2023年6月26日月曜日

小さい方が勝ちゲーム!

 「小さい方が勝ちゲームをしよう」と子どもたちに投げかけます。

ルールは簡単です。2チームの対抗戦です。代表の子どもが袋の中から,計算カードを取り出します。その答えが小さい方が勝ちです。ただし,袋の中に入っているのは「10−」の計算カードです。

1回戦。星チームが10−8のカードを引きます。それと同時に「負ける」という声が相手の月チームから聞こえてきました。このような反応が聞こえてくるのはいいですねえ。

そこで,この声を取り上げ「『負ける』と言っている人がいるけど,気持ちは分かる?」と,全体で共有していきます。

「10−9なら勝てるけど」

「でも,10−7だと負ける」

「10ー4も負ける」

「10−1も負ける」

が7〜1だと負ける」

子どもたちは,まだ引かれていないカードを推測し,月チームが勝てる可能性が低いことを説明してきました。しかし,勝負は分かりません。

月チームがカードを引きます。結果は「10−7」なので,予想通り月チームが負けてしまいました。

2回戦は,月チームが先攻です。引かれたのは「10−1」です。この瞬間「負けた」という声が月チームからあがります。この声も共有していきます。

「答えが9だから,これよりも大きい答えが出るはずがない」

「10−0がでるなら勝てるけど・・・」

ここでもカードの構成を考えた声が生まれてきました。

果たして,結果は・・・。星チームが「10−9」を引いたので,星チームの圧勝となりました。子どもたちの予想通りの結果となりました。

ここまで4枚の数字カードが引かれました。これらのカードは,私はランダムにホワイトボードに貼っていました。すると,K子が前に出てきて,ランダムなカードをひく数の大きい順に並べ始めました。

そこで,「なんでK子さんはこんなふうにカードを並べたのかな。気持ちは分かるかな」と尋ねます。

「右が9,8,7となるようにした」

「9,8,7,6,5,4,3,2,1とした」

まだ見えていない引く数が6〜2についても対象範囲を広げて声が聞こえてきました。

その後もゲームを続けていきます。カードを引くたびに,「やっちゃった」「絶対勝った」などの素敵な声が聞こえてきました。このように数に積極的に関わっていく姿はとてもいいですねえ。




2023年6月23日金曜日

袋の中のカードは何枚?

 子どもたちに次のように投げかけます。

「袋の中に残っているカードは何枚ですか」

この問いかけと同時に,「何枚?」「最初は?」という価値ある声が聞こえてきました。

そこで,これらの声を共有していきます。「最初ってどういうこと?」の投げかけに,子どもたちが次のように説明してきます。

「(係活動の)宝探しと同じだ」

「袋に最初に入っている数が分からないと,残ったのが分からない」

「最初の数が分からないと困る」

「宝探し」というのは,係の子どもたちが教室に隠したお宝を探すゲームです。このゲームでは,お宝の数が分からないと終わりが分からないということに子どもたちが気づきました。そこでの見方が,この場面でも生きてきたのです。異種の領域とつなげて見方を活用する子どもたちの考え方に,びっくりです。

袋の中からカードを3枚引き出します。これでは袋の中のカードは分かりません。最初の数が分からないと,残りがやはり見えてきません。そこで,最初の数が8枚であったことを伝えます。

8枚から3枚取り出したので,「8−3」で残りを求められることを説明していきます。

その後,最初の数が分かれば残りの数が分かる考え方の偶然性を尋ねます。驚くことにこの段階で,半数以上の子どもたちがこの考え方を疑っていました。

そこで,最初の袋の数を変更して実験をしていきます。9枚,7枚,10枚と枚数を変えても,同じ方法で残りの枚数を求めることが見えてきました。当初は疑っていた子どもたちも,最後は納得をしていきました。

偶然性という視点から実験を繰り返し,引き算場面を習熟していった1時間でした。



思考力成長の境目

 私が新潟で教員をしていたころ,福島の小松信哉先生から,「演繹的思考力は4年生後半から生まれる」とお聞きしたことがあります。そこで,その真偽を当時の勤務校の先生方にもお願いをして実証実験を行いました。その結果,見えてきたことがあります。それは前述の演繹的思考力の境目が4年生後半にあることだけでなく,演繹的思考を子どもたちがしたくなる瞬間があるということでした。

演繹的思考は,理由を考えていく見方・考え方です。一方,低学年からも見られる帰納的思考・類推的思考は,複数の情報から共通点やきまりを見つけたり,それらが当てはまる対象範囲を子ども自らが拡張して実験ししたりしていこうとする見方・考え方です。必ずしも同一線上にあるとは限りませんが,多くの場合,帰納的思考・類推的思考が発揮された延長線上に演繹的思考が発揮されます。簡単に言えば,きまりを見つけた後に,そのきまりが当てはまる理由が分かるということです。理由が分かる,さらにそれを論理的に説明していくことは,前者のそれとくらべるとかなり高度です。前者は,見えたきまりの事実だけをそのまま表現すればよいだけだからです。

では,演繹的思考が子どもがしたくなる瞬間はいつ訪れるのでしょうか。それは子どもたちが帰納・類推の世界を十分に楽しんだ後に訪れるということです。「Aの場面だけなく,Bの場面でもCの場面でもきまりが当てはまる」と子どもたちが場面を拡張してきまり発見を楽しんだ後,その瞬間は訪れるのです。教師が放っておいても,子どもの方から「理由が分かった」と演繹的思考につながる声が生まれてきます。これはかつての勤務校での実証実験で明確になりました。従って,子どもが帰納・類推の世界を十分に楽しんでいない段階で,「理由を説明してください」と教師が問いかけてもうまくいかないことが多々あるのはこのためです。

実は,国語の世界でも論理的思考力の境目は4年生後半にあるそうです。これは先日,本校の国語のカリスマ教師と話をしていて分かったことです。

思考力の境目は,教科の壁を越えて同じような時期に訪れるのですね。この境目を意識した指導が必要ですね。

2023年6月22日木曜日

夏の淡路島研修会申し込み,お急ぎ下さい!

夏休み7月30日(日)に兵庫県淡路市まで公開授業と講演を行います。今回は,淡路島の子どもたちとの公開授業を行うことが最大のポイントです。子どもたちは複数学年で構成されます。こんな経験は,かつて複式学級を担任して以来ですねえ。どうなるかなあ・・・。

夏の淡路島観光のついでに算数研修はいかがですか?

詳細,申し込みは以下をご覧下さい。

日 時 令和5年7月30日(日)13時30分〜16時30分 


会 場 セミナー会場 洲本市民交流センター 

    〒656-0054 兵庫県洲本市宇原1788-1 AB会議室 

 

参加費  3000円

2023年6月20日火曜日

逆からたしたら全部5!

 子どもたちに,「どんな式になるかな」と言って,風船の動画を提示します。

1問目は,5個あった風船が飛んでいく動画です。この場合は,「5−1=4」という式ができます。

その後も同様にして絵(動画)と式をつなげていきます。

2問目 5−2=3

3問目 5−1=4

3つの式が生まれたところで,子どもたちから気付きの声がいくつかあがります。その中の一つが「反対になっている」という声でした。この声の意味を読解していきます。

「5−1=4なら,答えの4と1をたすと,最初の5になる」

ひき算のたしかめ算の見方が生まれてきました。よい気付きです。

そこで私が,「本当だね。でも,それはたまたまでしょ」と投げかけます。すると子どもたちがホワイトボードに押し寄せ,「他の式もそうなっている」と言いながら前述のきまりが当てはまる式を指さします。

1問目「5−1=4」,2問目「5−2=3」も,同様のきまりが当てはまります。先ほどの子どもたちは、対象場面をホワイトボード全体に拡張して,きまりの一般性を説明しようとしていたのです。

するとここで,よい気付きの声があがってきます。

「逆からたしたら,全部5だ」

3つの対象となる式の共通点を見いだしたのです。1年生でもここまで気づけることに感心しました。この気付きをもとに,さらに次のように投げかけます。

「そうか,このきまりは式の最初が5のときだけのたまたまなんだね」

この投げかけに,「違う」という声が一斉にあがります。しかし,その具体例を語る声は僅かしか聞こえてはきませんでした。この場面が,1年生の難しいところでもあります。

ここで1人の子を指名します。彼は,「6−2=4」の式を板書します。この問題にも先ほどのきまりが当てはまります。子どもたちからは,これをきっかけに「他にもある」という声があがってきました。

そこで,今度はノートに自分の好きな式を2つ書いて,確かめ算のきまりが成立するのかを実験することにしました。これだけで,60本以上の式のデータが揃います。そこで例外がなければ,子どもが見つけたきまりには一般性があると言えそうだと証明ができます。

その後,子どもたちはノートに式を書いて実験します。どの子どもたちからも,「やっぱりだ」「なった」と喜びの声が聞こえてきました。この場面は,一人一人が課題を設定して個人学習を展開する個別最適化にも該当する部分です。

ひき算の式作りを通して,きまり発見やその一般性を確かめる過程を学んだ1時間でした。




2023年6月19日月曜日

違うお話はどれかな?

 子どもたちに「違うお話はどでしょう」と投げかけます。最初に提示したのは,右の動画です。続きはまだありますが,この最初の画面で子どもが動き出します。

「これは増えるお話だ」

「だって,大きい入れ物に金魚がいる。前のたし算に似ている」

「でも,合わせるお話とは違うよ。だって最初に水槽に金魚が入っているから」

「だから合わせるじゃなくて,増えるお話だね」

合併と増加のたし算の違いを,ジェスチャー表現を使いながら説明を進めていきました。既習を関連付けるよき見方が生まれてきました。

その後,動画の続きを提示します。右の画像です。

「やっぱり」

「増えるお話だ」

子どもたちは,前述の話からつなげて説明を進めていきました。

2つ目の動画を提示します。この動画もイチゴが増える話でした。「最後の絵を見せるよ」という私の言葉で,「だったら次が違うお話だ」と子どもたちが声をあげます。違うお話を探すことが,当初の問題です。ここまで2問は「増える」タイプでした。そうなれば,次が異なるタイプになるはずです。子どもたちは,この場面でも論理的に考えを進めてきました。

 3問目の動画は,木に止まっていた5羽の鳥のうち,2羽が飛んでいく内容です。動画を見た子どもたちが話をします。

「ほら,やっぱり」

「減ったよ」

「最初に5羽いました。そして2羽飛んでいきました。3羽になりましただね」

これらの説明と同時に,子どもたちが頭上に両手をあげ,その後片方の手だけを下に下げるジェスチャー表現をしていました。しかも動かない手は3本指,動いた手は2本指を立てています。鳥の数と動きを手で表現しているのです。

「この前の反対だ」

「ワニの動きの反対だ」

増える学習では,その増加の動きをワニの口のようにジェスチャー表現を行いました。今回はそれとは真逆の動きになることを,子どもたちはジェスチャー表現を行いながら説明していきました。たし算もひき算も,ジェスチャー表現を使うことでその意味をよりよく理解を深めていくことができます。

授業はその後,ひき算の言葉や式を教え,他の絵でもひき算を使うことができるのかを考えました。右の「5-2」になる問題場面では,子どもたちの次の声があがります。

「あれ,また5-2だ」

「さっきの鳥も5-2だった」

式が3問目と同じになることに気付いたのです。そこで,「式は5-2しかないんだね」と私が投げかけます。すると,ここでさらに話し合いが続きます。

「式はもっとあるよ」

「だってたし算だって,たくさん式があったよ」

「だからひき算も式はたくさんあるよ」

「でも,5+6はできても5-6はできないから,ひき算はそんなに多くはないよ」

「たし算の半分くらいかな?」

ひかれる数とひく数の大小関係への気付きから,ひき算の総数がたし算よりも少なくなりそうだと推測する声まで生まれてきました。これには私もびっくりしました。1年生でも,ここまで考えられるのですねえ。

本実践は,東洋館出版社「板書シリーズ1年上」を参考にしています。






2023年6月17日土曜日

完全復活,全国算数授業研究大会開催!

 8月5日(土)~6日(日)に筑波大附属小学校を会場に,全国算数授業研究大会が対面開催されます。

会場に子どもたちを集めた公開授業も復活します。また,ワークショップやお悩み相談も復活です。すでに,申し込みが始まっています。以下のアドレスからお申し込み下さい。

https://www.kokuchpro.com/event/575ef7bb1f5a4caeef58c1d24ef66fc5/

久しぶりの対面開催です。熱い算数授業談義が復活です。夏の筑波でお会いしましょう!

2023年6月13日火曜日

大きい方が勝ちゲームをしよう!

 教室を2つに分けて,「大きい方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。

代表の子どもが前に出てきて,箱の中に入った数字カードを見ないで1枚引きます。両者の答えが大きいチームが1ポイントゲットというルールです。

最初の子どもが,「2+7」のカードを引きました。それと同時に,「オー」「あと1個」という声がたくさん聞こえてきました。引かれた計算カードを見て,子どもたちは何かを感じたのです。

そこで,「オー」「あと1個」の意味をクラス全体で共有していきます。

「大きい数だよ」

「勝てそうだから『オー』と言った」

「9はあと1個で10になる」

「だから,10を引かないと(反対のチームは)勝てない」

子どもたちは,1〜10の数字の配列の中で,9がどの位置にあるのかをイメージしながら説明を進めていきました。このような見方を価値付けます。すると,同様の見方が,次のゲーム場面でも表出されます。

次のゲームで,先攻のチームが「2+5」のカードを引きました。すると今度は「あー」「10より少ない」などの声が聞こえてきました。これらの言葉の意味を共有していきます。

「7は10よりも少ない」

「10よりも3つだけ少ない」

「答えの7より少ない数は,6,5,4,3,2,1だよ」

「待って,1はないよ。1+0は入っていないから」

「7より多いのは3個,少ないのは5個だから(先攻チームが)勝てそうだ」

7という数字を基準にして,その前後にはいくつの数があるのかを具体的に指摘していくことができました。

このように子どもたちは,計算カードが引かれるたびに様々な思いを呟きます。これらの声を共有化していくことで,数の大小関係や問題場面の先を予想する姿などが育っていきます。

このゲームは4対3という結果でしたが,子どもたちは「(3回戦で)引き分けがあったから,引き分けいいんじゃない」「そうだよ,引き分けでいいよ」と平和主義の思いを披露して授業を終えることができました。優しい子どもたちです。



2023年6月12日月曜日

決まりは他の答えでも当てはまるの?

前回の学習では,答えが2〜6になるたし算の式の並びから,子どもたちはたくさんのきまりを見つけました。その一例が,以下のものです。

①階段が増えていく

②斜め(最下段の式のたされる数が)に1,2,3・・・と数が増える

③横(最上段の式のたす数が)に1,2,3・・・と数が増える

④縦に見ると(たされる数が)1,2,3・・・と増え,(たす数が)5,4,3・・・と減る 

これらのきまりが,答えが7以降のカードでも当てはまるのかを考えていくことにしました。子どもたちは,①〜④のきまりを復習する中から,「次は6個式がある」「次(最上段のたす数が)は6になる」などと次の式やきまりの続きを予想する声があげてきました。このように類推的に場面を拡張して考えていく姿を価値付けていきます。

さて,先を予想する子どもの声が生まれてきたので,答えが7になる式カードを探していきます。また,そのカードは子どもにたちに並べさせます。写真のように,子どもたちはたされる数・たす数の大小を意識しながらカードを並べました。

ここで,このように並べた理由を尋ねます。

「1,2,3,4,5,6になっているから」

この説明は,これまでも類似の場面で生まれてきました。しかし,たし算を学習していますので,別の言葉で表現させたいと考えました。そこで,「別の言葉で今のきまりを言えるかな」と尋ねます。ここで生まれてきたのが,次の言葉でした。

「1個ずつ増えている」

簡単そうな言葉ですが,全員がその意味を理解するまでには少し時間がかかりました。しかし,この意味が理解できると新たな声が聞こえてきました。

「だったら,反対は1ずつ減っている」

「1ずつ」という言葉は,日常ではあまり使わない言葉なのかもしれません。しかし,算数ではどの学年でも頻繁に登場する見方であり,説明です。だからこそ,この場面でしっかりと言葉の学習を行うことにしました。

その後,答えが10の式まで学習を進めます。前時に子どもたちが見つけたきまりは,いずれも当てはまりました。さらに,子どもたちは新しいきまりも見つけてきました。

「2+2のように同じ数の式がある」

「他にも1+1や3+3もある」

「あれ,同じ数の式は1個とばしで出てくる」

「2+3と3+2は数が反対になっている」

「数が反対の式は,右にいくほど間が1個ずつ増える」

他にもたくさんのきまりを子どもたちは見つけていきました。新しい言葉を使ってきまりを整理していきました。


2023年6月10日土曜日

決まり発見!

 子どもたちに「答えがになる式を探そう」と投げかけます。

ホワイトボードにたくさんのたし算カードを貼ります。私が言った答え(数字)になる式を探す学習です。

最初に言ったのは「2」です。この答えに該当する式は「1+1」です。次に,「3」を言います。これに対して,「2つある」という声が多数あがります。式が2つだという主張です。子どもたちは,「1+2」と「2+1」の式を指します。この2枚の式カードをどのように並べるのかを,子どもに考えさせました。ほとんどの子どもたちが,写真のように並べると考えました。その根拠を次のように説明します。

「(たされる数が)1,2にする」

「次は,1,2,3になりそう」

「階段になりそう」

たされる数を小さい順に並べる考えから,対象場面を拡張した考え方も生まれてきました。また,式の総数が1枚,2枚と階段状になりそうだという考え方も生まれてきました。ここまでに子どもの目の前にある式カードは3枚だけですが,様々な見方が生まれてきました。

次の答えでのたされる数の変化に対する見方が正しいか否かを判断するために,答えが「4」になるカードを探します。「1+3」「2+2」「3+1」の3枚のカードを,子どもたちは写真のような順で並べました。このように並べることで,新たなきまりを発見する声も生まれてきました。

「カードを横に見ると,(たす数が)1,2,3となっている」

「だったら,次は4,5,6となるんじゃないかな」

「(たす数が上から)3,2,1と小さくなっている」

「斜めに見ると,(一番下のたされる数が)1,2,3となっている」

これまでとは異なる位置関係のきまりが見えてきました。それらのいずれのきまりからも,その先を予想する声が生まれてきました。帰納的見方から,類推的見方へと発展していくよき思考場面が表出してきました。

その後,子どもたちが見つけたきまりに一般性があるのかを,答えが「5」「6」の場合と順に確かめていきます。いずれの答えでも,子どもたちが見つけたきまりが当てはまることが見えてきました。

このようなきまり発見の授業は,1年生でも大いに盛り上がりますね。


2023年6月9日金曜日

何時・何時半ゲーム

 1年生のこの時期は,何時・何時半までの時計の読み方を学習します。単に,4時や6時半というだけではおもしろさはありません。

そこで,2人1組でじゃんけんをして時計模型を使ったゲームを行うことにしました。スタートは12時です。グーで勝ったら長針を半分(30分)進めます。チョキで勝ったら長針を1周(1時間)進めます。パーで勝ったら長針を1周半(1時間30分)進めます。

勝った人は,針を動かした後で相手に「2時半です」などと言って時計を見せます。相手は,申告された時刻と時計模型の針が対応しているのかを判定します。これを繰り返し,時刻が相手よりも先に進んだ方が勝ちというゲームです。

このゲームは,異常に盛り上がります。ゲームですが,そこで行われていることは時刻の学習です。しかし,子どもたちにはその感覚はないようです。永遠に集中してゲームに熱中しています。子どもたちが熱中すればするほど,何時・何時半の読み方が定着していくのです。学びと楽しさが両立するゲームですね。

このゲームのアイディアは,私の師匠である田中博史先生から教えていただきました。

次回は,針を戻すルールも入れてみようかなあ・・・。

九州算数・数学研究大会に参戦します!

 この夏の7月26日(水)〜28日(木)まで,熊本市を会場に第77回九州算数・数学研究大会が開催されます。大会2日目の小学校部会では私が講演を行います。講演テーマは,「愉しい算数授業に必要な条件−あなたの授業スタイルで大丈夫ですか?−」です。

私の講演の他にも,九州各地区の代表の先生の実践提案や授業公開も行われます。算数の授業改革に燃える九州で暑い夏のスタートを切りませんか?

詳細・お申し込みは以下からお願いします。






2023年6月8日木曜日

文章と時系列

 次の問題を子どもたちに提示します。

「お話に合う絵はどれですか」

前回と同じ問題です。1問目は「車が3台止まっています。後から2台来ると,車は何台ですか」でした。この問題は,全員が増加場面の問題文であることを認識することができました。

2問目に,次の問題を提示しました。

「赤い鳥が6羽,青い鳥が4羽飛んできました。全部で何羽になったでしょう」

合併場面の問題文です。その後,右の静止画像を提示します。提示と同時に,「違う」という声が聞こえてきました。しばらくすると「いいよ」という声も聞こえてきましたが,それは僅かでした。「違う」という子どもたちは,その理由を次のように説明しました。

「はじめに赤い鳥がいるのに,これはいない」

「後から青い鳥が来るのに,この絵だと違う」

これらの説明に対して,「『はじめに』なんて書いてない」「『後から』なんて書いてない」と反論の声があがります。この声で,少しずつ子どもたちの認識に変化が生まれてきました。ところが,引き続き「違う」と考える子どももいます。彼らの主張は,次の通りです。

「だって,先に赤い鳥が6羽って書いてあるから,先に赤い鳥がいるんだよ」

彼らは,文章の順番を過度に意識していたのです。子どもらしい考え方だなあと感心しました。その後,次の説明が生まれてきました。

「『とんできました』というのは,赤い鳥と青い鳥が一緒に飛んできたということだよ」

「後から来るなら『後から』と書くよ」

最初の問題文とも比較していく中で,合併場面の問題場面であることを認識していくことができました。

問題文の順番と増加・合併場面の区別が混同してしまうのが,1年生指導の難しいところですね。いやあ,1年生の考え方はおもしろいですねえ!



2023年6月6日火曜日

お話に合う絵は?

 子どもたちに「お話に合う絵はどれでしょう」と投げかけ,次の問題文を提示します。

「籠に玉が5個入っています。後から2個入れたら,玉は全部で何個ですか」

問題文を板書する途中から,子どもたちが様々なことを呟きます。

「増えるのかな」

「たし算じゃないかな」

問題文から,その先を予想していく声が生まれてきました。

さて,1枚目の動画を提示します。5個と2個の玉が同時に籠に入る動画です。動画を見た子どもからは,「合ってる」という声が聞こえてきました。ところが,しばらくすると「だめー」という声も聞こえてきました。「合ってる」「だめ」のズレが生まれてきました。

「合ってる」と考える子どもたちは,たし算だから「合ってる」と考え,両手を頭上で合わせるジェスチャー表現までしています。

一方,「だめ」という子どもたちもいます。彼らは,次のように考えました。

「先に5を入れるんだよ」

「『籠に玉が5個入っています』だから,最初から入っているんだよ」

「(前の)ワニみたいにするんだよ」

ワニの発言は,増加場面の学習で子どもから生まれてきたジェスチャー表現のことです。この「ワニ」に意味を共有していきます。

「最初に5個あって,そこに2個増えるからワニだよ」

子どもたちは,ここでも両手を使ったジェスチャー表現を使いながら増加場面の動きを表現していきました。1年生では,言葉だけで理解を進めるのは難しいのです。そのために,このようなジェスチャー表現が考えを共有していく上で有効に働きます。

これらの話し合いから,最初の動画は合併場面であるために,問題文に合っていないことが見えてきました。そこで,もう1枚の動画を提示します。今度は最初から籠に5個の玉が入っています。その後,2個の玉が籠に入る動画を見た子どもたちは,「そうそう」「これこれ」と声があげました。

合併と増加の場面を,両手を使ったジェスチャー表現を行うことでその違いを明確にしていくことができた1時間でした。



21クラス参観!

 昨日は高知市内の小学校を訪問しました。昨年には高知県出身の演歌歌手の三山ひろしさんがけん玉を6年生と勝負しに訪問されたそうです。さすが高知ですね。

さて,全21クラスを訪問しました。子どもたちの反応は素直で,教室のあちこちで小さなズレや大きなズレが生まれていました。とてもよい反応です。こんな姿を見るとうれしくなりますね。もちろん,課題もありましたのでお伝えしてきました。きっと今日の算数はバージョンアップしているのではないでしょうか。

そうそう,久しぶりの高知のレジェンド先生の再会しました。とてもお元気そうで,バリバリでした。さすがレジェンドです! 高知の先生は本当にパワフルですねえ!


2023年6月5日月曜日

高知の先生は元気です!

 今日は,これから高知の小学校を訪問します。昨日,高知入りしました。高知の繁華街帯屋町はNHK朝ドラ「らんまん」一色でした。ひろめ市場にも,らんまんコーナーが特設されていました。記念写真を撮影される方が,大勢いらっしゃいました。朝ドラなの影響は大きいですね。

昨晩は,会場校の先生方と会食をしました。高知の美味しい料理をいただきながら,高知の教育事情などについて語り合いました。それにしても,高知の先生はパワフルです。学校改革に必要な条件の一つは,先生方のパワフルさです。きっとこれから大きく前進していくのではないでしょうか。

今日は,会場校に高知のレジェンドもおいでになるそうです。いやー,久しぶりにお会いするので,より一層学校訪問が楽しみになってきました。

2023年6月3日土曜日

高知で全クラス参観!

 来週は,高知市の学校を訪問し全21クラスの算数授業を参観します。かつて田中博史先生から,公立学校のトップは「北の浜浦,西の泉野」と呼ばれた時期があります。西の泉野小があるのが高知です。今回はかつて私が泉野を訪問した際に勤務されていた先生からのご依頼を受けて,別の学校を訪問します。人の縁とは大切ですね。

泉野では全クラス訪問を数年継続しました。その結果,先生方の授業力は一気に向上しました。これは昨年学校改革の本を出版された京都の第2向陽小学校とも共通しています。

公立学校は人事異動があるため,研究を継続することにややハードルがあります。しかし,その学校のよさをうまく伝えることができれば,学校改革も継続することができます。

さて,今回の高知の学校ではどのような授業が展開されるでしょうか。