2020年11月29日日曜日

「三角形と四角形」4時間分を1時間で!

 2年「三角形と四角形」の導入場面です。

子どもたちに「同じ形ではどれかな?」と投げかけます。
最初に右の二等辺三角形を提示します。この二等辺三角形と同じ形を見つける学習です。この形をよーく見せた上で,この形を隠します。

そして,「この形は最初の形と同じかな?」と投げかけ,左の形を提示します。子どもからは,次の声が次々と聞こえてきます。

「全然違う」

「角っとしている所が4個ある。さっきのは,角っとしている所は3個でしょ」

「真っすぐな線の数も違うよ。最初のは3本で,今のは4本でしょ。だから,今のは四角」

「そうだよ。最初のは三角なんだよ」

「三角」「四角」という言葉は,日常生活で子どもたちが使い慣れています。それらの言葉を,角と辺の数の視点で整理する言葉が生まれてきました。この場面で「角っとしいる所」は「角」,真っすぐな線は「直線」と言葉を置き換えることを教えます。

次に,右の図形を提示します。この図形も,「違う」
と声があがります。

「これも違うよ。直線が4本で,角が4個でしょ」

学習したばかりの「直線」「角」の言葉を使って,最初の形と異なることを説明することができました。

今度は,左の形を提示します。三角形です。ところが,これに対しても「違う」と声があがります。子どもたちが,違うと考える理由を説明してきます。


「右下の角が,四角みたいにかくっとなっている」

右下の角の大きさが,最初の形と異なることを「かくっと」という子どもらしい言葉で表現してきました。しかし,この「かくっと」という言葉は曖昧です。そこで,「『かくっと』ってどういうこと?」と子どもたちに投げ返します。

ここでまたまた子どもらしい反応が生まれてきました。多くの子どもたちが,手や腕を使って「かくっと」を表現したのです。左手を縦方向,右手を横方向に向けて「かくっと」を表現する子どもがいました。また,両腕を2方向に向けて「ウルトラマンのビームみたいな形」と説明する子どももいました。まだ,角度は知りません。ジェスチャーで必死に表現していく2年生の姿は微笑ましいですね。「英語のLの形だよ」という説明も生まれてきました。

これらの直角に対する表現をきっかけに,子どもたちはすでに提示された図形も見直します。

「さっっきの四角(長方形)にも,ウルトラマンのビームがある」

「この四角には,ウルトラマンのビームが4個あるね」

長方形の概念への気付きが生まれてきました。

今度は,右の形を提示します。最初の形に似ています。しかし,
これに対しても「違う」と声があがります。

「最初のは囲まれている。でも,今のは切れているよ」

「もし,最初の三角の中に水を入れたとします。これは水はこぼれません。でも,今の形は隙間があるから水がこぼれるよ」

最後に,最初と同じ三角形を提示します。「そうそう,それだよ」と今度は満足の声が聞こえてきました。

「三角形」「四角形」「頂点」「直角」の用語を,合わせて指導を行います。

「三角形と四角形」学習で大切な図形の構成要素に対する教科書4時間分の概念が,1時間の授業で一気に生まれてきました。子どもたちが本来持っている概念を引き出し,クラス全員で共有していくことで,指導計画の時間概念を超えた展開ができました。





算数プレミアム懇談会 第2弾開催決定!

 昨日,算数プレミアムオンライン懇談会を開催しました。

新潟,東京,大阪,岡山の5人の先生方と算数指導のお悩みや質問をからめながら2時間懇談を行いました。密度の濃い時間を過ごすことができました。オンラインでも少人数であれば,まるで同じ空間にいるような気分になれますね。参加いただいた先生方,ありがとうございました。

算数プレミアム懇談会の第2弾を開催することが決定しました。

期日:2021年1月16日(土)16時30分~18時30分

定員:5人

参加資格は算数プレミアムオンラインセミナーにお申し込みいただいたにもかかわらず,定員オーバーで入れなかった方です。後日,学校図書から該当の先生方にメールでご案内を差し上げます。メールチェックを忘れずにお願いします!


2020年11月26日木曜日

WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A(明治図書)発刊のお知らせ

まもなく明治図書より,新刊本が発刊されます。

先生方の日頃の算数授業に対する疑問を
Q&A形式でまとめたものです。
算数授業でもっと授業を活性化したいと考えている先生方のお役に立てると信じています。発刊までもう少しお待ち下さい。
タイトルと目次は次の通りです。
「WHYでわかる! HOWでできる! 算数の授業Q&A」目次序章 算数授業の想定外を愉しもう
第1章 教科書活用のQ&A
Q1 教科書は,授業中いつも開いていないといけないのですか?
Q2 教科書に出てくる考え方は,全部扱うのですか?
Q3 教科書は,どのようにして比較すればよいのですか?
Q4 教科書の数値や図形の形は変えてもよいのですか?
Q5 教科書の展開と異なる授業を展開してもよいのですか?
Q6 教科書通りに授業を展開すると,時間が足りなくなります…
Q7 練習問題を扱う時間が確保できません…
第2章 めあて,まとめ,ふりかえりのQ&A
Q1 「めあて」は,どのように設定すればよいのですか?
Q2 「めあて」と「まとめ」は,どのように対応させればよいのですか?
Q3 「めあて」は,全部板書しないといけないのですか?
Q4 「ふりかえり」が,いつも同じパターンになってしまいます…
Q5 「まとめ」は教科書の言葉を使うのですか? 子どもの言葉を使うのですか?
Q6 そもそも,「めあて」「まとめ」「ふりかえり」は必要ですか?
第3章 話し合い活動のQ&A
Q1 「はかせ」は,どのように扱えばよいのですか?
Q2 算数が苦手な子どもが,話し合いに参加できません…
Q3 「学び合い」の授業が,途中で失速してしまうのはなぜですか?
Q4 ペアで説明し合う活動がうまくいきません…
Q5 子どもの説明が,うまく友だちに伝わりません…
Q6 ミニホワイトボードは,どのように活用すればよいのですか?
Q7 複数の考え方を,うまく1つに収束することができません…
第4章 授業展開,授業構成のQ&A
Q1 導入で子どもに興味をもたせるには,どうすればよいですか?
Q2 指導書通りに展開すると,子どもの反応がよくありません…
Q3 子どもの学力差が大き過ぎて,対応しきれません…
Q4 教師の想定するズレと実際の授業展開が異なったら,どうすればよいですか?
Q5 数学的な考え方の育て方,鍛え方がわかりません…
Q6 帰納的な考え方と演繹的な考え方を1つの授業で捉えさせるにはどうすればよいですか?
Q7 子どもが「見方・考え方」を働かせられないのはなぜですか?
第5章 ノート指導,板書のQ&A
Q1 教科書の問題は,ノートに書かせないといけませんか?
Q2 板書をノートに写しきれない子どもにどう指導したらよいですか?
Q3 ノートの種類や書き方は,どこまで指導するべきですか?
Q4 子どもの意見は,どのように板書すればよいのですか?
第6章 学力,個人差のQ&A
Q1 宿題の○つけは,どのように行えばよいですか?
Q2 基礎・基本が,なかなか定着しません…
Q3 発展問題は,どのように扱えばよいですか?
Q4 授業は盛り上がるのに,テストの点がよくありません…
Q5 文章問題が苦手な子どもは,読解力不足なのですか?
Q6 数直線や図を,子どもが使おうとしません…
Q7 割合の指導がうまくいきません…
Q8 集中力が続かない1年生には,どんな授業を行えばよいですか?
Q9 教材研究を,十分に行うことができません…

ネットでの本のお申し込み等は,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-425221-9

9ますビンゴに勝つ秘密

前号でお知らせした9ますビンゴ,これに勝つ必勝法を自主学習で発見してきた子どもがいます。そこで,このアイディアを授業でも取り上げてみることにしました。


子どもたちに,「9ますビンゴで勝つ方法を考えよう」と投げかけます。すると,子どもからは次の声が生まれてきました。

 

1118日の勉強で,九九にはない答えを書くとビンゴにならないことを勉強した。だから,九九にある答えだけを書けばいい」

99とかの九九にない答えを書いてはいけない」


 以前の学習とつなげて,ビンゴに勝つ方法を見つけることができました。九九にない答えはいくつくらいあるのでしょうか?

 子どもたちの多くは,その数は3040位だと考えていました。そこで,九九にはない数字がいくつあるのか,全て調べることにしました。 


 その数は,子どもたちの調査ではなんと45個もありました。これに8299も加えると63個も使ってはいけない数字があることになります。その多さに子どもたちも驚いていました。



 

 九九にはない答えを書けば,これでビンゴに勝てそうです。ところが,「それだけじゃダメ」と声があがります。まだ,ビンゴに勝つための秘策があるようです。


例えば,答えの4になる式は2×21×44×13つあるから,こんな答えを書いた方が有利」

12なら,式は4×33×42×66×24つもある」

「もし81を書くと,式は9×9しかないから不利」

12とか24を書いた方が式が多いから勝つ確率が高くなる」

 

 勝つ確率の高い数字を記入した方が,ビンゴが速く成立する可能性が高くなることを見つけることができました。


 子どももたちが見つけた2つの方法を使えば,ビンゴに必勝できそうです!

2020年11月18日水曜日

9ますビンゴから見えたかけ算九九の新しい見方

子どもたちに,「9ますビンゴ」をしようと投げかけます。ルールは次の通りです・

  同じ数字は1回しか使えない   ② 1〜99までの数字を記入する


子どもたちは9ますの中に,自由に数字を記入していきます。数字を全員が記入し終えた後,ビンゴの数字を発表します。ただし,その数字は「5×9」のように式で発表します。




すると「えっ?」という声が聞こえてきました。この「えっ?」の声の意味をクラス全体で考えます。

「99はできない」

「99はかけ算の九九に答えがないよ」

「かけ算は9の段までしかないから,81で終わり」

「九九なら,82〜99の数字はない」


 私が板書したのはかけ算です。もし,この後も九九の式のみが板書されたら,82以上の数字を記入してはビンゴができなくなります。そこで,ビンゴの数字を修正してもよいことにしました。これで子どもたちも一安心・・・?

 

 すると今度は,「11と13もないダメだよ」という声が聞こえてきます。この声の意味もクラス全体で考えていきます。

「11も13も,九九の答えにないよ」

「あれ,他にあるよ。43もないよ」

「まだあるよ。50,60,80もないよ」

「73も74もないよ」


 子どもたちは,右のような数字が九九にはないことを見つけ出します。「まだまだ,九九にはない数があるよ」

「九九にない数はたくさんある」

 子どもたちは,81以下の数字にも九九の答えにないもの多数あることを知って,驚きの声があがります。


 再度,ビンゴの数を修正するチャンスを作ります。その後,かけ算九九を板書し,ビンゴゲームを楽しみました。

 九九の答えは1〜81まであると考えていた子どもたちの数への見方が,ビンゴを通して変わっていった1時間となりました。


 本実践は,「板書で見る全単元・全時間の授業 2年下」(東洋館出版社)の山本良和先生の提案を追試したものです。



2020年11月16日月曜日

まだある,かけ算九九表のおもしろさ!

かけ算九九表のきまり探しの2時間目です。

「おもしろいことなんて,もうないよ」


 こんな風に考える子どもたちが,かなりいました。一方,「おもしろいことは,まだあるよ」と考える子どももいます。


 おもしろいことは,まだ本当にあるのでしょうか。子どもたちが発表します。

「(黄色い部分の)一の位だけ見て下さい。下から順に,8,7,6と同じ数字が出てくる」

「それなら,5,4,3,2,1も同じになっている」



 一の位に限定して見ていくと,数字の変化に対称性が見えてきます。対称的に数が並べことも,子どもの興味を引くのですね。おもしろい気付きが生まれてきました。



 すると,この声をきっかけにして子どもたちの追究が続きます。


「だったら,8のところもが同じになっている」

「それなら,7も6も同じになっている。

「全部なっている。5〜1もなっている」




9の段のところで見つけた一の位の数字の対称性のきまりが,他の段にも当てはまることにも気付いたのです。8の段にも同じきまりが当てはまることを確認すると,一気にその見方は全ての段へと拡張していきました。

見方を拡張できる素晴らしい子どもたちです。


すると今度は,次の声もあがります。

「向きを反対にしても,同じになってるよ」



 左のように見ても,一の位の数字の対称性が見えます。視点を当てる数字の列を転換していく見方も素敵です。


また,右のように見ても同じ対称性が見えます。かけ算九九表は対称性が囲まれた形であることが見えてきました。


「おもしろいこと」は,まだまだありました!

かけ算九九表はおもしろい!

 かけ算学習のまとめとして,空白のかけ算九九表に答えを埋めていく学習を行いました。その活動の中で子どもから,「おもしろことがある」「きまりがある」という声が聞こえてきました。すぐにきまりを見つけようとする姿が育ってきたことにうれしくなります。


 さて,子どもたちが見つけたおもしろいこととは一体どんなことでしょうか。1つ目のおもしろさは,次のことでした。


「かける数1の下は1,2,3・・・となっていて,かけられる数の1の横も1,2,3・・・となっている」

「かける数2の下は2,4,6・・・となっていて,かけられる数の2の横も2,4,6・・・となっている」

「だったら,3の段も4の段もそうなっている」


 

同じ数字の並びが,縦方向・横方向に見えることを見つけてきました。この数字の並びが「トンネルに見える」と感じる子どももいました。きれいな数字の並び,同じパターンの数字の並びに子どもたちはおもしろさを感じるようですね。


次に生まれてきたのは,次のおもしろさでした。


「斜めに見ると,1×1=1,2×2=4,3×3=9・・・で,答えが斜めにつながっている」

「かけられる数とかける数が同じ数字をかける答えが,斜めに並んでいる」




 斜めに並ぶ数字を作るかけ算の式の数字がぞろ目で構成されるというおもしろさを感じたのです。こんなおもしろさを感じるのもよい感性ですね。

 

 九九表のきまりはまだまだあります。この時間はこの2つの発表で時間オーバー!楽しい時間となりました。

2020年11月15日日曜日

第2回愉しい算数授業をつくる研修会申し込み開始!

 愉しい算数授業をつくる研修会の第1回が終わりました。少人数での開催でしたが,参加いただいた先生方の熱量の高さに圧倒されました。

さて,第2回の愉しい算数授業をつくる研修会の申し込が始まりました。詳細は,以下のちらしをごらんくだごらんくだい。

お申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

morimoriaki504-tanosiisansuu@yahoo.co.jp



新型コロナ感染拡大の際は,開催を中止させていただく場合もありますので,ご承知おきください。

2020年11月12日木曜日

1の段でも盛り上がる!

 2年生「かけ算」学習でかけ算九九を作り出す学習も大詰めを迎えています。この日は最後の九九の1の段を作る時間です。

子どもたちに,次のように投げかけます。

「1の段のかけ算を作ろう」

6〜9の段では,既習のかけ算九九を合体することで答えを見つけていく学習を進めてきました。そこで,「1の段のかけ算も合体でできるかな」と投げかけます。

「できないよ」

「だって,1は半分にできないからこれは無理だよ」

合体かけ算ができないことと,その理由を子どもなりに説明してきました。その後,1ずつ答えが増えるきまりを使って,1の段のかけ算を作っていきます。

1×1から1×3までの計算が進んだところで,「おもしろいことがあります」という声がいくつも聞こえてきます。その中の一つに,次の声がありました。

「かける数と答えをたすと,2,4,6でしょ。これって2とびの数になっている」M子

M子の声の意味を共有していきます。しかし,まだ1×3までしか実験していません。そこで,M子の見方の正しさを,1×10まで計算して確かめます。


すると,M子の見方が正しいことが見えてきました。すると,この結果をもとに子どもたちが動き出します。

「かける数と答えをたすと,2,4,6,8・・・に全部なってる」

「これって2の段の答えだね」

「別の段の2の段の答えが見えるんだね」

「だったら,8の段もそうなっているよ」T男

T男は1の段から2の段が見えるという見方を,8の段にも当てはめて考えたのです。

そこで8の段のかけ算で,T男の声を確かめます。すると,写真のようにかける数+答えが9の段になっていることが見えてきます。すると,この結果からさらに子どもたちは動き出します。

「8の段だと,1つ上の9の段の答えになるんだ」


「だったら,さっきもそうだったよ」K子

「1の段だから,1つ上の2の段の答えになっている」

「だったら,2の段は3の段に,3の段は4の段になるね」

先ほどの1の段で見つけた見方は,かける数+答えが単に2とびの数になっているというものでした。ところが,T男の声を受けてK子はその見方を1の段にも当てはめたのです。T男の見方を使うと,1の段も違った見え方ができるのです。

その後,2の段からは3の段,9の段からは10の段が見えることを確かめていきました。

そもそもかけ算九九を作る必要があるのだろうかと思いたくなる1の段ですが,子どもたちはそんな1の段でもたくさんの発見を行うことができました。






2020年11月10日火曜日

田中博史先生,樋口万太郎先生との先生応援トリプル講座開催決定!

 田中博史先生(人塾),樋口万太郎先生(京都教育大学附属小学校)と私の3人で,先生応援トリプル講座を開催します。開催はzoomを使った講座です。

現段階の開催予定内容は次の通りです。

開催日程:2021123日(土)受付1230~ 

13001330 樋口先生 教科書の内容『割合』で模擬授業(15分程)の映像解説

13301345 参加者からの質問とグループ討議等

13451415 田中先生からのコメント

14251505 尾﨑先生 教科書の内容『割合』で模擬授業(15分程)の映像解説

15051520 参加者からの質問とグループ討議等

15201550 田中先生からのコメント

16001700 田中先生の講話 

参加者:教員対象者300名限定予定

参加費:2000円 

申し込み方法などの詳細が決まりましたらお知らせいたします。

第2回 愉しい算数授業を作る会 開催決定!

 11月14日開催の愉しい算数授業を作る会は,満席となりました。申し込みいただいた先生方,ありがとうございます。すでにキャンセル待ちも出ています。

さて,好評につき第2回愉しい算数授業を作る会の開催が決定しました。


開催日 2021年2月20日(土)

内容 

12:30~13:15             

講座 尾﨑 正彦先生

『愉しい算数授業をつくる』

13:25~13:55

森谷 明夫先生の授業(低学年)

(ビデオ上映)

14:00~14:25

授業討論会

14:35~15:05

盛 佑輔先生の授業(高学年)

(ビデオ上映)

15:10~15:35

授業討論会

15:45~16:05

若手による実践

16:10~16:40

算数授業QA・閉会


申し込み方法などの詳細は,決まり次第お知らせします。

2020年11月6日金曜日

8の段で見つけたきまり!

算数のかけ算の学習も大詰めです。子どもたちに次の問題を提示します。

「8の段のかけ算の合体かけ算は,本当に4種類なのかな?」


 6の段のかけ算を学習したとき,6×2の答えは,1×2+5×2の2つの式を合体することでも求められることを発見しました。この合体の式は,他にも2×2+4×2,3×3+3×3の合計3種類があります。7の段も合体かけ算で答えを求めると,3種類の式で答えを求めることができます。


 ここまでの結果をもとに,子どもたちは次のように考えました。

「8の段は4種類の合体の式がある」

「2,4,6,8の段の2とびのときに,種類数が増えるんだ」

「1,3,5,7,9の段は,前の段と同じ種類だ」


 この時間は,前述の子どもたちの予想が正しいのかを確かめる学習です。式だけでは合体かけ算のイメージがうまく頭に浮かびません。8個のチョコレートを2色に塗り分けることで,イメージ化を図りました。

 その結果,8の段のかけ算は子どもたちの予想通りに4種類あることが分かりました。予想が当たった子どもたちは自信満々です。


 それと同時に,「おもしろいことがあります」と声があがります。

「上の段のかけられる数が1,2,3,4と1ずつ増えている」

「下の段のかけられる数は,7,6,5,4と1ずつ減っている」

「それって,6の段も同じになっている」

「7の段も同じだよ。すごいね」

 


 子どもたちは8の段で見つけた合体かけ算の秘密が,他の段にも当てはまるのかと場面を拡張して考えていきました。こんな考え方ができる姿も素敵ですね。

2020年11月2日月曜日

繰り返しが遠い?

 2年生「かけ算」学習です。この時間は7の段のかけ算を作ることから授業がスタートしました。

7×1=7

7×2=14

7×3=21

と順に7の段のかけ算の答えを確認していきます。これまで子どもたちは,かけ算は答えの一の位が繰り返すことを発見しています。しかも,一の位に0が登場するところまでが繰り返しの1セット目であることも発見しています。

7×3までの計算が終わったところで,次の声が聞こえてきました。

「一の位が,また繰り返すね」

「でも,0はこないんじゃないかな?」

「7×10なら答えの一の位に0がくるよ」

子どもたちは,7の段のかけ算は一の位の数字の繰り返しがなかなかこないのではないかと考えたのです。しかし,これは実際に答えを順に確かめていかないとはっきりとしません。そこで,その後の7の段のかけ算の答えを導き出していきます。

7×4=28

7×5=35

7×6=42

7×7=49

7×8=56

7×9=63

かけ算九九の範囲では,とうとう答えの一の位に0はきません。さらにかけ算を続けていきます。

7×10=70

ようやく0の登場です。しかし,本当に答えの一の位が繰り返すのかは,もう少しかけ算を書き出してみないと確認できません。

7×11=77

7×12=84

7×11から,答えの一の位が繰り返し始めました。一の位の0までが,随分遠いのが7の段でした。すると,今度は次の声が聞こえてきます。

「7は半分にできない数だから,答えの一の位の0まで遠い」

7は整数の範囲で半分にすることはできません。そこで,これまでに学習した他の段も答えの一の位に0が登場するかけ算を確認します。

3×10=30

5×2=10

3の段も,答えの一の位に0が来るまでが遠いことが分かりました。一方,5×2に対しては,「5は半分にできないけど,ちょっとすっきりした数だからだ」

「お金にも五円玉があるからね」

今度は,半分にできる数の答えに一の位が初めて登場するかけ算を調べます。

6×5=30

2×5=20

4×5=20

「半分の数は,かける数が5でリセットする」

(かけられる数が)半分の数は,かける数が5でリセットすることが見えてきました。

かけられる数が偶数か奇数かによって,答えの一の位の繰り返しのパターンが異なることを発見した素晴らしい子どもたちです。