は,全学年・全単元の算数授業を見開き・板書付きで授業マニュアルを掲載しています。

お求めは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.toyokan.co.jp/a/search/books?filter_%E6%95%99%E7%A7%91_filter=%E7%AE%97%E6%95%B0%E3%83%BB%E6%95%B0%E5%AD%A6%E7%A7%91&filter_%E4%BA%BA%E6%B0%97%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9_filter=%E6%9D%BF%E6%9B%B8%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1

2つ目は,4~6年生限定ですが,リクルート提供の「スタディーサプリ」をご覧ください。こちらは全単元の授業を私の授業動画で提供しています。

「スタディーサプリ」は,子ども自身で学ぶことができることを想定して作成されています。算数が心配な子どもたちにも活用してもらいたいと考えています。

授業動画を提供する類似コンテンツは多くありますが,小学校の現場教師が企画・教師役を務めるのはスタディーサプリだけです。また,授業展開も,「主体的・対話的で深い学び」を想定したものとなっています。まるで尾﨑学級の算数教室を再現したものとなっています。是非,ご活用を!

「スタディーサプリ」は以下のアドレスからご覧ください!

https://studysapuri.jp/course/elementary/sho4/

新年でも愉しい算数でスタートをしましょう!

入学式の算数でズレを引き出す⁉

 新年度がスタートしました。私は1年生の担任です。昨日は入学式でした。体育館での式終了後,教室へと入ります。そこで,簡単な数真似っこゲームを行いました。

「先生がタンバリンを叩きます。先生がタンバリンを叩いたのと同じ数だけ,同じ速さでみんなも手を叩いてください」

この私の言葉に,「それはタンバリンじゃないよ」と指摘する声があがります。私が持っていたのは,革のないタンバリン。幼稚園などで使っていたものとはタイプが違います。そこからこんな指摘が生まれてきたのです。うーむ,なかなか物を見る眼が鋭い子どもたち!楽しくなりそうです。

さて,ゲーム開始です。先ずは,2回,4回と進めていきます。その後,回数を増やします。子どもたちは頭を前後に振りながら,私が叩く回数を数えていました。かわいい子どもたちの姿です。

その後,「もっと速くしても大丈夫?」と尋ね,叩くスピードをアップします。すると,7回たたいた時に,「6回」「7回」と子どもたちの手拍子回数にズレが生まれす。「あれ?」との私の声に「6回」「7回」と回数を数値化して声に出す姿が見えました。この数値化の声をすかさず褒めます。見えない拍手を見える化したのです。よい視点です。

子どもが認識した手拍子回数にズレが生まれました。そこで,次のように尋ねます。

「6回だと思う人はパー,7回だと思う人はグー,実は本当はよく分からないという人はチョキを挙げよう」

見事に3つに分裂です。正直にチョキを挙げた子どもたちを褒めます。分からなさを表現できることは,とても立派な姿です。子どもたちの周りには,すし詰め?の保護者の方が見守っているのです。そんな中でも正直に分からなさを表現できるのですから。

子どもの認識にズレが生まれたので,もう一度タンバリンを叩きます。子どもたちも頭でリズムを取りながら慎重に音を聞いています。叩き終わると同時に「7回」と声があがります。その後,全員で「7回」の手拍子を行いました。

こんなことを繰り返しながら,入学式で算数授業?を行いました。あっという間に時間が経過していました。子どもたちも保護者のみなさんも楽しそうでした。

さて,このゲームですが,実は「10までの数」をいつの間にか学習していたのですねえ。