2023年9月29日金曜日

3口の計算

 子どもたちに,「的当ての合計点を求めよう」と投げかけます。

5点・3点・1点・0点の枠ある的を提示ます。1問目は,3点→1点の順で的に当たる画面を提示します。これを見た子どもからは,「4点だ」「式にできる」と声があがります。そこで,式をノートに書かせます。子どもたちのノートには,2種類の式が書かれていました。そこで,次のように投げかけます。

「2つの式があったんだけど,どんな式があったか予想がつきますか?」

これには多くの手が挙がりました。

「3+1」

「もう一つは,1+3」

答えはいずれも4です。そこで,「答えはどちらも4だから,式もどっとでもいいね」と投げかけます。これに対して,「どっちでもいいわけない!」と抗議の声があがります。

「最初に赤が3点に当たって,次の青が1点に当たった。だから3+1」

「式もお話の順にしないとだめだよ」

「1+3はお話の順が変わる」

「最初に1点に当たって,次に3点に当たったことになる」

これらの話し合いから,式の数値はお話の順に書くことが明らかとなりました。

2問目に提示したのは,5点→1点→1点の順に当たるの的当ての画像です。この画像には,「式が2個」「+が2個」などの声があがります。そこで,自分がイメージする式をノートの書かせます。ほとんどの子どもたちが,1本の式を書きました。「式が2個」の声はどこへいってしまったのでしょうか・・・。

そこで,「式が2個と言ってたよね。それってどんな式なの?」と尋ねます。

「先ず,5点に当たり,1点に当たったから5+1=6になる」

「次に,1点に当たったから,6+1=7」

2つの式にできることは共有できました。ところが,多くの子どもにはこのような形で,一連の的当てを2本の式に分けることには違和感があるようでした。1本目,2本目,3本目は一連の活動です。従って,その3本の的当てを2本目までと,3本目に分けて式にすることに違和感を抱くのではないでしょうか。

2本目の式は,「5+1+1」でした。この式には,「1」が2回出てきます。この「1」の意味を尋ねます。

「最初の1は,2本目の青丸の1」

「次の1は,3本目の黄色丸の1」

「赤,青,黄色が的に当たったのが,1個の式で分かるから,この式がわかりやすい」

3本の一連の的当ての動きであるからこそ,1本の式にした方がよりわかりやすいというのが1年生の感覚のようです。

このように展開することで,3口のたし算の式を自然に子どもから引き出すことができました。


2023年9月26日火曜日

算数授業づくりセミナーIN大阪開催のお知らせ

 11月11日(土)大阪市で算数授業づくりセミナーを開催します。テーマは,次の通りです。

「算数教科書を活用した授業づくり〜子どもの困り感に寄り添う授業づきりについて〜」

私の講座の他に,今回は東京の雙葉小学校の永田美奈子先生からご講演をいただきます。私学の名門校で中心となられて学校改革を進められこられた先生です。また,樋口万太郎先生の模擬授業もあります。

子どもを算数好きにしていくヒントを,たくさんご提供できると考えています。お申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/c212d7f59b53a5fe3c0775325b47987c/



箱の大きさ比べ

 子どもたちに「どちらの箱が大きいでしょう」と投げかけ,2つの箱を別々に提示します。この提示方法だけで,子どもたちが動き出します。

「両方(同時に)見せて」

「紙比べの時と同じだよ。横に並べて比べたよ」

「紙比べは切って比べたね。同じように箱もできるんじゃない?」

「新聞ちぎりも上か下を合わせたから,これも合わせてほしい」

広さや長さ比べの学習での見方・考え方(基準を揃える)が,箱の大きさ比べにも自然に活用されてきました。すばらしい子どもたちの学びの姿です。

子どもたちの要望通り,2つの箱を底面を揃えて並べます。ところが,次の声が聞こえてきます。

「Aは細いけど縦に長い。Bは横に長いけど縦に小さいから,大きいのが分からない」

「ペットボトルも細いのと太いのがあったから,同じだ」

見た目だけでは,どちらの箱が大きいか判断ができないことが見えてきました。では,どうやって箱の大きさを比べたらいいのでしょうか。「同じ大きさの物を入れる」という呟きが聞こえてきました。そこで,この呟きの意味を読解していきます。

「ペットボトルの水を,小さいコップに入れて何杯で比べたのと同じだよ」

「コップで杯と杯で比べたら分かったね。箱も同じように何個で比べたらいいよ」

「それなら広さも同じだったね。広さも小さい四角が何個入るかで考えたよ」

「例えばビー玉みたいなのを入れたらいいね」

水のかさ・広さ比べの学習で生まれた任意単位いくつ分の見方・考え方が,箱の大きさでも使えそうだというアイディアが生まれてきました。見方・考え方の統合・発展の姿です。1年生にしてこのように考えられる子どもたちは,すごいですね。

さて,箱の中に物を入れたらよさそうだということが見えてきました。すると,今度は次の声が聞こえてきました。

「パターンブロック(の六角形)黄色は凸凹しているからだめだけど,四角のオレンジなら隙間ができないから大丈夫」

「ビー玉も隙間ができるからだめだね」

子どもたちは,箱に入れる任意単位の形にこだわりを見せ始めました。箱が四角い形なので,中に入れる物も四角い物でないと,隙間が生まれて正しく測定できないと考えたのです。

そこで,キャラメルの入っていたサイコロ型の小さな箱を入れることにしました。その結果,Aの箱には16個,Bの箱には18個の箱が入りました。これならこれまでのかさや長さ比べのように,数を使って大きさの比較ができます。

様々の大きさの学習の見方・考え方が統合・発展していく姿が生まれた1時間となりました。







2023年9月23日土曜日

広さ比べ

 子どもたちに「広いのはどちらですか」と投げかけ,2枚の紙を提示します。ただし,2枚は離れた位置に,斜め向きに貼ります。すると,子どもから次の声があがってきます。

「横に置いてほしい」

「まっすぐにしてほしい」

「下を揃えて置いて」

「新聞ちぎりの時と同じだよ」(T子)

「(並べて置いたら)昨日の水の大きさ比べみたいだ」

「そうだね。太いペットボトルと背の高いペットボトルで比べたのと同じだ」

T子の声は,長さ比べを行ったときに基準量となる端の位置を揃えたことと同じことを,広さ比べにも当てはめた方がよいという考え方です。長さと広さの比較の考え方が,ここで関連付きました。

しかし,横に並べたものの見た目ではどちらが広いのかがよく分かりませんでした。そこで,「どうしたらどっちが広いか比べられる?」と尋ねます。

ここで生まれてきたのが「重ねる」という直接比較のアイディアです。そこで,2枚の紙を重ねます。ところが,黄色い紙もピンクの紙もどちらもはみ出してしまいました。すると,「はみ出したところを切ったらいい」というアイディアが生まれます。そこで,ピンクのはみ出した部分を切って,同じくはみ出した黄色に重ねてみます。すると,写真の通りに黄色が少しだけ広いことが分かりました。

さらに「もう一つの方法がある」との声があがります。

「昨日の水の比べ方の小さいコップみたいにする」

「小さい四角が何個あるかを調べる」

水のかさくらべでは,ペットボトルの水を小さなコップに移し替え,それが何杯分あるのかという方法を使いました。この考え方と同じ方法が,広さ比べでも使えるという考え方です。ここでも,水のかさの比較の考え方が,広さにも適用できることに子どもたちが気付くことができました。

先ほどの直接比較ではみ出した黄色の四角が,各四角形に何個分入るのかを考えました。その結果,黄色は9個・ピンクは8個入ることが分かりました。任意単位を使ったこの方法でも,黄色が広いことが分かりました。

直接比較・任意単位による比較,どちらも子どもたちには分かりやすい方法でした。最後に,教室にある「2つのドアの広さを比べるとしたらどうする?」と投げかけます。ドアを切ることはできません。

「筆箱を並べたらいい」

「教室の長さ比べのとき筆箱を並べたから,それと同じようにやればいいよ」

ここでも長さ比べの考え方と広さ比べの考え方が,関連付いていきました。


2023年9月20日水曜日

第3回 愉しい算数授業をつくる研修会 申し込み開始!

 11月25日(土)に大阪府池田市で開催される「愉しい算数授業をつくる研修会」の申し込みが始まりました。参加を希望される方は,以下のチラシのQRコードからお申し込み下さい。QRコードでのお申し込みができない方は,チラシ内の連絡先のメールアドレスにお申し込み下さい。


2023年9月19日火曜日

教室の縦と横

 子どもたちに,「教室の縦と横,長いのはどちら?」と投げかけます。本校の教室は正方形に近い形状です。そのため,子どもたちの予想にもズレが生まれました。

さて,子どもの予想を尋ねる前,K子が両手を教室前方に向けて右から左へと動かしている姿がありました。そこで,子どもたちにK子の気持ちを読解させることにしました。

「教室の縦と横はくっつけられないから,数えている」

「なにを数えているの?」

「手の数で調べているんだよ」

「例えば,横が15個で縦が17個だとしたら,縦が長いってことだね」

任意単位を使って長さを数値化するよさを,子どもたちが発見していくことができました。さらに,子どもの声は続きます。

「でもさあ,大きい手の人と小さい手の人がいるからだめだよ」

「小さい手だと数が多くなる」

「だったら,(教師用)定規を使ったらいいよ」

「みんなが持っている定規でもいいね」

長さを調べる任意単位の道具の長さが一定でなければいけないことを,子どもたちは話し合いを通して明らかにしていきました。

その後,全員が持っている筆箱を並べることで,縦と横の長さを比べる実験を行いました。この実験の最中,A子が「ズレている」と言いながら筆箱をまっすぐにしている姿が見えました。そこで,この姿の意味を読解させます。

「斜めにするときちんと調べられないよ」

「斜めにならないように,まっすぐにしないとだめだよ」

複数の長さを比較する際には,それらを直線状にしなければ正しく測定ができないことが見えてきました。

子どもたちの測定の結果,横は筆箱33個分,縦は34個分でした。つまり,縦が筆箱1個分だけ長いことが分かりました。任意単位の必要性,数値化のよさ,任意単位よる測定方法と,長さを比較する際の見方・考え方を引き出すことができた1時間でした。


2023年9月18日月曜日

速報!「第3回 愉しい算数授業をつくる研究会」開催のお知らせ

 来る11月25日(土)に大阪府池田市で「第3回 愉しい算数授業をつくる研究会」を対面で開催します。会場は池田市立池田小学校です。午後からの開催になります。地元大阪の先生の授業ビデオを2本公開します。恒例のQ&A講座もあります。盛りだくさんのプログラムになりそうです。

詳細・申し込みフォームがが決まりましたら,お知らせします。もう少し,お待ちください。

2023年9月14日木曜日

新聞紙ちぎりベスト3を決めよう!

 「おおきさくらべ」の学習です。子どもたちに「新聞紙ちぎりのベスト3を決めよう」と投げかけます。

子どもたちに新聞紙1/4の大きさの紙を配ります。1分の制限時間でちぎっていきます。先ずは4人の班内での1位を選出します。その後,各班の1位の結果を代表として提示します。

最初に,1班の新聞を貼ります。次に,2班の新聞を前に持って来てもらいます。その紙をどこに貼るか,子どもたち全員に考えさせます。貼りたい場所を指ささせます。子どもたちは,指さしと同時に「横に貼る」「上を合わせる」「高さを揃える」と呟いていきます。

そこで,これらの声の意味を読解していきます。

「1班のすぐ横に貼る」

「1班と同じ高さに合わせる」

「そうしないと比べられない」

長さを比べるために大切な,「基準を揃える」見方を共有していきました。この声に合わせて,上の高さを揃えて紙を貼ります。すると,「1班が長い」と声があがります。そこで,「どこを見て1班が長いと分かったの?」と尋ねます。

「下を見るんだよ」

「下が長い方が長いよ」

基準量を揃えた後の比較の視点を引き出していくことができました。

この後は,基準の位置と比較の位置を意識しながら一つずつ班の代表者の紙を貼っていきました。

長さ比べの1時間目に当たる授業でした。



2023年9月12日火曜日

掴みどりで20を作る!

 「ブロックを3回掴んでぴったり20を作ろう」と子どもたちに投げかけます。3人の子どもが順にブロックが入った袋の中に手を入れます。3人が掴み取ったブロックの合計が20に近い方が勝ちというゲームです。

このゲームは,繰り上がりのあるたし算と3口の計算単元の布石としても位置付いています。

先攻のスターチームの1人目が1個のブロックを掴みます。この時点で,先を予想する素敵な声が聞こえてきました。

「次は,たくさんとればいい」

「あと19個とればいい」

「3人いるから,19とっちゃだめだよ」

「18個までならいいよ」

ぴったり20になるための掴み取りの個数を考えた声です。その後,ゲームを進めます。2人目が3個を掴みます。1+3で4個です。3人目が4個を掴みます。4+4で8個です。

後攻のライオンチームの1人目が3個を掴みます。2人目は4個を掴みます。ここまでで,3+4で7個になります。3人目が一気に8個を掴みます。7+8の場面ですが,繰り上がりのたし算は未習です。そこで,2回目までのブロックに3回目の8個のブロックを追加で並べていきます。追加の最初の3個を,2人目までの7個の右側に代表の子が置いていきました。4個目をどこに置くのかを考えさせました。

「下に置く」

「だって,10の固まりができるから」

「前にも似たのをやった。8月31日に10の固まりと2に分けたよ」

「十の位と一の位に分けたから,それと同じだよ」

2週間ほど前の学習場面を,ノートを使うことで想起し,その内容を活用して考え方を作り上げることができました。位取りを意識したかつての学習場面が想起されたことで,子どもたちも10の固まりとバラ(一の位)に分けてブロックを並べるよさを実感することができました。

その後もゲームを進めていきました。2回戦ではスターチームが,なんと20ぴったりの合計数を掴み取ることができました!



2023年9月9日土曜日

かわいい子どもたちでした!

 昨日は京都の小学校3年生に「三角形」の授業を行いました。素直でかわいい子どもたちでした。早い段階から私が仕掛けた図形の秘密(共通点)を発見していくことができました。素直な呟きがたくさん聞こえてくると,授業を進める私のモチベーションも自然とアップしてきます。

この日は,島根県出雲市の小学校の先生方が学校を休校日にして全教員で研修に訪問されていました。こちらの学校も私が指導に入っている学校ですが,県境を越えて研修に訪問するパワフルな姿勢にこれまたびっくりでした!

2023年9月8日金曜日

数を分解して見る

 「じゃんけんダウンゲームをしよう」と子どもたちに投げかけます。クラスを2つに分けます。スタート位置は19です。じゃんけんをして,パーで勝つと3個・チョキだと2個・グーだと1個数が減っていきます。先に10に到達したチームが勝ちです。これまでとは異なり,数が早く減った方が勝ちになります。

1回戦はライオンチームがチョキで勝ちました。これまでは,数直線上の磁石を移動させてから式と答えを確認してきました。式表記だけならこれまでもすぐに表現はできていました。しかし,答えの出し方はまだ未習です。ところが,答えがすぐに見えている子どももいます。

そこで,「磁石を動かしていないのに,どうやって答えを見つけることができるの?」と尋ねます。

「9から2を引いた」

「19を10と9にした」

「9−2の7に,さっきの10を合わせた」

1年生ですので,言葉は稚拙ですが十の位と一の位に数を分けて計算を行ったことを説明していきました。

その後のゲームでも,磁石を動かす前にどのように計算を行うのかを確認していきました。一の位と十の位を分けて計算を行うことは,すぐには1年生全員が理解するには時間がかかりました。しかし,ゲームを行うことで合計9回の計算を行ったことになります。9回の計算を繰り返す中で,位に分けて計算を進める方法を確認していくことができました。この時間の見方は,繰り上がりや繰り下がりの計算の素地にもつながっていきます。


2023年9月6日水曜日

京都の3年生に授業をします!

 今週末は,京都の小学校3年生に公開授業を行います。これまで数年間に渡って校内研修に関わらせていただいている学校です。どの先生も研修に掛ける熱い思いを持たれているすばらしい学校です。

今回の授業では,どんな子どもたちとの出会いが待っているのか楽しみです!

2023年9月5日火曜日

じゃんけんぴょんぴょんゲームからたしざんのきまり発見へ!

 子どもたちに「じゃんけんぴょんぴょんゲームをしよう」と投げかけます。ホワイトボードに0〜20までの数直線をかきます。0のスタートラインに青と赤の磁石を貼ります。教室を2チーム分けます。じゃんけんをして,パーで勝つと3個,チョキだと2個,グーだと1個磁石が進んでいきます。先に20に到達したチームの勝ちです。

子どもたちがじゃんけんをしていきます。磁石を動かして,現在位置を確かめます。その後,その位置を式表記できるという声が生まれてきます。そこで,じゃんけんを行う度に,現在位置を式表記していきます。

この式が複数板書されたとき,「おもしろいことがあります」と声があがります。ここまでにおもしろいことなんてあるのでしょうか?

「0+2=2なら,後ろから2−2をすると最初の0になる」

たし算の確かめ算につながる見方です。実はこの見方は,引き算に出合ったときにも子どもから生まれてきたものでした。類似の見方は,類似の場面で表出してくるのですね。

ここで私は,「それってたまたまでしょ」と子どもに投げかけます。すると,「違う」「他のもなってる」「全部なっている」という猛烈な抗議の声があがります。そこで,他の式にも先ほどのきまりが当てはまるのかを確認していきます。その結果,すべての式にきまりが当てはまることが見えてきました。

その後,ゲームを進めていきますが,その度に,式表記と前述の確かめ算のきまりが当てはまることも確認していきました。

10を超えるたし算の計算練習をゲームを通して進めるだけではなく,確かめ算のきまりの一般化も図ることができた1時間となりました。

本実践は「板書シリーズ1年上」東洋館出版社の実践を参考にしています。


2023年9月4日月曜日

?ならべベームをしよう!


子どもたちに「?ならべゲームをしよう」と投げかけます。トランプの七並べゲームに近いルールの数字カードを使ったゲームです。
教室を4チームに分けます。各チームに1〜20の数字カードを4等分したカードを配ります。七並べは最初に7のカードを出しますが,このゲームでは5,10,15のカードを出します。
先ずは「5」のカードを持っていたチームが貼ります。次に,「10」のカードを持っていたチームに,そのカードを前に持ってきてもらいます。ここで私は,次のように子どもに投げかけます。
「みんなだったら,10をどこに貼りますか?」
子どもたちが,ホワイトボードを指さします。代表のT子が前に来ます。T子は5を見つめます。その後,5の右側を見つめながら,頭を上下に5回動かす動かしながら,視線が右へと動いていきました。その後「10」のカードを貼りました。そこで,「T子はなぜ頭を動かしていたのかな。気持ちは分かるかな」と尋ねます。
「5の次から,6,7,8,9,10となるから」
「5」のすぐ右側に「10」を貼るのではなく,6,7,8,9という4つの数字が間に入ることを意識した説明です。この説明に子どもたちも納得です。
「15」のカードも同様に貼っていきます。
「5」「10」「15」のカードが貼られたとき,「5ずつ増えている」という数の変化の決まりに目を付けた声も聞こえてきました。

その後,七並べと同じように4チーム対抗戦で,カードを貼っていきました。子どもたちは,1〜20の数の順番を意識しながら,カードを貼っていくことができました。
たった4チームしかありませんでしたが,貼ることができる数字がなくて何度もパスをするチームもありました。
ゲームを進めながら,数の大小関係や順番を明確にしていくことができました。合計2回のゲームを行いました。

本実践は「板書シリーズ1年上」東洋館出版社に掲載された授業を参考にしています。

 

先生向け授業映像撮影

 先週末は,先生方向けの授業映像撮影を行いました。私が講師を務めるスタディサプリ(リクルート)は子ども向けですが,今回撮影を進めているものは先生方向けです。(こちらは別会社から依頼です。)従って,授業で大切にしたい見方・考え方のポイントなどの解説も動画に含まれています。

私が担当する映像は撮影が終わっています。先日は,他の先生が担当する映像撮影を行いました。スタジオもどきの部屋で撮影を行いました。ベテランの先生でも特殊な環境だと緊張するのですね。また,撮影途中で救急車のサイレンが音声に入るというアクシデントも発生!

来春公開に向けて,撮影を進めていきます!

2023年9月1日金曜日

大きい方が勝ちゲーム!

 「10を超える数」の学習場面です。「大きい方が勝ちゲームをしよう」と,子どもたちに投げかけます。

1〜20迄の数字カードを裏返してホワイトボードに貼ります。クラスを2つに分けます。そのカードを代表の子どもが引きます。数が大きい方を引いたチームが1点獲得というルールです。

1回戦。星チームの子どもが,なんと「20」を引きます。このカードを見た子どもから「もう勝った」という声や喜びの声があがります。そこで,この声の意味をクラスで共有していきます。

「だって,20より大きい数はもうないからだよ」

「1〜20のカードだから,もうないね」

星チームの勝利は揺らぎがないようです。念のため?にジャガーチームがカードを引きます。結果は「3」です。予想通り星チームの勝ちとなりました。

さて,この結果を受けて「次は19なら勝てる」「19より上はないから」と,2回戦のカードについて予測する声が生まれてきました。

2回戦を行います。星組が「11」を引きました。このカードを見た子どもから「中途半端ー」と声があがります。よい声です。この声の意味を共有していきます。

「11は真ん中あたりの数だよ」

「ちょうど真ん中は10だよ」

「11が真ん中あたり」の声を受け,実際にどのあたりに「11」が位置付くのかを考えさせました。ジェスチャーで,「11」の位置を示す子どもがいました。そこで,ホワイトボードに1と20を書き,「11」がどのあたりに位置付くのかを指で指し示させました。これは全員が1と20の真ん中あたりを指します。これで具体的な数字の位置関係が見えてきました。これをきっかけに,次に声が聞こえてきました。

「11の上には8個の数があるよ」

具体的な数字とその個数を指摘する声です。よき見方の表出です。

その後,ジャガーチームがカードを引きます。なんと「19」という残りのカードの最高値を引き当てます。「11」と「19」は,いずれも十の位までの数値です。この場合,どの数字で大小を判断したのかも考えさせます。

「十の位が同じだから,一の位で比べたら分かる」

「さっきの問題は十の位が2と0だから,十の位で分かる」

「十の位が同じだったら,一の位を見たら分かる」

数字の大小比較の方法を明らかにしていきました。

3回戦を行う前には,「次は18を出したら勝てる」と声があがります。残りの数字カードを考えた鋭い声です。3回戦はジャガーチームが「6」を引きます。このカードが引かれたと同時に「負けるかも」という声がジャガーチームから聞こえてきました。そこで,この声を共有していきます。

「6より上は,7,8,9,10,12,13,14,15,16,17,18がある」

「11枚もある」

「6より下は,1,2,4,5の4枚しかない」

この後もゲームは続いていきました。ゲームを通して,数字の大小判断の基準だけではなく,数字の位置関係も明らかとしていくことができました。