子どもたちに次のように投げかけます。
「袋の中に残っているカードは何枚ですか」
この問いかけと同時に,「何枚?」「最初は?」という価値ある声が聞こえてきました。
そこで,これらの声を共有していきます。「最初ってどういうこと?」の投げかけに,子どもたちが次のように説明してきます。
「(係活動の)宝探しと同じだ」
「袋に最初に入っている数が分からないと,残ったのが分からない」
「最初の数が分からないと困る」
「宝探し」というのは,係の子どもたちが教室に隠したお宝を探すゲームです。このゲームでは,お宝の数が分からないと終わりが分からないということに子どもたちが気づきました。そこでの見方が,この場面でも生きてきたのです。異種の領域とつなげて見方を活用する子どもたちの考え方に,びっくりです。
袋の中からカードを3枚引き出します。これでは袋の中のカードは分かりません。最初の数が分からないと,残りがやはり見えてきません。そこで,最初の数が8枚であったことを伝えます。
8枚から3枚取り出したので,「8−3」で残りを求められることを説明していきます。
その後,最初の数が分かれば残りの数が分かる考え方の偶然性を尋ねます。驚くことにこの段階で,半数以上の子どもたちがこの考え方を疑っていました。
そこで,最初の袋の数を変更して実験をしていきます。9枚,7枚,10枚と枚数を変えても,同じ方法で残りの枚数を求めることが見えてきました。当初は疑っていた子どもたちも,最後は納得をしていきました。
偶然性という視点から実験を繰り返し,引き算場面を習熟していった1時間でした。