子どもたちに「どちらの箱が大きいでしょう」と投げかけ,2つの箱を別々に提示します。この提示方法だけで,子どもたちが動き出します。
「両方(同時に)見せて」
「紙比べの時と同じだよ。横に並べて比べたよ」
「紙比べは切って比べたね。同じように箱もできるんじゃない?」
「新聞ちぎりも上か下を合わせたから,これも合わせてほしい」
広さや長さ比べの学習での見方・考え方(基準を揃える)が,箱の大きさ比べにも自然に活用されてきました。すばらしい子どもたちの学びの姿です。
子どもたちの要望通り,2つの箱を底面を揃えて並べます。ところが,次の声が聞こえてきます。
「Aは細いけど縦に長い。Bは横に長いけど縦に小さいから,大きいのが分からない」
「ペットボトルも細いのと太いのがあったから,同じだ」
見た目だけでは,どちらの箱が大きいか判断ができないことが見えてきました。では,どうやって箱の大きさを比べたらいいのでしょうか。「同じ大きさの物を入れる」という呟きが聞こえてきました。そこで,この呟きの意味を読解していきます。「ペットボトルの水を,小さいコップに入れて何杯で比べたのと同じだよ」
「コップで○杯と□杯で比べたら分かったね。箱も同じように何個で比べたらいいよ」
「それなら広さも同じだったね。広さも小さい四角が何個入るかで考えたよ」
「例えばビー玉みたいなのを入れたらいいね」
水のかさ・広さ比べの学習で生まれた任意単位いくつ分の見方・考え方が,箱の大きさでも使えそうだというアイディアが生まれてきました。見方・考え方の統合・発展の姿です。1年生にしてこのように考えられる子どもたちは,すごいですね。
さて,箱の中に物を入れたらよさそうだということが見えてきました。すると,今度は次の声が聞こえてきました。
「パターンブロック(の六角形)黄色は凸凹しているからだめだけど,四角のオレンジなら隙間ができないから大丈夫」
「ビー玉も隙間ができるからだめだね」
子どもたちは,箱に入れる任意単位の形にこだわりを見せ始めました。箱が四角い形なので,中に入れる物も四角い物でないと,隙間が生まれて正しく測定できないと考えたのです。
そこで,キャラメルの入っていたサイコロ型の小さな箱を入れることにしました。その結果,Aの箱には16個,Bの箱には18個の箱が入りました。これならこれまでのかさや長さ比べのように,数を使って大きさの比較ができます。
様々の大きさの学習の見方・考え方が統合・発展していく姿が生まれた1時間となりました。