2020年12月30日水曜日

新刊本来春発刊 「問いをつくり出す力」を育てる 算数の授業開発ー教材研究・教材開発・授業展開ー(仮題)

 2021年春,東洋館出版社から新刊本が出ます。現在,校正の最終段階です。

タイトルは,

「問いをつくり出す力」を育てる 算数の授業開発ー教材研究・教材開発・授業展開ー

「算数が愉しい」と子どもが心底感じるには,子どもがワクワクする教材開発や,そのワクワクを喚起していく授業展開が必要です。そのためのノウハウを13の視点でまとめた本です。

お若い先生からベテランの先生まで,算数授業を愉しくしたいという志がある方なら,きっとお役に立てることがたくさんあると考えたいます。発刊迄,もうしばらくお待ちください!

2020年12月21日月曜日

新潟大学教育学部附属小学校初等教育研究会に参戦します!

 2021年2月6日(土)に,オンライン開催となる新潟大学教育学部附属小学校初等教育研究会に協議会メンバーとして参戦します。

授業者は私の研究仲間でもある志田倫明先生です。志田先生には,本校の研究会で私の公開授業の指導をしていただきました。今回は,その逆バージョンになります。

志田先生は4年生「分数」の授業を公開します。私の授業の指導をお願いした際に公開したのは3年生「分数」単元でした。同じ「分数」教材をどのように志田先生が授業展開されるのか楽しみです。

私の他には,以下の方々も参戦されます。

協議会メンバー

国立教育政策研究所

   教科調査官 笠井 健一 様

新潟市立浜浦小学校

   教諭 二瓶 亮 様

オンライン開催ですので,全国どこからも参加可能です。詳細は,以下のアドレスからお願いします。

2020年12月14日月曜日

教科書を活用した算数授業づくりセミナー 満員御礼

 教科書を活用した算数授業づくりセミナー,ご好評により,早くも満員御礼になりました。お申込みいただいた先生方,ありがとうございました!

1月にお会いしましょう!

教科書を活用した算数授業づくりセミナー 本日12月14日18時申し込み開始!

以前お知らせした田中博史先生,樋口万太郎先生とのコラボ企画「教科書を活用した算数授業づくりセミナー」の申し込みが,12月14日18時から開始です。先着90名限定です。参加予定の皆様は,お早めにお申し込み下さい!

申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://gakuto.co.jp/lecture-2/

2020年12月11日金曜日

教科書を活用した算数授業づくりセミナー開催

田中博史先生(人塾),樋口万太郎先生(京都教育大学附属小学校)と私の3人で,先生応援トリプル算数講座を開催します。開催はzoomを使った講座です。

小学校最難関単元と言われる「割合」に焦点を当てた講座です。わたしは模擬授業を公開します。参加は限定90名です。

参加申し込みは,12月14日(月)学校図書のホームページで告知されます。ホームページチェックをお願いします。




2020年12月8日火曜日

「WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A」本日発売です!

本日,12月8日,明治図書より「WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A」が発刊されます。先生方の日頃の算数授業に対する疑問をQ&A形式でまとめたものです。算数授業でもっと授業を活性化したいと考えている先生方のお役に立てると信じています。どうぞ,書店やネットでお求めください。
タイトルと目次は次の通りです。

目次序章 算数授業の想定外を愉しもう
第1章 教科書活用のQ&A
Q1 教科書は,授業中いつも開いていないといけないのですか?
Q2 教科書に出てくる考え方は,全部扱うのですか?
Q3 教科書は,どのようにして比較すればよいのですか?
Q4 教科書の数値や図形の形は変えてもよいのですか?
Q5 教科書の展開と異なる授業を展開してもよいのですか?
Q6 教科書通りに授業を展開すると,時間が足りなくなります…
Q7 練習問題を扱う時間が確保できません…
第2章 めあて,まとめ,ふりかえりのQ&A
Q1 「めあて」は,どのように設定すればよいのですか?
Q2 「めあて」と「まとめ」は,どのように対応させればよいのですか?
Q3 「めあて」は,全部板書しないといけないのですか?
Q4 「ふりかえり」が,いつも同じパターンになってしまいます…
Q5 「まとめ」は教科書の言葉を使うのですか? 子どもの言葉を使うのですか?
Q6 そもそも,「めあて」「まとめ」「ふりかえり」は必要ですか?
第3章 話し合い活動のQ&A
Q1 「はかせ」は,どのように扱えばよいのですか?
Q2 算数が苦手な子どもが,話し合いに参加できません…
Q3 「学び合い」の授業が,途中で失速してしまうのはなぜですか?
Q4 ペアで説明し合う活動がうまくいきません…
Q5 子どもの説明が,うまく友だちに伝わりません…
Q6 ミニホワイトボードは,どのように活用すればよいのですか?
Q7 複数の考え方を,うまく1つに収束することができません…
第4章 授業展開,授業構成のQ&A
Q1 導入で子どもに興味をもたせるには,どうすればよいですか?
Q2 指導書通りに展開すると,子どもの反応がよくありません…
Q3 子どもの学力差が大き過ぎて,対応しきれません…
Q4 教師の想定するズレと実際の授業展開が異なったら,どうすればよいですか?
Q5 数学的な考え方の育て方,鍛え方がわかりません…
Q6 帰納的な考え方と演繹的な考え方を1つの授業で捉えさせるにはどうすればよいですか?
Q7 子どもが「見方・考え方」を働かせられないのはなぜですか?
第5章 ノート指導,板書のQ&A
Q1 教科書の問題は,ノートに書かせないといけませんか?
Q2 板書をノートに写しきれない子どもにどう指導したらよいですか?
Q3 ノートの種類や書き方は,どこまで指導するべきですか?
Q4 子どもの意見は,どのように板書すればよいのですか?
第6章 学力,個人差のQ&A
Q1 宿題の○つけは,どのように行えばよいですか?
Q2 基礎・基本が,なかなか定着しません…
Q3 発展問題は,どのように扱えばよいですか?
Q4 授業は盛り上がるのに,テストの点がよくありません…
Q5 文章問題が苦手な子どもは,読解力不足なのですか?
Q6 数直線や図を,子どもが使おうとしません…
Q7 割合の指導がうまくいきません…
Q8 集中力が続かない1年生には,どんな授業を行えばよいですか?
Q9 教材研究を,十分に行うことができません…

ネットでの本のお申し込み等は,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-425221-9

2020年12月4日金曜日

四角形に1本の直線を引くと

 2年生「三角形と四角形」の学習場面です。子どもたちに次のように投げかけます。

「四角形に1本の直線を引くと・・・」

このままでは何をするのかわかりません。そこで,


右の四角形を提示します。そして,次のように投げかけます。

「この四角形の中に1本だけ直線を引きます。そうすると2つの形に分かれるね。どんな2つの形ができそうかな?頭の中にイメージしてみましょう」

子どもたちは,頭の中で四角形を分割していきます。子どもたちがイメージできた形を発表します。

「三角形と四角形」

「三角形と三角形もできるよ」

「えー,どうやって?」

「四角形と四角形もできるよ」

「えっ?」

「それは無理だよ」

三角形と四角形の組み合わせは,ほとんどの子どもたちができると考えました。一方,これ以外の組み合わせについては,本当にできるのか不安な声をあげる子どもも多数いました。

そこで,ほとんどの子どもができると考えた「三角形と四角形」の組み合わせができるのかをノートに実験します。

その結果,右のように直線を引けば三角形と四角形がで
きることが分かりました。


次に,三角形と三角形が本当にできるのかを実験します。当初は


「できない」という声が聞こえましたが,しばらくすると「あれ,できた」「本当だ」という声が聞こえてきます。右のように直線を引くことで,三角形と三角形の組み合わせができることが分かりました。2つの直線の引き方があることが分かりました。


残るは,四角形と四角形の組み合わせです。するとここで,次の声があがります。

「次も2つあるよ,だって,三角形と三角形は2つの線の引き方があった。三角形と四角形も2つの線の引き方があった。だから,四角形と四角形も2つの線の引き方があるよ」

組み合わせを導き出す線の引き方にきまりを発見したのです。こんな発想が子どもから生まれてくるとは,私の想定外でした。子どもの柔軟な発想はすばらしいですね。

この決まりに対して,多くの子どもも納得しています。しかし,「違うかも」と考える子どももいます。そこで,四角形と四角形の線の引き方は2つあるのかを実験します。

結果は右のように縦方向と横方向に線を引くことで,


大きく分けて2つの引き方があることがわかりました。子どもたちが見つけたきまりの正しさが確かめられました。

今回提示した四角形は,台形です。四角形は他にも様々な形があります。どんな四角形でも子どもたちが見つけたきまりが当てはまるのかを尋ねます。「とても細長い長方形だとできなかも」という声もあがります。?で授業を終えました。

2020年12月2日水曜日

直角三角形は微妙な三角形提示で活性化!

 2年生「三角形と四角形」単元,直角三角形の学習場面です。

子どもたちに,「同じ形を見つけよう」と言って,右の三角形を


提示します。子どもたちは,「よく見てノートにメモしなきゃ」と声をあげながら,提示された図形を見つめます。図形をよーく観察した子どもから,次の声があがります。

「左下が直角になっているね」

「三角形だね」

これまでの学習を活用した見方が生まれてきました。

「この形は同じかな?」と言って,右の図形を提示します。


これには一斉に「違います」と声があがります。

「左の辺が斜めになっている」

「左にまっすぐ上に線を引いたとしたら,これには隙間ができちゃうよ」

「左の角がウルトラマンビームの直角じゃないよ」

この図形の左下の角の大きさは,見た目で直角はありません。そのことを,子どもたちは前述のように指摘してきました。

次に提示したのは,右の図形です。悩んでいる表情の子どももいます。


「微妙」という声も聞こえてきます。見る向きよって,左下の角が直角に見えたり見えなかったりするようです。見た目ではどうもはっきりとしません。

そこで,同じ図形を子どもたちに配布して,左下の角の大きさが直角なのかを調べることにしました。子どもたちは,実に様々な方法で直角調べを進めました。

筆箱の四隅の直角を使う子ども,はさみを時計の3時の方向に開いて直角を調べる子ども,ノートのます目の直角を使う子ども,2本の定規をL字型に合わせて直角を作る子どもなど様々な調べ方が生まれてきました。

これらの調査の結果,提示された角には少し隙間ができることが分かりました。従って,この図形も最初の三角形とは異なることが分かります。

次に提示したのは,最初と同じ図形です。「これだよ」と声があがりますが,「怪しいかも」と疑っている子どももいます。そこで,先ほどと同じように様々な方法で直角かどうかを調べてみました。結果は,左下の角は直角であることが分かりました。

この直角調べの際,「定規が2本ないからL字の方法はできない」と悲しい声をあげる子どもがいました。そこで,定規が2本なくても直角を調べるスーパーマシンがあることを子どもたちに伝え,三角定規を配布しました。これなら先ほどまで苦労して確かめた直角調べが簡単にできます。三角定規を手にした子どもたちは,大喜びでした!

三角定規を使いたくなる必要感と,直角三角形の構成要素に気付かせる1時間の授業となりました。

2020年12月1日火曜日

長方形と正方形

 長方形と正方形の概念を2年生の子どもたちから引き出していく授業です。

子どもたちに「同じ形あるかな?」と投げかけ,


右の長方形を提示します。これと同じ形を探す学習です。

図形提示と同時に子どもからは,「この形を覚えないと」と声があがります。それと同時に,ジェスチャーで形を表現する子どももいました。その子どもたちに,「何をしているの?」と尋ねます。

「これは長四角だよ」

「縦に長くて横に短い四角」

「角が4つ,辺も4本あるね」

前時の学習を基に図形の構成要素に視点を当てた声も聞こえてきます。

さらに,次の声も聞こえきました。

「真四角が2つ分あるね」

「1+1で2っていうことだね」


「真四角」も子どもたちが日常生活の中で使う言葉です。

そこで,「真四角ってなに?」と尋ねます。

「縦も横も同じ長さの四角」

「辺は4本,角は4つだよ」

正方形につながる図形の構成要素の視点が生まれてきました。

長四角・真四角のよい見方が生まれてきました。


「では,これは同じ形かな?」と言って,右の図形を提示します。
これには,一斉に「違う」と声があがります。

「これは五角形でしょ」

「だって,辺が5本で角も5個だから,絶対に違うよ」

「最初のは辺が4本,角が4個だよ」

的確に長四角でないことを説明することができました。


次に,右の図形を提示します。これに対しても「違う」と声があがります。

「左の角は,長四角と同じ直角でしょ。でも,右が違うよ。右上は斜めになっているよ」

「ペアの辺の長さも違うよ。最初の長四角は同じ長さだよ」

台形を提示したことで,直角の見方が新たに生まれてきました。この声をきっかけに,長四角と真四角には直角が4つずつあることも再確認することができました。また,向かう合う辺の長さの関係も指摘することができました。


次に提示したのは,正方形です。これに対しても「絶対に違う」と声があがります。


「最初の長四角は縦長。でも,今のは真四角で縦が短いからダメ」

「縦の長さが短くなっているから違う」

「直角が4つあるけど,辺の長さが全部同じだからだめだよ」

最初の長四角と真四角の辺の長さの違いに目を付けた声があがってきました。


最後に提示したのは,最初と同じ図形です。

「これだよ」

「直角が4つ,辺も4本」

「ペアの辺の長さも同じだよ」

長四角は長方形,真四角は正方形という名前のあることを,この後,教えていきます。

長方形と異質な図形を連続的に比較させていくことで,長方形・正方形の図形の構成要素を子どもからひきだしていくことができました。