2017年2月17日金曜日

比例はあるかな?



算数の時間「比例しているところはあるでしょうか」と子どもたちに投げかけます。先ずは,正方形が階段状に増えていく形を見せます。
この形の中に,比例関係を見つけることは簡単でした。例えば,「段の数と周りの長さ」の関係では,段の数が1段→2段→3段と変わると,周りの長さは4㎝→8㎝→12㎝と変わります。いずれも,2倍・3倍の関係になっています。この他にも,「段の数と高さ」「正方形の数と面積」が比例関係にあることを発見することができました。

 授業後半に子どもたちにチャレンジさせたのは,六角形を上図のように組み合わせた図です。この中に,比例関係にある2量はあるのでしょうか。子どもたちは,必死で六角形を見つめています。しかし,これは難問でした。「ないよー」という諦めの声も聞こえてきました。比例関係の2量を見つけることはできないのでしょうか・・・。

 ところが,しばらくすると「ありました」と声があがりました。子どもたちも,耳をそばだててその発見を聞いています。
「六角形を(下図のように太線で分割し)1段→3段→5段と考えます。この段数と,辺の数は比例しています。1段は6本,3段は18本,5段は30本で,どちらも3倍・5倍となっています」
 この発見に「本当だ」「すごーい」と驚きの声があがりました。この発見は,私の想定外の発見でもありました。(私は,別の場所に比例関係を見つけていました・・・)

子どもの発想は,柔軟ですばらしいですね!



2017年2月15日水曜日

比例の見方を引き出す

子どもたちに,「ひし形を組み合わせていくと・・・」と投げかけます。先ずは,ひし形1つを提示します。次に,その横にひし形を4枚組み合わせて作った大きなひし形を提示します。
 

2種類の図形を見た子どもから,「面積が変わっている」と声があがります。変わるものが見えたのです。そこで,他にも変わるものをあるのか尋ねます。「辺の長さ」「もとのひし形の数を基準にしたとき,それが何個分か」と,変わるものを見つけた声があがりました。一方,「変わらないものもあります」という声もあがりました。子どもたちが見つけた変わらないものは,「角の大きさ」「ひし形の形」「頂点の数」「辺と角の数」でした。図形を見ただけで,2つの見方ができる子どもたちの感性の良さには驚きでした。

 さて,変わるものを考えていたとき「比例している」という声があがりました。そこで,何が比例しているのかを考えました。当初は,「面積が1㎠→4㎠→9㎠・・・と差と差の差が2㎠ずつ増えている面積の増え方」を比例ととらえていました。ところが,辞書で比例の意味を調べた子どもがいました。辞書には「2つの数量が同じ割合で増えたり減ったりすること」と説明されていました。つまり,2つの数量が同じ割合で増えることが条件となります。面積は増えてはいますが,その視点だけで考えるだけでは比例と断定できません。

 そこで,比例関係にある2つの数量はあるのかを探しました。その結果,「1辺の辺の長さと周りの辺の長さ」「段の数と周りの辺の長さ」が,それぞれ比例関係であることが分かりました。いずれも,片方が2倍・3倍になると周りの長さも2倍・3倍になっています。また,「1段目のひし形の数と面積」も比例関係でした。


 増える変化には,このように2つの数量を比較することで比例という特別なきまりがあることが見えた1時間でした。

2017年2月13日月曜日

算数授業作り講座IN西宮 増員しました

以前お知らせしました兵庫県西宮市で開催される「算数授業作り講座」ですが,好評につき定員を増員しました。申し込みいただいた先生方,ありがとうございます。

4月のスタートは,1年間のクラス作りの点でも,子どもたちの思考力を育てていく点でも重要です。何を,どのように提示し,価値づければ,子どもたちはアクティブに動き出すのでしょうか。私の他にも3名の現場の先生方を講師として,みなさんといっしょに考えていく1日にしたいと考えています。

詳細・申し込みは,以下のアドレスからお願いいたします。春の西宮でお会いできることを楽しみにしています。

【日 程】2017年4月15日(土) 10:30~17:00
【会 場】西宮市立教育会館(兵庫)
【参加費】3000円 (学生さん、春から教壇に立つフレッシュ先生は1000円)
【講 師】
 尾崎正彦(関西大学初等部)
 直海知子先生(大阪府公立小学校)
 松井恵子先生(兵庫県公立小学校)
 榎並雅之先生(姫路大学)special guest

 http://kokucheese.com/event/index/443764/
  ↑
 (お申込みアドレス・こくちーず)
 

かけ算とわり算をつなげる

2月の公開研究会には,北海道から九州までの多くの先生方に参観いただきました。窮屈な教室でしたが,子どもたちの活躍はいかがだったでしょうか。

分で6/8Lジュースを作るマシンがあります。1分では何Lのジュースを作ることができますか」という問題を提示しました。この問題に出会った子どもたちから,「逆だ」「わり算だ」と声があがりました。前時までに子どもたちは,分数のかけ算の問題に取り組んでいました。その問題との違いに,問題文を分析することで感じたのです。これだけでも十分にすばらしい感覚です。

この「逆だ」の声を,クラス全体で共有していた時のことです。「もしが1よりも大きかったら,答えは小さくなるし,1よりも小さかったら答えは大きくなる」という声があがってきました。に入る数の大きさで商の大きさが異なることを指摘する声です。さらに,「もしが0.1なら・・・」「もしが2なら・・・」と具体的数値を代入して説明する声も生まれてきました。このような見積もりのできる子どもたちに姿にもびっくりしました。

その後,に2/4を入れて問題を考えます。子どもからは,6/8÷2/4と2/4÷6/8の2つの式が生まれました。どちらの式が正しいのかを,今度は4ます関係表を使って子どもたちは,説明していきました。この姿にも,参観の先生方から驚きの声があがっていました。

4ます関係表を使って,6/8÷2/4の式であることがわかりました。この式を見た子どもから,「今までと同じでいいじゃん」「分子同士,分母同士でわればいいんじゃないの」と声があがります。分数のかけ算での計算の仕方を,分数のわり算にも当てはめることができるだろうと考えたのです。このような見方は,一般化につながる見方です。よい考え方が生まれました。

この考え方で計算すると,分子は6÷2,分母は8÷4となり,答えは3/4となります。この計算の確かめを,図で行います。図でも同じ答えになることが確認できました。しかし,子どもから「でもさあ,われない数だったらどうするの」と声があがります。一般化の限界を指摘する声です。例外を探そうとする見方が生まれることも素敵な考え方です。
子どもから生まれてきたのは,6/8÷2/3という式です。この場合,分子は6÷2=3とわりきれます。しかし,分母は8÷3=2.666・・・となりわりきれません。先ほどの方法では,確かにうまくいきません。

ここで生まれてきたのは,倍分の考え方です。「だったらわれるようにすればいい」「倍分すればいい」「分母と分子を3倍ずつして18/24なら2/3でわれるよ」と子どもたちの声が続きます。倍分の考え方は,分数÷整数で学習しました。その時の学びが,この場面とつながったのです。このような単元を超えた見方ができる点も,子どもたちの素晴らしい姿でした。

授業では,図で答えの確かめをしていた時に,「あっ,図から見える式が逆になっている」「6/8÷2/4が6/8×4/2になっている」という,次の時間につながる逆算の見方も生まれてきました。

既習の学習内容を使いこなす子どもたち,さらには新しいことを発見する子どもたち,様々な数学的見方が発揮された1時間となりました。