1問目は,5個あった風船が飛んでいく動画です。この場合は,「5−1=4」という式ができます。
その後も同様にして絵(動画)と式をつなげていきます。
2問目 5−2=3
3問目 5−1=4
3つの式が生まれたところで,子どもたちから気付きの声がいくつかあがります。その中の一つが「反対になっている」という声でした。この声の意味を読解していきます。
「5−1=4なら,答えの4と1をたすと,最初の5になる」
ひき算のたしかめ算の見方が生まれてきました。よい気付きです。
そこで私が,「本当だね。でも,それはたまたまでしょ」と投げかけます。すると子どもたちがホワイトボードに押し寄せ,「他の式もそうなっている」と言いながら前述のきまりが当てはまる式を指さします。
1問目「5−1=4」,2問目「5−2=3」も,同様のきまりが当てはまります。先ほどの子どもたちは、対象場面をホワイトボード全体に拡張して,きまりの一般性を説明しようとしていたのです。
するとここで,よい気付きの声があがってきます。
「逆からたしたら,全部5だ」
3つの対象となる式の共通点を見いだしたのです。1年生でもここまで気づけることに感心しました。この気付きをもとに,さらに次のように投げかけます。
「そうか,このきまりは式の最初が5のときだけのたまたまなんだね」
この投げかけに,「違う」という声が一斉にあがります。しかし,その具体例を語る声は僅かしか聞こえてはきませんでした。この場面が,1年生の難しいところでもあります。
ここで1人の子を指名します。彼は,「6−2=4」の式を板書します。この問題にも先ほどのきまりが当てはまります。子どもたちからは,これをきっかけに「他にもある」という声があがってきました。
そこで,今度はノートに自分の好きな式を2つ書いて,確かめ算のきまりが成立するのかを実験することにしました。これだけで,60本以上の式のデータが揃います。そこで例外がなければ,子どもが見つけたきまりには一般性があると言えそうだと証明ができます。
その後,子どもたちはノートに式を書いて実験します。どの子どもたちからも,「やっぱりだ」「なった」と喜びの声が聞こえてきました。この場面は,一人一人が課題を設定して個人学習を展開する個別最適化にも該当する部分です。
ひき算の式作りを通して,きまり発見やその一般性を確かめる過程を学んだ1時間でした。