2022年11月29日火曜日

板書から変えてみよう!

 先日、ある市の学校を訪問しました。17クラスの授業を参観しました。多くの教室で共通した課題は、板書の情報量です。問題文と式と答えだけで終わってしまう板書では、算数が苦手な子どもにとっては理解の助けとはなりません。

板書の基本姿勢は、その時間に保健室で休んでいた子どもが教室に帰ってきたときに、板書を見ただけで「こんな話し合いが行われたんだ」「こんな声があがったんだ」などと、45分間の授業展開がイメージできる板書であることが基本だと考えています。

板書はその気になれば、すぐにでも改善できます。是非、チャレンジされてみて下さい。

私が執筆している板書シリーズを参考にしていただけたらありがたいと考えています。

2022年11月26日土曜日

比の模擬授業

 昨日は,吹田市の先生方に6年生「比」の模擬授業を行いました。始まったのは19時からです。こんな遅くに集まる先生方の熱意に頭が下がります。

私のクラスで行った授業を再現しました。子ども役の先生からは「次が48㎝だったらいいのに・・・」と素敵な呟きがあがりました。「これはすごい呟き」と直感し,その後はこの呟きを軸に授業展開を変えていきました。

授業は計画通りには運びません。子どもたちの反応に応じて,柔軟に展開を修正していくことが大切です。それは大人相手の模擬授業でも同じですね。

2022年11月25日金曜日

計算はいらない!

 子どもたちに,次の問題を提示します。

「ロボットABCがあります。1番速く歩けるのは,どのロボットでしょう」

子どもからは,「ABCのロボットの表を見せて欲しい」「グラフでもいいから見せて欲しい」と声があがります。そこで,ロボットBCの2体の歩く速さが表示されたグラフを提示します。このグラフから,次の声があがります。

「これならBとCは,比べられる」

「見たら分かるから,計算はいらない」(H子)

H子の声の意味を,読解していきます。

「5秒のところを見たら,Bは15㎝進み,Cは10㎝進んでいるからBが速いと分かる」

「だから,Aも5秒が分かれば決まるよ」

グラフのデータを読解することで,計算をしなくても歩くのが速いロボットを判定することができることが見えてきました。そうなると,子どもから「Aの5秒のデータを教えて欲しい」と声があがります。しかし,そのままそのデータを与えてはおもしろくありません。そこで,次のように投げかけます。

「Aは3秒で7.5㎝でした」

3秒のデータのみを提示します。これに対して,子どもたちは次のように話し合いを進めます。

「これで1秒当たりが分かる」

「7.5÷3で2.5㎝」

「だから,決まった数は2.5ということになる。文字式でいうと,y=2.5×xになる」

「5秒のときは,2.5×5で12.5㎝と計算ができるね」

「だからBが一番速いことが分かるね」

Aのデータを提示したことで,子どもからは文字式にデータを一般化するアイディアが生まれてきました。そこで,BやCのロボットも文字式に置き換えてみました。

さて,この一連の活動の中で「でも,このロボット歩くのが遅すぎないか?」という声が子どもからあがります。最速のBでも,5秒で15㎝です。確かに遅すぎる気がします。

そこで,子どもは5秒間でどれくらい歩けるのかを実験しました。代表の子どもが歩きます。結果は,5秒で478㎝でした。文字式では,y=95.8×xとなりました。その後,Bロボットの速さも子どもたちは体験してみました。人とロボットとのあまりの差に,次の声があがります。

「ロボットは遅すぎる!」

「わかった!きっとロボットは小さいんだ」

「それなら少ししか進めない」

ロボットの大きさが自分の身長と同じだと考える前提条件を,子どもたちは疑い始めたのです。提示されたデータを鵜呑みにするのではなく,批判的に見ていくことも大切な視点ですね。

この授業は「板書で見る全単元・全授業のすべて算数6年下」(東洋館出版社)の教材を活用して展開しました。


2022年11月24日木曜日

算数授業づくりセミナーが終わりました

 昨日は,西宮市で算数授業づくりセミナーが開催されました。対面開催でしたが,70名以上の先生方にご参加いただきました。淡路島や和歌山からも多くの先生方においでいただきました。ありがとうございました。

久々の対面講座ということもあり,ご無沙汰していた先生方にお会いすることもできました。やはり顔を合わせてお話をすると,いろいろなことへと話題が広がっていきますね。オンラインではなかなか話題は広がりません。講座だけでなく,休憩時間の先生方とのつながりという点でも楽しく過ごせた1日でした。

2022年11月21日月曜日

グラフにすると?

 前回の学習で,最も分厚いのノートや本を探しました。クラスではある一冊の本が最厚になることが分かりました。そこで,本時は次のように提示します。

「分厚い本のページ数の厚さのデータをまとめよう」

この発問と同時に,「グラフにできる」「それなら表にもできる」と声があがります。そこで,本の厚さを表からグラフの順で整理することにしました。

本の紙は100枚でした。その厚さは17㎜です。このデータから1枚は0.17㎜と計算できます。この確認活動で「比例を使えば分かるね」「4ます関係表みたいだね」と声があがります。

その後,このデータを元に,「250枚」「678枚」「1000g」の場合の対応するデータを見つけていきます。これらのデータは,文字式にも置き換えられます。

その後,表をもとにグラフ化していきます。グラフ化の前に「右上がりのグラフになる」「0からスタートしそう」と声が上がります。比例のグラフのイメージができているようです。

そこで,実際にグラフ化していきます。予想通り,0を視点とした右肩上がりのグラフになりました。この結果から,「比例のグラフは0からスタートして右に上がるんだね」とまとめます。

すると今度は,次の声が上がります。

「比例でないのは,途中から出てくる」

「最初にコップに水が50L入っていて,そこに水が入ると比例と違う」

この子どものアイディアで,グラフ化していきます。こちらも予想通りにy軸の途中からスタートするグラフが完成しました。

分厚いデータを提示しただけで,グラフや表のアイディア,さらには比例でないグラフのアイディアも子どもから生まれてきたことに,子どもの思考の成長を感じました。



2022年11月19日土曜日

新潟で対面講座!

今日は新潟県長岡市で対面講座を開催しました。150名の方が集まってくださいました。対面での講座は,先生方の反応がよく見えて話しやすいですね。私も子ども相手に授業を進めているつもりで,90分間一気に話しまくりました!

やはり対面は最高です。久しぶりにお会いする先生方もたくさんいらっしゃいました。懐かしい時間を過ごすこともできました。 

算数授業づくりセミナー満員御礼!

 11月23日に西宮市で開催予定の「算数授業づくりセミナー」は,お陰様で満員御礼となりました。早々にお申込みいただいた先生方,ありがとうございます。当日,愉しい算数についてともにじっくりとかんがえていきましょう!

残念ながら申し込みできなかった先生方,すでに次回の計画が予定されています。

2023年3月4日(土) 京都市

詳細が決まりましたらお知らせします。こちらは私の師匠・田中博史先生とのコラボ企画です。こちらもお楽しみに!

2022年11月18日金曜日

一番分厚いノートや教科書は?

 15分ほどの隙間時間を使って,比例の学習を行いました。子どもたちに,

「一番分厚いノートや教科書はどれでしょう」

と投げかけます。子どもたちは,自分の持ち物の中で最も分厚そうな本などを選び,その厚さを測定・計算します。1ページそのものの厚さは測定できませんので,それぞれのテキストの全ページ数の厚さを測定し,そこから比例の考えを使って1ページ当たりの厚さを計算しました。

厚さランキング第1位は「子ども六法」でした。1ページ当たりの厚さは,約0.175㎜でした。僅差の第2位は「お茶でふやけた漢字ドリル」でした。1ページ当たりの厚さは,約0.166㎜でした。前回,子どもたちが測定したコピー用紙は約0.09㎜でしたので,かなり分厚いことが分かります。「子ども六法」は紙を触っただけで,その厚さを実感できました。



2022年11月17日木曜日

全国算数授業研究会広島大会のご案内

 新年1月21日(土)に広島で,全国算数授業研究会広島大会が開催されます。地元広島の先生が多数授業公開をされます。合計14本の授業公開です。また,フィナーレは筑波大附属小の夏坂先生・お茶の水女子大附属小の岡田先生,そして私の3人でのシンポジウムです。是非,ご参加ください。お申し込みは,以下のQRコードからお願いします。




2022年11月15日火曜日

継続は力なり!

 今日は数年前から指導に入っている京都の小学校を訪問しました。半数のクラスの授業を参観しました。公開されたクラスの先生方の授業力は着実に向上していました。今年度2回目の訪問ですが,この半年でぐっと授業力を上げられた先生もいらっしゃいました。

同じベクトルで研修を続けていくことで,先生方の指導力も着実に高まっていくのですねえ。

校内研修がどの学校も取り組まれてますが,ポイントは同じベクトルで全教員が研修に取り組むことと,そのベクトルでの公開授業を継続していくと意外にないのかもしれませんね。

2022年11月13日日曜日

新潟の先生とオンライン講座を開催しました

 昨日,新潟の先生方のオンライン講座を開催しました。ホスト会場に半分の先生方,残りの半分の先生方は自宅などから参加する形式でした。ハイブリッド型のようでハイブリッドではない形です。オンライン講座も随分と体験してきましたが,今回はホスト会場に集まった先生方は,お互いに顔を見ながら参加ができましたので,リアル感があったのではないでしょうか。

90分の講座でしたが,先生方が熱心に考え,発言をして下さり,とても話しやすい講座でした。これは子ども相手の授業も同じで,リアクションがないと進めにくいのです。新潟の先生方は,よいリアクションをしていただきました。

今週末は,対面で新潟の講座に参加します。

2022年11月11日金曜日

京都の先生,頑張っています!

 今日は京都の小さな小学校を訪問しました。昨日までの5日間の修学旅行の代休日だったんですが,仕事に出かけました。代休でしたが素敵な子どもたちの声や呟きが聞こえて,疲れも吹っ飛びました。やはり子どもは元気をくれますね。

各学年1クラス,子どもも1クラス6名程度の小さな学校訪問でした。5月以来の2回目の訪問でしたが,どのクラスの先生の授業もずっとレベルアップしていました。この半年,研究主任の先生を中心にしっかりと研修を進めてこられたのだなあと感心しました。教師の授業スキルが高まると,子どもの呟きの質も高まります。「例えば…」「だって」などの素敵な呟きがたくさん聞こえてきました。先生方の地道な努力の積み重ねが,子どもを素直にさせていくのですねえ。

京都は観光客の随分と戻ってきましたね。帰路の嵯峨嵐山駅を過ぎると,電車はすし詰め状態になりました。

今日は京都の学校訪問,明日は新潟でオンライン講座

 昨日,担任する6年生との東北縦断5日間の修学旅行から帰ってきました。

今日は,午後から京都の小さな小学校を訪問します。全クラスの授業公開です。すべてのクラスを訪問し,先生方の成果と課題を共有する研修会です。こちらの学校は,今年度からこのスタイルで研修会を始めました。今回はその2回目です。京都の第2向陽小学校と同じように,すべての先生が修羅場に立つことが授業改革の第一歩です。

明日は,オンラインで新潟の研修グループの講座を担当します。オンラインですが,ブレイクアウトルームを使って,リアルに近い形での講座運営をしたいと考えています。

来週も新潟の講座がありますが,こちらは別の研修会からの依頼で対面開催です。

2022年11月9日水曜日

「算数の学校ができるまで」(東洋館出版社)Amazonで10位!

 京都第2向陽小学校の算数の学校作りの本「算数の学校ができるまで」(東洋館出版社)が,Amazonではまだ予約段階にもかかわらず,学校教育書部門でなんと10位にランクインしました。予約していただきました先生方,ありがとうございます。

Amazonでは,発送までまだ10日ほどかかるようです。東洋館出版社のサイトからのお申し込みいただければ,すぐに発送できるそうです。東洋館出版社の申し込みサイトは以下の通りです。

https://www.toyokan.co.jp/products/4105?utm_term=&utm_campaign=%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0%EF%BD%9C%E6%9D%B1%E6%B4%8B%E9%A4%A8%E5%87%BA%E7%89%88%E7%A4%BE%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3&utm_source=adwords&utm_medium=ppc&hsa_acc=6770627866&hsa_cam=17566991258&hsa_grp=&hsa_ad=&hsa_src=x&hsa_tgt=&hsa_kw=&hsa_mt=&hsa_net=adwords&hsa_ver=3&gclid=Cj0KCQiAmaibBhCAARIsAKUlaKSelHjxj0gUTbrp8uXzob4mXVIO0j44oeuIELDPgXVZPwDHFjQemnoaApXOEALw_wcB

既にご購入いただいた指導主事さんから,学校改革について大いに参考になったとうれしいお言葉を頂戴しています。是非,皆さんもお求めください。

2022年11月6日日曜日

コピー用紙から比例へ

 子どもたちに「コピー用紙1枚の厚さは何ミリでしょうか」と投げかけます。

子どもたちからは,「厚さはない」「えっ?」「測ればいいよ」「㎜まではないよ」などの声が聞こえてきました。一方,「重ねたらいい」という声も聞こえてきました。

そこで,紙1枚に厚さはあるのかを実際に測定します。全員にコピー用紙を1枚ずつ配布します。子どもたちは定規を当てて,厚さを測定します。すると「測れない」「無理」と声がします。ところが,その声と同時に子どもたちが紙を折り始める姿が見えてきました。2枚折り,4枚折り,8枚折りと折り進め,ある程度の厚さが出た時点で長さを測定しようというアイディアです。子どもは,困った場面に出会うと自然に動き出すのです。

さて,子どもたちの測定結果は大きく2つに分かれました。8枚で1㎜と16枚で1㎜です。1枚当たりに直すと,8枚は0.125㎜,16枚は0.0625㎜になります。これはかなりの差です。

そこで,「全然違うねえ」と子どもたちに投げかけます。子どもから生まれてきたのが,「だったらもっと多くする」「100枚ならいいよ」「200枚の方がきりがよくなる」という,枚数を多くすることで誤差を減らそうとするアイディアでした。

今度は200枚で厚さを測定します。結果は18㎜。1枚当たりに直すと,0.09㎜です。この結果から,今度は「だったら11枚で約1㎜になる」「11枚なら,0.99㎜だから」と声があがります。そこで,11枚が1㎜になるのかを定規で測定します。結果は,どの子どもたちもほぼ1㎜という結果になりました。

上記の考え方は,これまでのどの学習と結びついているのでしょうか。子どもたちは「比例の考えだ」と,その関連先を指摘してきました。比例の考え方が前提条件としてあるからこそ,上記の考え方が成立するのです。



2022年11月3日木曜日

第2向陽小学校研究会終了

 昨日,京都第2向陽小学校の研究会が終わりました。東は東京から西は広島まで100を超える先生方が参加されました。算数日本一の学校を標榜する先生方の授業はいかがだったでしょうか。どのクラスからも,素敵な子どもたちの呟きが聞こえてきたのではないでしょうか。

研究会と同時に発刊された「算数の学校ができるまで」(東洋館出版社)は,なんと参加された方の半数の方がご購入されました。ありがとうございます。書店に並ぶのはもう少し時間がかかるようです。ネット購入が早そうですね。東洋館出版社の申し込みサイトは以下からお願いします。

https://www.toyokan.co.jp/products/4105

2022年11月1日火曜日

明日は第2向陽小学校研究会&企画本発刊

 いよいよ明日は京都府第2向陽小学校の研究発表会です。それに先立ち,本日,東洋館出版社より「算数の学校ができるまで」が発刊されました。私と第2向陽小学校の先生方でタッグを組んで作成した本です。読みやすいだけでなく,どのように校内研修を進めていけば学校全体の授業レベルが向上していくのかがまとめられています。こちらの本も,是非,お買い求めください。表紙も素敵な装丁に仕上がりました。こちらは東洋館出版社の北山さんのアイディアで教育書らしくない装丁を敢えて使ってみました。素敵ですよね!

企画本のお求めは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.toyokan.co.jp/products/4105