2023年2月27日月曜日

あまりのあるわり算の応用

 子どもたちに次の問題を提示します。

「アスカ,カノ,ノリコ,ココアの4人でババ抜きをします。ジョーカーを含めたトランプ53枚を,1人1枚ずつ矢印の順に配り,全部のカードを配ったところで,手元のカードをチェックし,同じ数字のカードがあったら,2枚セットで捨てました。すると手元に残っている枚数のカードは,下のようになりました。誰からカードを配り始めましたか。

アスカ(7枚)→カノ(6枚)→ノリコ(9枚)→ココア(9枚)→」

問題文の長さに,子どもたちは先ずは驚いていました。その後,「アスカ(7枚)」「カノ(6枚)」などの情報から,「7+2+2+・・・」などの計算を始めました。しかし,これではうまくいきません。

しばらくすると,次の声が聞こえてきました。

「トランプは52枚だね」

「ジョーカーを入れると53枚になる」

「トランプを4人で分けるということだね」

「それなら53÷4で13あまり1になる」

53枚を4等分することで,解決の糸口が見えるのでは亡いかと子どもたちは考えました。商の13は,1人分のトランプの枚数,あまりの1は誰か1人だけトランプが1枚多くなることを,わり算の式から見出していきました。

これで「わかった」と声をあげる子どもが出てきました。一方,まだ解決策が見えない子どももいました。そこで,ヒントを出してもらいます。

「もし,アスカから配ったとする。アスカ,カノ,ノリコ,アスカ,カノ,ノリコ,ココアと配っていって,最後の1枚はアスカになる。だからアスカが14枚」

「アスカが14枚なら,2枚ずつ引いても7枚にはならない」

「カノが14枚なら,2枚ずつ引いたら6枚になるからカノ」

「捨てた数は2枚セットだから,必ず偶数になる」

「奇数枚もらった人が,偶数枚捨てても,残りは奇数。偶数枚もらった人が,偶数枚捨てたら偶数枚にしかならない」

「だから,今偶数枚のカノしかいない」

実は,この学習は3年生の「あまりのあるわり算」の発展問題です。問題文のあまりの強いウ分に頭を悩ませていた子どもたちですが,よーく考えたら3年生の学習で解くことができる内容だったのです。

この問題も「5分で論理的思考力ドリル」(学研)から出題しています。




2023年2月26日日曜日

今年度のオンライン研修フィナーレ

 2022年度オンラインでの研修会が,先週で終わりました。最後の研修会では,4本の授業についての講評を行いました。15分ほどの編集していただいた授業ビデオを視聴した後の講評でした。15分の視聴でも45分の流れのだいたいは見えてきます。実際の訪問では,3分ほどの授業参観でも45分の流れはだいたい見えます。

そう考えると,45分間の設計の仕方が見えてきます。「すべての教育営為には意味がある」ことを念頭に,教師の指示・発問や子どもの呟きの取り上げ方を考える必要がありますね。教師は授業のプロ(専門職)です。だからこそ,1分単位での時間意識と45分のコーディネート力が必要ですね。

2023年2月24日金曜日

真ん中の丸はいくつ?

子どもたちに,次の問題を提示します。

「丸の中に,1〜9の数を1つずつ入れます。丸を結ぶとできる正方形が 6つ隠れています。正方形の角にある4つの丸の数をたすと,どの正方形も合計は20です。真ん中の数はいくつですか」

最初に聞こえてきたのは,「正方形は5つしかない」という声でした。問題文前半に着目したのです。そこで,正方形が6つ本当にあるのかを確認します。赤の磁石が置かれた斜めの正方形を見落としている子どもが,たくさんいました。これを含めると,正方形は6つになります。

その後,自由に取り組ませます。子どもたちは,丸の中に自由に数字を入れて試していきます。しかし,これではうまくいきません。やがて,「力業?」「どうやるの?」と困った心理状況を表す声が聞こえてきました。

そこで,解決策をクラス全員で考えていきます。

「1〜9が入るから,丸9個の数字の合計は,1+2+3+・・・+9で45になる」

「青の磁石が角にある一番大きい正方形の角の合計は20」

「赤の磁石があるダイヤ型の磁石の合計も20」

ここまでの声で,「あ,そうことか」と解決策が見えてきた子どもが,一気に増えました。

「青と赤の正方形は丸がだぶらない」

「だから,真ん中の丸だけ残る」

「45から赤の20と青の20を引けば,5だと分かる」

「小さい正方形は,丸が重なっているから使えない」

当初の子どもたちは,全ての丸に数字を当てはめようとしていました。しかし,この問題では真ん中の丸の数字だけが分かればいいのです。従って,上記のような考え方で求めることができるのです。

本問題は,「5分で論理的思考ドリル」(学研)から引用しています。


卒業論文に取り組む!

いくつかの算数授業の中から1つの授業を選択させ,その授業を紙面で再現する活動を行いました。算数版の卒業論文活動です。1〜2時間の授業をA4版の白い画用紙に再現していきます。1枚に収めるためには,必要な情報を要約する必要があります。さらに,その要約文章には的確な自分の意見等をコメントしていく力も必要になります。また,なにをどの場所に位置づけるのかをデザインする力も必要となります。算数ですが,国語力も必要なる活動です。「声に出して読みたい日本語」の著者である国語学者の齋藤孝氏は,社会人に必要な力として「要約力」「コメント力」をあげています。この活動は,これらの力を培うことにも役立ちます。


2〜3時間をかけて,子どもたちの卒業論文は完成しました。その後,お互いの論文を読み合う時間も設定しました。読解活動です。どの論文にも「読みやすい」「授業の様子がよく分かる」と声があがりました。子どもたちの論文は,後輩の子どもたちに見せるお手本になります。













2023年2月21日火曜日

今年の全国算数授業研究大会予定

 2023年の全国算数授業研究大会予定をお知らせします。

東京で開催される本大会は,8月5日(土)~6日(日)です。今回は対面開催です。子どもを会場に入れての公開授業も,合計5本予定しています。会場は,例年通り筑波大学附属小学校です。

地方大会は,今回は宮城県仙台市で開催されます。12月2日(土)です。会場は,仙台白百合学園小学校の予定です。

詳細が決まりましたら,お知らせします。お楽しみに!

ピースの入れ方を考える


 15分ほどの時間を使って,算数授業を行いました。
「AとBのピースがたくさんあります。みあさんは,AとBのピースを合計10個ケースの中に隙間なくぴったり入れます。AとBのピースは,それぞれ何個使いますか」
Aは4ます,Bは3ます,ケースは縦・横6ますの合計36ますで構成されています。
子どもたちは,当初は適当にピースをケースに当てはめて考えていました。しかし,この方法では,うまく条件に合う入れ方はできません。
しばらくすると「線対称」という声が聞こえてきました。そこで,この声の意味を共有していきます。
「36ますで考えると,多すぎる。半分に分けると18ますになる」
「18ますに入れて,それと同じのを残りに写せば,線対称になってできる」
半分だけ考えたらよいとする線対称や並べ方の学習でも活用されたアイディアが,ここでも生まれてきました。
さらに生まれてきたのが,仮定の考え方です。
「ピースは合計10個だから,半分なら5個でいい」
「もしBだけを入れたとすると,3ますが5個だから3×5で15個。これでは18ますにたりない」
「だからAを1個,Bを4個にすると4+3×4で合計は16ます。次に,Aを2個,Bを3個にすると4×2+3×3で合計は17ます」
「あれ,1個ずつ増えている」
「だったら,計算はいらない」
「次はAを3個,Bを2個にしたら,17+1で18個。これがぴったり」
「線対称だから,この2倍でAが6個でBが4個になる」
全部Bを入れたとするとと,場面を仮定する考え方が生まれてきました。そこから,少しずつ場面を転換していくことで,正しいピースの組み合わせを見つけていくことができました。
中学校数学なら,連立方程式を作ることですぐに解くことができる問題です。小学生では,場面を仮定して考えることで,この場面を解いていくことができるのです。



 

2023年2月20日月曜日

充実したオンライン講座

 昨日は,全国算数授業研究会オンライン講座でした。参加された先生方,ありがとうございました。

公開授業,ワークショップ,公演と盛りだくさんの内容でした。今回は北信越・東海・関西地区の理事・幹事で仕事を担当しましたが,この地区の先生方のレベルの高さを物語る内容でした。オンライン限定講座ではもったいないレベルでした。

次回は,3月4日の京都でのGAKUTO講座です。京都は梅が満開に近づいています。こちらも盛り上げていきます。お楽しみに!

2023年2月19日日曜日

全国算数授業研究会オンライン講座です

 本日は,全国算数授業研究会オンライン講座開催日です。理事・幹事に招待された先生だけが参加できる限定講座です。

参加される先生方,本日の講座での学びを明日以降の算数授業改革や勤務校・ご近隣の校内研修改革に役立てていただけたらと考えています。学校授業の質の低下が懸念されています。是非,参加される先生方のお力でこの波を上昇させていただきたいと考えています。

2023年2月14日火曜日

算数改革の学校訪問

 昨日は大阪府内の小学校の算数研修会に参加しました。4年間,連続して訪問している学校です。年間2〜4回のペースで訪問をしてきました。コロナ前は全クラスを訪問しました。このような前向きな学校は,着実に先生方の授業が変わっていきます。それにつれて,子どもの学びの姿も素直になり,価値ある呟きも聞こえるようになります。

私の講座の中で,日本電産創業者の永守重信氏の言葉「すぐやる・必ずやる・できるまでやる」を紹介しまし。資産0から年間売り上げ2兆円企業を立ち上げた永守氏の経営哲学です。これは授業改革にも当てはまると考え,紹介しました。

この言葉が,研修会後の職員室で飛び交っていたそうです。学んだことを「すぐやる」姿勢のあるこちらの学校は,これからもきっとよい方にさらに改善していくことは間違いないですね。

来年度からは,教科を変えて研修を行ういうことで,最後は全職員の方々からお見送りしていただきました。まるで転勤の送別会の様相でした。素敵な学校に長年関わらせてもらい,私も勉強になりました!

2023年2月13日月曜日

学校改革・授業改革に必要な条件

 学校改革・授業改革に最低限必要な条件があります。それは,全員が授業公開することです。当たり前のことですよね。かつて田中博史先生から公立学校日本一とお墨付きをいただいた新潟市立浜浦小学校は,1人年間3回の公開授業を行っていました。3回は難しいとしても,1回は行うことが最低条件ですね。

また,指導案は略案でよいですが,必ず作成することです。授業の流れを文章化することで,授業展開の細かいところが見えてくるからです。

最近は,例えば学年3クラスあったら,指導案を3名連名で1枚で済ます学校もあるようです。クラスが異なれば子どもも異なり,教師の指導の思いや主張も異ります。それが同じ指導案ということは,全く同じ展開を進める自信があるということになります。しかし,実際にはそうはなりません。

学校改革でお声がけいただいた学校には,全クラスの授業を参観させていただきます。3分ほどの訪問ですが,その先生の授業に対する姿勢や子どもとの関係,授業の作り方などが分かります。たとえ同じ指導案での授業であったとしても,教室の空気感は全く異なります。それは教室に入った瞬間に分かります。「温かいなあ」「冷たいなあ」と感じます。

2023年2月12日日曜日

学校改革・授業改革に必要なこと

 昨年,京都第2向陽小学校とのコラボ企画本を出版して以来,新規で学校改革のご依頼を受けるようになりました。ありがたいことです。

ところで,私が訪問することで学校が劇的に変化するのかといったら,そんなことはありません。私は魔法使いではありませんので。

学校を変えるのは,最後はその学校の先生方です。私は,そのお手伝いをするだけです。変えるためには,すべての先生方が授業改善を継続する以外の手だてはありません。代表の先生だけが研究授業をするシステムでは,学校改革は失敗します。

また,授業改善を苦痛に感じるようでは,その改革はなかなかうまく進みません。京都第2向陽小学校の先生方は,この授業改善を楽しまれていました。だからこそ,算数日本一の学校へと変革できたのです。授業改善を苦痛に感じるか,楽しいと感じるかで,その結果は大きく異なります。教師という仕事は,本当に大変な仕事です。しかし,本務である授業改善については楽しめる心を持つことが,ポイントですね。


京都第2向陽小学校の企画本は以下のアドレスから,お求めになれます。

https://www.toyokan.co.jp/products/4105

2月は研究会が続きます

 2月も中旬に入りました。もうすぐ年度末ですが,研究会や研修はまだまだ続きますね。

本校の研究会は2月4日でした。その後も,大阪・兵庫と各学校の研究会や校内研修に対面やオンラインで参加しています。明日は,大阪での対面の校内研修です。こちらは4年間私が入っている学校です。着実に研修成果が見えています。やはり,長い期間関わると,変化が見えてきますね。

来週末は,会員限定ですが全国算数授業研究会オンライン研究会もあります。こちらは,私が講演を行います。

3月も研修会は続きます。こちらは私の公開授業も予定されています。

2023年2月11日土曜日

淡路島講座は授業公開実施!

 先日お知らせした7月30日(日)の淡路島での算数講座では,授業公開を行うことになりました。異学年を集めての授業になりそうです。さて,どんな授業になるでしょうか。これから私も作戦を考えます!

夜の勉強会

 昨日は大阪吹田市の先生方と,午後6時半過ぎから勉強会を行いまいした。勤務時間が終わった後にも関わらす,多くの先生方が集まって下さいました。公的な研修会とは異なり,勤務時間を超えて参集する先生方には,驚くほどのパワーがありますね。

昨今,働き方改革で研修会も縮小傾向にあるようです。しかし,一流の企業人は週末に自費で学びの会に参加されています。一流の授業者をめざすのであれば,この心意気は必要ですね。

さて,夜の研修会では私の模擬授業,そして先生方のお悩み相談など多岐に渡るメニューを行いました。モチベーションの高い先生方との勉強会は,私のモチベーションも上がります!

2023年2月7日火曜日

国語の研究会

 昨日は,大阪府内の小学校に国語の指導に行きました。1年生説明文の公開授業でした。元気ですが,するどく友だちの言葉に関わることができる子どもたちでした。

国語の算数も,基本は子どもたちの呟きや動きをどれだけ教師がキャッチすることができるか。さらにそれらの姿を,いかに授業の舞台に載せることができるかにかかっています。このことを改めて実感した国語の研究会でした。こちらの学校は,来年からは算数で研究を進めるようです。私としてはうれしい限りです!

2023年2月5日日曜日

今年の夏も淡路島で算数楽しみmath!

 昨年夏,兵庫県淡路島で開催しました淡路楽しmath主催の研修会が,今年も開催されることになりました。

日時:7月30日(日)午後開催

会場:洲本市民交流センター

内容等は,決まり次第お知らせします! 今年の夏も,淡路島でお会いしましょう!

2023年2月1日水曜日

「図解 算数の授業デザイン」(明治図書)刊行!

3月10日に明治図書から新刊本「図解 算数の授業デザイン」が刊行されます。

本書は,イラストをたくさん取り入れた読みやすい中身となっています。子どもが動き出す算数授業づくりの視点を,9つの章に分け述べています。若い先生にも,ベテランの先生にも学びのある1冊仕上げました。是非,お求め下さい!