2023年12月30日土曜日

静かな海です!

 

今日の執筆場所です!

「きまり本」執筆快調!

 島に籠って,来年に発刊予定の「きまり」に焦点化した本の原稿を執筆しています。「きまり」発見は算数授業の王道です。そこをピンポイントに攻める内容です。今年担任している1年生も,きまり発見は大好きです。きまりが見つかると,教室は大騒ぎになります。

小説家が旅館に籠って原稿を書くという話を耳にしますが,まさにその心境です。籠ると原稿は進みますね。予定ページ数の半分は超えました。

今は穏やかな海を眺めながら原稿を書いています。残り2日どこまで筆が進むかなあ…。

2023年12月25日月曜日

2023年終わります!

 2023年も終わりますね。昨日私は,山口県にある明倫館に朗唱の勉強に行ってきました。明倫小学校では,毎朝,声に出して吉田松陰の言葉を朗読しているそうです。素晴らしい取り組みですね。

今朝,通勤電車で読んだ川島隆太先生の本にも,「音読は学力を向上させる」「読書には創造力を高めるエビデンスが得られた」と書かれていました。冬休み,算数の本に限らず様々なジャンルの本を読まれてはいかがでしょうか。

今日は,関西地区の先生たちと定期的に開催している勉強会に参加します。これが年内最後の対外的なイベントです。明日からは,来年度に発刊予定の本の執筆活動に専念します。

2023年12月19日火曜日

じゃんけん時計ゲーム!

子どもたちに「時計を使ってじゃんゲームをしよう」と投げかけます。
ルールは簡単です。
①2人1組でじゃんけん
②3時から時計の針をスタート
③勝った人だけ,時計の針を進められる
 グー:5目盛り チョキ:10目盛り パー:15目盛り
④勝った人は,進んだ時計の時刻を相手に伝える。正しく伝えられない場合は,1つ前の時刻に戻る

このルールを確認する中で,次の声があがります。
「5目盛りは5分だよ」
「グー・チョキ・パーと進めるのが5分ずつ長くなっている」
時計の分の読み方は,日常生活でも子どもたちは知っています。その知っていることを,このゲームを通して明確化していくことにしました。
最初は,時計の進め方を全員で確認します。3時35分まで長針が進んだ場面で,「どうやって,長い針の場所を数えるのかな?」と尋ねました。
「5飛びだと簡単です。5,10,15・・・なら35と,簡単に分かる」
「もっと簡単なのは,10飛びだよ。10,20,30までいって,あと5分だけ進む」
「10はきりがいい数だから,分かりやすいね」
「(文字盤の)3は5分,6は30分,9は45分と覚えると,もっと早くなるよ」

子どもたちは,5飛び・10飛びなどの経験値をもとに,簡単に長針の時刻を読解する方法を説明してきました。
この後は,2人組で何度も時計の長針を動かすゲームを行いました。ゲームを進めながら,時計の読み方を学習していきました。


 

2023年12月16日土曜日

独りぼっちではありません!

 昨日は大阪の公立学校の2年生にかけ算の授業を行いました。

「十の位が隠れた九九カードがあります。何の段か分かるかな」

この問題文で授業はスタートします。ピンクのカードは,上下で見方を変換すると「2の段と8の段」「4の段と6の段」に見えます。緑のカードも同様に「1の段と9の段」「3の段と7の段」に見えます。同じカードなのに複数の九九の段が見えてきます。一方,黄色のカードだけは,「5の段」しか見えません。この状況を,子どもたちは「5の段は独りぼっち」と表現してきました。

私は,ここまで子どもたちが辿り着けば十分でした。ところが,ここから子どもの追求のエンジンに一気に火が点きました。

「5の段は独りぼっちじゃないよ。10の段が仲間だよ」

「10の段は10,20,30…だから違うよ」

「あ!15の段だが仲間だよ」

「15,30,45…だから,5の段の仲間だ」

「まだ仲間があるよ。35の段も仲間だ」

「45の段も仲間だ」

「55の段も仲間だ」

子どもたちは,何とかして独りぼっちの5の段の仲間を見つけていこうとしたのです。このあくなき追及姿勢が最高でした。さらに,子どもの追求は続きます。

「10の段にも仲間がいるよ」

「20の段は仲間だ」

「30の段,40の段もそうだよ」

先ほど生まれてきた10の段も,そのままでは独りぼっちでした。そこで,この段の仲間も探そうと考えたのです。

最後は,かけ算九九には仲間がいっぱいるということが分かった1時間でした。後半の子どもの追求のエンジン,最高でした。すばらしい子どもたちの出会いでした!


目的意識を見出す!

 子どもたちに,「棒をつなげて,いろいろな形を作ろう」と投げかけます。

棒をつなぐといっても,様々なつなぎ方があります。今回は,「棒の端と端をつなぐ」「隙間のない形を完成させる」ことを条件としました。

先ずは,お手本として6本の棒を使うとどんな形でできるのか,代表の子どもがホワイトボードに作成します。鉛筆のような形ができました。

すると,この形を見た子どもたちから声があがります。

「三角の折り紙の時は,6枚で7個できたから,今度も6本で7個できるんじゃないかな」

「でもさあ,今度は違うかもよ」

「折り紙と棒だから,違うかもよ」

三角の折り紙をつなげた形作りの学習での形のでき方と,棒での形のでき方を統合的に見ようとしたのです。このような見方が,この段階で生まれてくることにびっくりです。

子どもからは「実験したら,何本か分かるよ」と声があがります。そこで,6本の棒で実験開始です。

子どもたちが見つけたのは,写真にある10通りでした。当初の予想とは異なる数値でしたが,この結果から次の声が生まれてきます。

「だったら,7本は11個だね」

「6本から10個に4増えたから,次も4増えるね」

「違うかもよ。次は5増えるかもしれないよ。それなら11個できる」

予想とのズレに出合ったことで,新たなる変化のきまりに対する見方が生まれてきました。

この日はここで時間切れでしたが,数の目的意識を持たせることで,子どもたちの図形作り活動のモチベーションは一気に高まりました。

2023年12月15日金曜日

分かっているようで分からない

 「10人の子どもが並んでいます。あきらさんは前から番目です。後ろから番目です」

この問題文提示とともに,子どもからは様々な声があがります。

「図を描けば分かるよ」

「式はまだ分からない」

が分かれば,できるね」

に11は入らないね。だって,10人しかいないから」

「式だとたしざんかな? ひきざんかな?」

「たしざんはないよ。もし,が9なら10+9=19だよ。10人しかいないんだから,たしざんは変だよ」

一つの問題文で,これだけのことを語り合える子どもたちに脱帽です。

さて,ここでの中の数字を提示し,に入る数を考えさせます。ただし,今回は図ではなく式をまずは考えるように指示をしました。

子どもたちがノートに書いた式は,全員が「10−7=3」「後ろから3番目」でした。この式に絶対的な自信をもっています。

そこで,今度は図で答えの確認をします。すると,「あれ?」「4番目?」という声が聞こえてきました。図で確認すると,確かにあきらさんは後ろから4番目になります。

「なんで10人なのに4番目?」

子どもの頭には大いなる疑問が浮かびます。式と図のズレを実感したからです。やがて,「そうか」と声があがります。

「あきらの前には6人います。だから,計算するのは10−6をしないとだめなんです」

「あきらを抜いて,計算しないと間違えるんだ」

「やっぱり,図から考えないとだめだね」

改めて,子どもたちは図のよさを実感しました。

次に,「花子さんは前から6番目,後ろから3番目です。全部で何人並んでいますか」と問題を提示します。子どもからは,「6+3で9人」「6+2で8人」「10人じゃない」などの声があがります。今度は,答えにズレが生まれてきました。

そこで,図で確認します。すると,全部で8人になることが分かりました。「6+2の2は,花子を抜いて考えないとだめだよ」と声があがります。

1年生の子どもが問題文だけで,場面を具体的にイメージすることはかなり困難です。従って,立式にもズレが生まれてしまいます。問題文を具体的な図に置き換えることと,式を往還する活動が大切であることが見えた1時間でもありました。


2023年12月14日木曜日

明日は大阪の子どもに授業公開

 明日は大阪の2年生の子どもに授業を公開します。2023年最後の公開授業です。どんな子どもたちと,どんな授業が公開されるでしょうか。楽しみです!

2023年12月11日月曜日

4枚は5つできるの?

 三角でのぴったとシリーズの続きです。この日は,4枚の三角で何種類のぴたっとシリーズができるのかを実験します。前回の学習で,4枚なら5種類できることに大きな自信を持っています。果たして,子どもたちの予想通りになるのでしょうか。

子どもたちは配られた4枚の三角で実験を行います。しばらくすると,「5つできた」「私も5つできた」と声があがります。

ところがしばらくすると,「6つできた」「7つできた」という声が聞こえてきました。5つできると信じ込んでいた子どもたちからは,「えっ?」「本当?」と驚きの声が聞こえてきます。5つのぴたったとシリーズが完成して安心していた子どもたちの手が動き出します。

やがて,それらの子どもからも「9個ありました」「10個ありました」などの声が聞こえてきました。

その後,ホワイトボードでぴたっとシリーズの図形を確認していきます。発表された図形の中のいくつかは,「あれと同じ」「くるりんぱしたら①と同じ」と声があがります。回転や裏返すと同じ形になることへの気づきも生まれてきました。

この時間で見つかったぴたっとシリーズは14種類ありました。子どもたちの当初の予想は外れてしまいましたが,14種類以外にもあるのではないかと考える能動的な動きがこの後も続きました。



2023年12月10日日曜日

2024年度全国算数授業研究会熊本大会は日程変更

 2024年度全国算数授業研究会熊本大会の日程が,変更されます。現段階では,2025年1月中~下旬頃を予定しています。

2023年12月8日金曜日

ぴたっとはまあまあ多いの?

前回の学習で,子どもの中から「ぴったとくっつく形は,まあまあ少ない」という声があがってきました。つまり接着する辺に隙間ができないつなげ方でできる種類数は,少ないという声です。

本時は,この声を確かめることにしました。三角2枚の場合を考える中から,次の声が生まれてきました。

「三角が3枚だと,2枚よりも増えるよ」

「12月5日の折り紙の勉強でも、似ているのをやったよ」

「ぴたっとじゃないのはたくさんあった。ぴたっとは,それよりも少ないから,10の半分くらいで7かな」

多くの子どもたちは,三角を2枚つなげるぴたっとシリーズは10個前後できると考えました。そこで,各自で三角タイルを使って実験します。

結果は3個でした。この結果を受けて,次の声が続きます。

「3枚なら,4個できる」

「本当に4個?」

「1個ずつ増えてるよ」

「2枚で3個だから1個増えた。3枚も1個増えて4個になる」

「縦に見ても1個増える。3個から4個に1個増える」

「三角の枚数も2枚から3枚に1個増える」

「外側が+1でぐるぐる回ってる」

2枚の場合の1つの事例の中に,きまりを見つけていきました。そのきまりを,三角が3枚の場面にも当てはめていったのです。多くの子どもは,この予想に自信をもっていました。一方,何人かは半信半疑です。

そこで,3枚の三角で実験を行います。結果は,子どもたちの予想通りの4つになりました。

すると,「だったら,4枚なら5個できる」と類推的に考える声が生まれてきました。この予想の根拠は,前回と同じでした。今回はほとんどの子どもたちが,この予想に自信をもっていました。

子どもたちの予想通り,三角4枚の場合は5個のぴたっと図形ができるのでしょうか。この日はここで時間切れとなりました。しかし,何人かの子どもたちは,時間終了後もホワイトボードで三角4枚の場合の形作りを進めていました。

この授業は,授業テラスで3月に公開します。お楽しみに!

2023年12月7日木曜日

「図解 算数の授業デザイン」3刷決定!

明治図書からこの春に出版した「図解 算数の授業デザイン−主体的な学びを促す50のしかけ」が,ご好評につき3刷りが決定しました。

すでにお求めいただいた先生方からは,「シンプルで分かりやすい」「図解になっているので,理解が進みました」などのうれしい言葉をいただいています。

まだお求めでない方は,是非,この機会にお求めください。

お求めは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-252226-0

「ぴたっと」と「あいだ」

「三角をつなげて,いろいろな形を作ろう」と子どもたちに投げかけます。
例えば2個の三角なら,どんな形をイメージできるのか,代表の子どもにタイルを動かし作成させます。
3枚のパターンが完成したときに,「まだあるよ」という声がたくさん聞こえてきました。その中で,おもしろい呟きをしていたのが,I男です。
「左の2つは,ぴったとだからまあまあいっぱいある。右のは間があるから,いっぱいある。」
I男は,3つの図形を2つに仲間分けしたのです。さらに,その仲間分けの根拠を2つの図形の接着部分の長さに目を付けて説明してきました。この仲間分け意味を,時間をかけて共有していきます。

次に,ぴったりだと「まあまあいっぱい」とは,どういう意味なのかを考えます。
「いっぱいの下だということ。」
「10個がいっぱいなら,その半分の5個くらい。」
「ぼくは,7個ぐらいだと思う」
辺同士がぴたっとくっつく形は,それほど多くはないと子どもは考えました。一方,辺の結合部に隙間ができるタイプは,「たくさんできる」「無限にできる」と子どもたちは考えました。

3つの図形を仲間分けを行うこと,さらにその根拠を説明できること,またそれぞれのタイプで構成できる図形のパターン数を考えていくという一連の考えが,授業の冒頭で生まれてきまいした。1年生の子どもたちの見方・考え方が着実に育っていることを実感する一瞬でした。

多くの子どもたちは,I男の考えに賛同しています。一方,怪しいなあと考える子どもも一部にいました。そこで,子どもたちに2枚の三角を配り自由に実験を行いました。
ホワイトボードには18種類の図形が貼られましたが,子どものノートにはまだまだ作成されていました。

次に,「三角を3枚に増やします」と投げかけます。すると,「もっとあるよ」「20は超えるよ」「28くらいできるよ」と,声があがります。三角が3個でできる図形のパターン数を,主体的に予想を始めました。
そこで,今度は3枚の三角を使って各自が実験を進めます。結果は,明らかに2枚よりも多くの図形がノートに描かれていきました。

複数の図形を組み合わせることで,その仲間分けとその先の数に目を向けた考えた生まれてきました。図形に対する見方・考え方の着実な進化に感動した時間となりました。




2023年12月5日火曜日

折り紙を折ると?

 子どもたちに「折り紙を半分におると,どんな形ができるかな」と尋ねます。

どのように折るかが,当初は問題になりました。そこで,「端と端をピタッと合わせる」ことが折り方のルールとして確認されました。

先ずは1回折るとどんな形ができるのか,実験します。結果は長方形と三角形の2種類ができました。

この結果を受けて,「だったら,2回折ったら3つできる」と声があがります。「1回折り:2つ」から考えた予想です。多くの子どもは,この予想に自信を持っていますが,半信半疑の子どももいます。

そこで,2回折りを実験します。結果は,子どもの予想通りになりました。すると,「だったら3回折ったら,4つできる」と子どもたちは考えます。今回は,多くの子どもが自信を持っています。ところが結果は5つの図形ができました。

すると新たな予想の声が聞こえてきます。「4回折ったら8つになる」「1個,2個と増えたから,次は3個増える」と,その根拠を説明してきます。しかし,この日は時間切れ。

「いろいろなかたち」単元の導入場面でした。本教材は,東洋館出版社「板書シリーズ1年」を参考にしています。


2023年12月1日金曜日

折り紙と人はたせない

 次の問題文を提示します。

「5人の子どもがいます。青の折り紙を1枚」

ここまで板書したところで,子どもたちが次々と声をあげます。

「折り紙と人はたせないよ」

「10月19日に,似た勉強をしているよ」

「単位が違うからたせないよ」

「この問題はだめだよ」

ここまでの問題文には,「人」と「枚」の2種類の単位が登場します。子どもたちは既習に立ち返り,この問題文では計算できないと考えたのです。問題提示の途中であるにもかかわらず,既習を活用して考える姿に脱帽です。

その後,「この後の文を見ないと,まだ分からないよ」という声もあがります。そこで,その後の問題文を提示します。

「ずつ配りました。4枚あまりました。青い折り紙は,はじめに何枚ありましたか。」

今度は,「まず,図を描いたらいいよ」「式は難しい」と声があがります。これも前時の考えがベースになっています。

そこで,図を描いてみることにします。これは,板書のような図が完成します。この図から,折り紙は9枚あったことが分かります。

続いて,式はできるのかを考えます。子どもからは「5+4=9」という式が発表されます。この式表記は全員納得です。しかし,式が示す数値の意味を本当に理解しているのかは,この段階ではあやふやです。

そこで,「式の5は,図のどこに見えますか」と尋ねます。すると,この反応にズレが生まれました。子どもの5と折り紙の5です。果たしてどちらの5なのでしょうか?

「子どもじゃないよ。それじゃあ,単位が違うよ」

「人と枚はたせない」

「子どもは人で,折り紙は枚。単位が違うからたせない」

「枚と枚ならたせる。だから,5は折り紙の5」

「同じ単位しかたせないんだよ」

授業冒頭で,異なる単位はたせないとの声があがりましたが,式と図を関連付ける場面で,彼らの理解が不十分であったことが見えてきました。やはり1年生は,類似場面を通してスパイラルに学習を進める必要があります。

それにしても,既習を子ども自身が活用しながら問題場面を乗り越えていったすばらしい学びの姿が見えた時間でした。25分ほどの算数の一コマでした。



明日は全国算数授業研究会宮城大会です!

 明日12月2日(土)は,全国算数授業研究会宮城大会です。会場は,仙台市にある白百合学園小学校です。3時間にわたる公開授業があります。本研究会のよさは,生の授業を見て語り合うことです。仙台は寒くなってきましたが,公開授業とその後に行われるパネルディスカッションを通して,熱い仙台になることでしょう!

今日は兵庫県小学校研究会です!

 今日は,兵庫県小学校教育研究会の指定研究大会に参加します。会場は淡路島にある小学校です。淡路島訪問は,夏以来です。

公開授業は3本が行われます。さて,どんな授業が展開されるのか楽しみですねえ!

2023年11月30日木曜日

式だと答えが違う!

「12人の子どもが1列に並んでいます。あきらさんは前から7番目です。かずおさんは,後ろから2番目です。2人の間には何人いますか」と,問題文を提示します。
問題を見た子どもから,次の声があがります。
「図が分かりやすいね」
「式もできるけど,2個いるね」
「引き算かな?」
しばらく時間を与え,考えをノートにまとめさせます。途中で,「図はできるけど,式がわかんない」と声があがりました。
先ずは,図で問題場面を確認します。次に,式が「12−7=5,5−2=3」になることを,図と関連付けながら確認します。
ここまでで,「困ったら図にする」「図ができたら,式が見えてくる」という考えの道筋が見えてきました。

続いて,先ほどの問題の続きを提示します。
「さきさんは,前から2番目です。あきらさんとさきさんの間には,何人いますか」
この問題を図で確認すると,間には4人いることが分かります。これは全員が納得です。一方,式は,ズレが生まれます。
「式だと答えが3になる」
「えっ,4だよ」
「3だよ。12−2=10,10−7=3」
先ほどと同じように考えたのに,答えは3になってしまいます。すると,4という答えの子どもたちが式を説明します。
「12−6=6,6ー2=4だから4だよ」
ところが,「12−6」の式の引く数の6について,「6ってなに?」と声があがります。問題文にはない数だからです。あきらさんは,前から7番でなので「6」が式にあることに納得ができないのです。
すると,「分かった」とM子が声をあげます。
「さっきは,後ろと前でしょ。でも今は,前と前。だから,今の問題も後ろと前に変えたんだよ」
問題文の構成要素に差があることに,M子は気付いたのです。「あきらさんは前から7番目」を,「あきらさんは後ろから6番目」に置き換えたのです。これなら先ほどと同じ,引き算の式が適用できます。式に合わせて問題場面を置き換える考えが生まれるなんて,すごいですねえ!



 

2023年11月28日火曜日

引き算とわり算

子どもたちに「チョコが個あります。1人に6個ずつ配っていきます。チョコが余らなかったら当たりです」と,問題文を提示します。
この提示と同時に,次の声が聞こえてきます。
がわかないとできなよ」
「6個なら,余らないよ」
「7個だと,1人に6個だと1個余るよ」
「9個もあまるよ。1人に6個あげたら3個余るよ」

問題文は難解な文章です。しかし,子どもからに入る具体的な数値が発表されたことで,問題文の意味が一気に見えてきました。
ここから後は,裏返しに貼られた11〜19の数字カードを1枚めくっていきます。最初は,17が引かれます。「5個余る」という声が聞こえてきますが,まだそこまで見えていない子どももいます。そこで,「5個余る」のは本当なのかを考えていきます。
「17個から6個を引くと,11個余る」
「11個は,まだ次の人に配れる」
「11−6で5個あまる」
「5個だから,もう配れない」
「だから,これは外れだ」
「12個や18個ならいけるんだけどなあ」
17個では余りが出てしまいます。しかし,余りのある数を考えることで,余りの出ない12個や18個の数を引き出すことができました。

2回戦は19が引かれます。「1個余る」の声と同時に「おしい」「あと1個で当たる」と声があがりました。単なる当たり・外れから,数をどのように変えていけば当たりになるのかを考える声が生まれてきました。よい見方が育ってきました。

その後もゲームを続けますが,なかなか当たりは出ませんでした。7回戦であまりのない「12」がようやく引かれ,子どもたちは大喜びでした。

わり算の素地にもつながる,同じ数を何回も引いていく問題場面に挑戦した1時間でした。この問題は,東洋館出版社「板書シリーズ1年下」に掲載されている教材を活用しています。




 

2023年11月27日月曜日

「ちがい」の思い込み

 「あんパンが13個あります。あんパンとメロンパンの違いは」まで,問題文を板書します。この時点で,「違いは何個? このままじゃあできないよ」「式が作れないよ」などの声が聞こえてきました。問題文に不備があることを指摘する声です。鋭い視線で問題文を見る子どもたちです。

問題文の続きを板書します。

「5個です。メロンパンは何個ですか?」

板書を終えると同時に,「8個」という声がたくさん聞こえてきました。そこで,ノートに自分の考えを書かせます。「13−5=8」という式を書く子どもが多数いました。一方,「たすかひくかわからない」「たしざんでも引き算でもできるんじゃない」「『多い』と『少ない』がないから分からない」「式が2個?」などの声も聞こえてきました。

これらの声は,問題文が条件不足であることを指摘するものです。しかし,この声の意味はすぐには理解されません。なぜなら,多くの子どもたちは「13−5=8」という式になることを前提に問題文を見つめているからです。この考えに自信をもっているために,もう一つの式の存在に目が向かないのです。

そこで,「『多い』と『少ない』がないから分からない」の声の意味を読解していきます。

「メロンパンの方が多いなら8個」

「違うよ。あんパンよりもメロンパンの方が5個多いなら13−5だよ」

多くの子どもたちは,この問題文をイメージして「13ー5」と考えていたのです。では「少ない」というキーワードの問題文は存在するのでしょうか。

「あんパンよりもメロンパンの方が5個少ないだよ」

「これなら,13+5だよ」

この問題文で考えれば,「13+5」の式は存在します。「13−5」になるという問題場面の思い込みが,「13+5」の問題場面を排除したと考えられます。

「問題文に,『多い』『少ない』がないから,たしざんが引き算かが決められないんだよ」

「だから,最初の問題がダメなんだよ」

思い込みというものは怖いですねえ。今回の授業では,子どもたちはその思い込みで問題場面に正しく向き合いことができなかったことが見えてきました。


2023年11月24日金曜日

計算ピラミッドに引き算はあるの?

 「計算ピラミッドを完成させよう」と,子どもたちに投げかけます。問題提示と同時に,「10月30日にやっている」と,前のノートを見返す姿が見られました。素敵な姿の表出です。

最初の2問は,最下段の数字だけを提示し,上段を完成していきました。この時点で,子どもから次の声があがります。

「1番下が分かれば,上ができるね」

「真ん中が分かったら,できるのかなあ?」

「引き算を使えば分かるんじゃないかな?」

「前に,式を反対から計算したら最初の数に戻ったよ」

最下段の数値が分からない問題に出合ったら,空白の四角の数字が分かるのだろうかと子どもたちは考えはじめました。問題場面を拡張して考える姿です。この姿は,すごいですね。

さらに,その場合の解決方法のアイディアも生まれてきました。しかし,これは具体的な問題場面が目の前にはまだないので,難しい内容でした。そこで,具体的な問題場面を提示して,「引き算で四角の数字が分かるのか」を実験することにしました。

板書写真のア・イ・ウ以外の数字を四角に記入します。11・2・6です。子どもからは「分かった」と声があがります。

一番簡単に分かる場所はどこの四角かを尋ねます。「ウが簡単」と声があがります。

「11−6で分かるよ」

「6と5で11ができるからね」

ここで,先ほどの引き算のアイディアが活用できることが見えてきました。

4問目は,上の段から19,6,4の数字のみを板書します。残りのア・イ・ウの四角は,すべて引き算で求めることができました。子どもたちからは,「全部引き算でできた」と声があがりました。

25分ほどの授業でしたが,計算ピラミッドを通して引き算が活用することができることが見えた1時間となりました。

本実践は,東洋館出版の「板書シリーズ算数1年生」の教材を活用しています。



2023年11月23日木曜日

大阪で割合の授業公開!

昨日は,大阪の小学校で5年生「割合」の授業公開を行いました。オセロゲームの白の強い盤を判断する問題場面を設定しました。問題提示と同時に「白の数を調べたらいい」という数値化に視点を当てた声があがってきました。割合学習のポイントの一つは,場面を数値化する声を引き出すことです。この点で,すばらしい見方が育っている子どもたちでした。

子どもたちの素直な声が次々とあがる,すてきなクラスでした。最後は割合を小数化する声も生まれてきました。

授業終了後には,「楽しかった!」という声が次々と聞こえてきました。私も楽しい1時間でした! 


2023年11月21日火曜日

きまり発見!

「 1になる式を作ろう」と投げかけます。「これじゃあ,式はできない」「真ん中のを教えて欲しい」などと声があがります。

そこで,引く数(ア)を提示します。ア=1の場合を考えます。「式はできない」という声がありましたが,実験を行うと「10-1=9」の式があることが分かります。式は存在しました。すると今度は,「アを変えてもできる」「アが2なら式は2つできる」と声があがります。子どもたちから,アの数字を変えたいと考える前向きな見方が生まれてきました。

アに2を入れて,実験します。今度は,「11-2=9」「10-2=8」の2つの式があることが分かりました。すると「おもしろいことがある」「次は3」「アが3なら式は3」と声があります。子どもたちは,アに3を入れた時の式の数を予想し始めました。

この気持ちを,時間をかけて共有していきます。きまりを発見できるのは,一部の子どもです。そのきまりを時間をかけて共有していくことが大切です。

果たした,アが3なら式も3つできるのでしょうか。この予想については,半信半疑の子どももまだいます。そこで,実験を行います。

その結果,「12-3=9」「11-3=8」「10-3=7」と3つの式があることが分かりました。子どもたちが見つけたきまりは,一般化できそうです。その後も,ア=4の場合も実験を行います。

きまりを見つけながら,たくさんの計算も進めた1時間でした。


2023年11月20日月曜日

数を分析的に見る

 「小さい方が勝ちゲームをしよう」と子どもたちに投げかけます。

クラスを2チームに分け,代表者が交互に計算カードを箱からり出します。答えが小さい方が1ポイントです。

最初に引かれたのは「11−5」のカードです。それと同時に,「あー」という声が聞こえてきました。そこで,この声の意味を読解していきます。

「少し大きい数だからだよ」

「相手が1だったら,負けるよ」

「1だけじゃないよ。2,3,4,5でも負けるよ」

「でも,7,8,9なら勝てるよ」

「負ける数の1,2,3,4,5は5個あるけど,勝てる数は7,8,9の3個。5個の方が多いから負けるよ」

子どもたちはひきざんの答えの種類を,くじで引かれた答えの6と比較しながら考えることができました。種類数で考えると,後攻のハムスターチームがかなり有利だと考えられます。

ハムスターチームが計算カードを引きます。引かれたのは「14−8」です。なんと多くの子どもの予想を裏切る同点のカードが引かれました。奇跡です!

2回戦はハムスターチームが「17−8」を引きます。答えは9です。「もう負けた」という声がハムスターチームから,聞こえてきます。この声を読解します。

「9より大きい数はないよ」

「1,2,3,4,5,6,7,8を相手が出したら勝つよ」

ここでも答えの9と残りの答えの種類を比べて,ハムスターチームが勝てない理由を説明してきました。

ライオンチームがカードを引きます。なんと「16−7」を引きます。またもや同点。2回連続の奇跡です。子どもからは,「ずっと奇跡?」「仲良しなんだ」というかわいい声が聞こえてきました。

その後もゲームを続けますが,奇跡はここまででした!




2023年11月17日金曜日

今までと違う!

 

 子どもたち「12-5の式なる問題を作ろう」と投げかけます。問題が完成した子どもの中から,3人にその問題文を板書してもらいました。

①みかんが12個あります。3時に5個食べました。残りは何個になりましたか。
②藤の花が12本咲いています。5本誰かに抜かれました。何本ありますか。
③車が12台止まっています。自転車が5台止まっています。どちらの方が何台多いですか。

①から③と順に問題文を確認していきました。③の問題文を確認すると同時に,「今までと違う」と声があがります。①②の問題との質の違いに気が付いたのです。減る問題から,違いの問題へと変化したのです。この声は鋭い声です。
違いの問題は,数日前に学習していたので,すぐにこの違和感は乗り越えられると考えていました。ところが・・・。

「『多い』って書いてあるから,これはたしざんだね」
「そうだ,たしざんだ」
「え? それは違うよ」

なんとここで「たしざん」だという声が聞こえてきました。しかも,かなりの数にのぼりました。やはり1年生の学びは簡単には進みませんねえ。

その後,11月10日の学習を振り返る声が生まれます。
「『はとが9羽,すずめが16羽いました。どちらが何羽多いですか』の問題と同じだよ。だからひき算だよ」
「車の単位は台。自転車も単位は台。だから比べられる」
「どちらが何台多いと聞いているから,ひきざんだよ」
「たしざんだと,12+5=17だ。車が17台多いは変だ」

たし算の声が生まれてきたことで,違いの問題の意味を改めて考えることができました。

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2023年11月13日月曜日

学びの最高値は対面開催

 11日(土)は,大阪で対面での算数セミナーを開催しました。九州や四国からも参加してくださった先生方がいらっしゃいました。ありがとうございます。

コロナ禍以降,オンライン研修も増えてきましたが,やはり対面開催は先生方一人一人の表情や空気感が伝わってきます。一緒に学んでいるという空気感は,対面でないと実感できません。これは学校の授業も同じですね。

来週18日(土)の池田市での講座も,対面での開催です。こちらも会場一体の空気感で学んでいきましょう。

2023年11月12日日曜日

愉しい算数授業をつくる研究会開催!

 11月25日(土)に大阪府池田市で「愉しい算数授業をつくる研究会」を開催します。この研究会では,授業ビデオを上映します。子どものたちの姿を見ながら,愉しい授業の在り方を議論していきたいと考えています。

申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/b5df00e0de77120aa2d27c80a063cc88/





2023年11月11日土曜日

今日は大阪で授業づくりセミナー

 今日は,大阪市で算数授業づくりセミナーに参加します。テーマは,「算数教科書を活用した授業づくり〜子どもの困り感に寄り添う授業づくりについて〜」です。

子どもを困らせない展開を意識する授業もあるようですが,私の授業はそれとは真逆です。困るからこそ,そこに新たな発想が生まれてくるのです。

今日は,困り感から出発する授業の作り方を先生方と考えて進めていきます。

本セミナーへのお申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/c212d7f59b53a5fe3c0775325b47987c/

2023年11月9日木曜日

京都の学校訪問!

 今日は京都の小学校を訪問しました。全クラスの算数授業を参観しました。数年前から訪問している学校です。今回の授業は,多くのクラスで先生方の勉強の後がしっかりと見える内容でした。やはり継続して授業公開と授業評価を行うことが,先生方の指導力向上につながるのですね。

努力の継続以外,授業力を高めることはできないのではないでしょうか。その意味で,今回訪問した学校の先生方は,努力の継続が実を結びつつあると言えそうです。

ここも9!

 くり下がりの引き算の学習も,3時間目です。子どもたちに「バナナ算で計算しよう」と投げかけます。1問目は11−2,2問目は12−3を提示します。子どもたちは,バナナ算を使って答えを導き出していきます。

2問目の計算が終わった子どもから,「また9だ」「おもしろいことがあります」と声があがります。そこで,「また9だ」の声の意味を読解していきます。

「11−2の答えは9。12−3の答えも9」

「も」という一文字を意識的に使い,答えが2問とも9になることを説明していきました。よい言葉を選択できました。

さらに「おもしろいことがあります」の声を聞いていきます。

「12から11に1減ってる。3から2も1減ってる」

「反対から見たら,11に1たすと12。2に1をたすと3。1ずつ増えてる」

「だから答えが9になるんだ」

「それはたまたまでしょ」

「違うよ。いつでも9になるよ」

被減数と減数の変化の関係と答えが9になることに,汎用性があるのかを巡るズレが生まれてきました。この段階では,クラスの考えはほぼ二分しました。

そこで,「どうしたら分かるの?」と尋ねます。

「他の式で実験したらいい」

「13−」

答えが9になる式のきまりの偶然性を確かめる具体的な式の事例が,子どもから生まれてきました。そこで,被減数の声が生まれた時点で説明を止めました。13が生まれた背景と,その続きを考えさせるためです。

「11,12と1ずつ増えているから,13にした」

「だから,反対側も2,3,4になる」

「1ずつ増えるから4になる」

実験する式として,13−4という式を子どもが見つけてきました。果たして,この式も答えは9になるのでしょうか。

実験の結果,答えは9。「やっぱり9だ」という声が子どもから聞こえてきました。しかし,まだ「たまたま」という声も聞こえます。その後も,きまりをもとに式を作り出し実験を進めていきました。

計算練習に式のきまり発見を組み合わせた1時間でした。




2023年11月6日月曜日

たし算みたいに10を作る?

 「ひきざん⑵」の第1時間目です。「折り紙が□枚あります。その内の9枚使います。何枚残っていますか」と問題を提示します。これだけで,子どもは動き出します。

は9より大きいよ」

が9だと残らないから,9はだめだね」

「問題に残るって書いてあるからね」

問題文をよく分析できる子どもたちです。問題文から,使えない数字を選択してきました。

その後,「がどんな数だと簡単ですか」と尋ねます。子どもたちは,10を選択します。その理由を説明します。

「10は簡単」

「中途半端じゃないから」

「10はぴったりの数だから」

「10じゃないと,少し面倒」

「たし算は10を作った」

「でも,それはたし算だよ。今は引き算だよ」

簡単な数値を考える問題から,子どもたちは難しい数値になった場合の解き方へと考えを発展させていきました。そこで生まれてきたのが,たし算で10を作って計算した学習です。よき関連付けができました。

しかし,たし算とひき算は,真逆の計算です。果たして同じように計算ができるのでしょうか?

そこで,に12を入れて実験します。「12−9」の中には10は見えません。すると,A男が両手の指を10本立てて,次にその指の中の9本を折って1本だけを立てる動きをしているのが見えました。そこで,この動きをクラス全員で読解していきます。

「最初に10を作る」

「次に9を引く」

「だから,残りが1になる」

12−9の中に,10−9が見えることを表現した動きをA男はしたのです。12−9のどこに,10−9が見えるのでしょうか? 今度はこの意味を尋ねます。

「12の中に10がある」

「その10から,ひく数の9を引くと1になる」

「まだ12の2が残っているから,さっきの1とたす」

「10−□にしたら簡単に計算ができる」

「それなら13−□でも簡単にできる」

たし算で10を作った学習が,形を変えてひき算にも活かされることができました。さらに,この考え方を使えば,他の計算も同様にできるというアイディアも生まれきました。

その後も,様々な式で10と作るアイディアの汎用性を実験していきます。最後は,この計算方法には「バナナ算」という名前が付きました。バナナ算で繰り下がりのある引き算の計算を次々と実験を進めた1時間でした。


2023年11月5日日曜日

授業てらす第6期生募集!

 私が講師を務める授業テラスでは,第6期生の募集を行っています。オンライン上で,プロの授業者になるための様々な技や考え方を学んでいくサロンです。算数だけでなく,国語や社会など各教科のプロフェッショナル教師から学ぶことができるサロンです。

ご興味のある方は,以下のアドレスからお入りください。

https://peatix.com/event/3752196/view



2023年11月2日木曜日

たし算ピラミッドの続きを作ろう!

 前回学習したたし算ピラミッドは3段までした。この時間は,段数をさらに増やしたらどうなるのかを考えました。

4段目を増やします。4段目を提示すると同時に,「15になる」という声が聞こえてきました。そこで,この声の意味をクラス全体で考えていきます。

「16の下だから15」

「18,17,16,15になる」

「1個ずつ減っていくから15」

「ずつ」を使って変化の状況を説明することは,1年生にはハードルが高い部分です。しかし,この時間の子どもたちは「ずつ」を使って,その変化を説明することができました。

これで4段目の答えが,15になることが分かりました。では,4段目に入る式はどのようになるのでしょうか。

子どもたちは,左端の四角の式が分かりやすいと考えました。ここに入る式は,全員が「9+6」だと考えました。そこで,その理由を尋ねます。

「3段目(左端)は,たされる数が9になっているから」

「1段目は9+9。2段目は(左端)9+8。3段目は(左端)9+7。たされる数が,9,9,9だから,4段目も9になる」

左端の四角のたされる数9の共通点に気がつきました。これが見えてくると,右端の四角の式も同様の視点から,「たす数が9,9,9だから」という理由で見えてきます。

子どもたちが悩んだのは,真ん中の2つの四角に入る式です。左から順に「8+7」「7+8」と考える子どもが多くいましたが,別の式を考える子どももいました。

上の段の数字の8の位置に影響をされる子どももいました。「3段目の8の真下に8が入る」などの考え方です。そこで,4段目の真ん中の2つの四角に「8+7」「7+8」の式を仮で入れてみました。すると,「あっ!」という声が聞こえてきます。新たな視点が生まれてきた証拠です。

「9,8になっている」

「9,8,7になってる」

「9,8,7,6になっている」

「(たされる数が)1ずつ減っている」

「反対から見たら,(たす数が)1ずつ増えている」

「あっ,上もそうなってる。2段目も(たす数が)1ずつ増えている」

縦方向の視点から,横方向の視点が生まれてきました。さらにその視点は,4段目だけにとどまらず2段目や3段目にも同様に当てはまることを子どもたちが発見してきました。部分の見方を全体へと広げていく見方は,1年生にはかなりハードルが高い見方です。しかし,このように少しずつこの見方も活用できるようになってきました。

30分ほどの短い授業時間でしたが,価値ある見方が生まれた時間となりました。

2023年10月31日火曜日

たし算ピラミッド!

 東洋館出版社「板書シリーズ1年下」に掲載されている「たし算ピラミッド」問題を,子どもたちに提示しました。ところが,子どもたちの反応は,板書シリーズとは大きく異なり,導入場面から大爆発。子どもの発想に寄り添いながら,展開を大きく変えていきました。

最初に,空白の3段のピラミッドを提示します。その後,「9+8」「18」を四角に記入します。この2つの情報だけで,子どもから様々な発想が生まれてきました。

「9+8の答えは17だ」

「(上から見ると)1ずつ減ってる」

「でもさあ,たし算ピラミッドなのに減るのは変だ?」

「だったら,下から見たら1ずつ増えてるよ」

「だったら,3段目は16になるね」

数の変化のきまりに気付く声が生まれてきました。そこで,3段目左端の四角の中が「16」になることを提示します。これで,先ほどの子どもたちが予想した数の変化のきまりが検証されたことになります。

その後,2段目の右側が「8+9」,3段目右端が「16」になることを提示します。すると,ピラミッドの右側にも,左側と同様の数の変化のきまりがあることに子どもたちは気付いていきます。

残る空白の四角は3段目の真ん中です。この場所が「16」になることは,子どもたちもすぐに予想ができました。しかし,この四角には式が入ることを告げます。子どもからは,「8+8」「9+7」「7+9」の3つの式が発表されます。さて,真ん中に入る式は,どれなのでしょうか。

当初,子どもたちは式を特定することがうまくできませんでした。ところが,ピラミッド最上段の18が「9+9」の式になることが分かると,一気に動き出します。

「分かった。9+9は9と9が同じ数だ」

「だから,その下も同じ数の8+8になる」

たされる数・たす数の同じ部分を見つけることで,その見方を3段目にも適用して考えていったのです。この見方は,3段目の左右の四角にも波及します。

「左は9+7。9+8のたされる数が9になっているから,ここも9になる」

「それなら,一番上もたされる数が9になっている」

「右は7+9。1段目も2段目もたす数が9になっているから」

この時間は,複数の情報の中の共通点に気付くこと,また,その気付きを他の場面に適用することで,学びを深めていくことができました。



2023年10月27日金曜日

奇跡のカードゲーム!

 「答えが大きい方が勝ちゲームをしよう」と子どもたちに投げかけます。

クラスを2つに分けます。代表の子どもが前に出て,箱の中の計算カードを1枚取り出します。答えが大きい方に1ポイント入るゲームです。

1回戦は,6+7=13が先ずは引かれます。子どもからは,「中途半端な数だ」「結構大きい数だ」と,声があがります。その後,8+4=12が引かれます。「勝った」「負けた」の声と同時に,「3と2を見たら分かる」「一の位を見たら分かる」と声があがります。数の大小比較を行う視点が子どもから生まれてきました。

2回戦は,8+7=15が引かれます。それと同時に,「結構できない」「16,17,18,19,20なら勝てる」と,反対チームが勝つための声が生まれてきました。しかし,子どもたちが使っている計算カードの答えの最高値は18です。子どもたちも,途中でそのことに気がつきます。その気づきから,「9+9が最高」という式を見極める声が生まれてきました。

その後もゲームを続けていきます。4+7=11のカードが引かれました。すると,「これより少ないのはない」と声があがります。計算カードの最小値は11です。従って,「もう負けた」という思いから生まれてきた声です。ところが,この声に対して次の声が生まれてきます。

「11になる式は,他にもあるよ」

「もう出てるよ。3+8も2+9も11だよ」

「他にまだあるよ。6+5もそうだよ」

「5+6もそうだよ」

これらの声は,「11だから負けた」と諦めなくてもいいという思いから生まれた声です。最低でも引き分けになる可能性があるという声です。しかし,その可能性はかなり低いと考えられます。

さて,反対チームの子どもがカードを引きます。カードは,なんと4+7=11が引かれます。教室は大騒ぎになりました。奇跡の一瞬でした。

実は,答えが11になる式の種類が最多なのですが,そこまでの気づきはまだ1年生には難しかったようです。

計算ゲームを通して,数の大小比較や答えが同じ式を予想することなどができた1時間でした。


2023年10月26日木曜日

国語力と算数

「答えが10より大きくなる式を作ろう」と,子どもたちに投げかけます。

最初に提示したのは,1+の式です。の中には,0〜9の数字を入れます。この条件提示で,「無理」「できない」という声が聞こえてきました。一方,それらの声にきょとんとした表情の子どももいます。子どもの中から,「1+9はできる」と声があがります。

この声をきっかけに,様々な考えが生まれてきました。

「1+9は10にぴったりになる」

「ぴったりはだめだよ」

「10より大きいと問題に書いてあるから,10はだめだよ」

「11,12はいいけど,10はだめだよ」

「10より大きくだから,10より上じゃないとだめだよ」

「10を超える数じゃないとだめだよ」

「10より大きくなる」という問題文の意味を読解する時間を十分に設定しました。1年生にとっては,この問題文の捉えにズレが生まれるのが実情です。しかし,「○○より大きい」などの問題文は,今後も出てきます。そのため,問題文の意味をじっくりと読解する時間を大切にしたのです。

「10より大きくなる」は答えが11以上であることを,クラス全体で共有しました。すると子どもから,また新たな声が生まれてきます。

「1じゃなくて,2なら10より大きくなる」

「2+なら11ができる」

子どもたちは,たされる数に自ら働きかけました。本当にたされる数が2になると,答えが11を超える式ができるのでしょうか。ノートで確かめます。その結果,子どもたちの予想通り2+9が11になることが分かりました。

次に,3+□の式を提示します。この式は,3+9=12,3+8=11と2つの式ができます。10より大きくなります。

するとここで,「わかった,4になったら3こできる」と声があがります。2+,3+の式から,その先の世界を予想する声が聞こえてきました。

「たされる数が4になったら,式は3つできる」

「だって,たされる数が2の時は式が1つ。3の時は,式が2つ」

「式が1つずつ増えているから,次に4になったら,また1増える」

たされる数が4の時の式数や,そのように考えた理由が発表されました。果たして,子どもたちが見つけたきまりは当てはまるのでしょうか。たされる数が4の場合を実験します。結果は,子どもたちの予想通り3つの式ができました。その後も,たされる数を変えて実験を続けます。きまりの一般性が当てはまることが見えてきました。

問題文の意味をじっくりと読解する国語的な展開からスタートした1時間でした。 


2023年10月24日火曜日

京都の小学校を訪問しました

 昨日は,京都の山間部にある小学校を訪問しました。全クラスが算数授業を公開しました。今年で2年連続の訪問になります。昨年よりも,先生方の授業レベルが高まっていることが実感できました。

やはり継続して同じ学校を訪問することで,先生方の変化が見えてきます。成長した面はもちろんですが,課題も見えてきます。

教育委員会等が学校訪問で指導に入ることがありますが,同じような授業場面なのに昨年の指導主事と今年の指導主事が真逆ことを述べることもあります。これでは現場の先生は戸惑います。やはり,同じ指導者が同じ目線で継続して授業を指導することが大切ですね。

2023年10月22日日曜日

授業テラスメンバーと指導案検討会!

 昨日は,授業テラスメンバーと代表授業者の指導案検討会を行いました。授業テラスでは私をはじめとする専任講師と参加メンバーがチームを組んで,授業伴走というプログラムを進めています。これは,代表者の指導案検討,公開授業,授業後の協議会の3点セットを,チームメンバーと協働でオンライン形式で進めるものです。従って,全国どこからでも参加が可能です。

今回は3年生「分数」単元の授業でした。授業者の意図をどのようにしたら具現できるのかを考えながら,検討会が進められました。次回は,この検討会をもとにした授業公開が行われます。さて,どんな授業が展開されるのか楽しみですねえ。

この企画に参加ご希望の方は,以下のアドレスからお入りください。会員制の教師の学びサイトです。

https://www.nijin.co.jp/jugyoterrace

2023年10月20日金曜日

数字がないけど・・・

 「答えが14になる問題を作ろう」と投げかけます。これと同時に,次の声が生まれてきました。

「昨日と同じだ」

「同じもの同士じゃないと,たせないよ」

「種類が同じじゃないとたせないよ」

「種類が違うとたせなかったね」

前の学習では,単位と種類の異なるものはたせないことを学習しました。その学習が,子どもたちから自然に想起されてきました。既習学習とつなげるよき見方が生まれてきました。

その後,問題作りに各自で取り組みます。多くの子どもは「車が7台止まっています。7台きました。合わせて何台ですか」のような,「種類」と「単位」を意識した問題を作りました。

さて,子どもたちが作った問題文の中に,Y子が作ったおもしろい問題がありました。その問題文を,Y子に読んでもらいます。

「Kさんと遊んでいました。そこに,12人やってきました。全部で何人になりましたか。」

問題文は板書しません。耳だけで聞いて,式を発表させました。子どもから生まれたのは,「12+1」「1+12」「2+12」「4+10」「1+13」とバラバラの式でした。さて,一体どの式が正しいのでしょうか。

「Kさんと遊んで12人来たから,1+12だ」

実は,このように考える子どもたちが半数以上いました。耳だけの情報で判断することは,1年生には難しいのですね。その後,次の声があがります。

「『Kさんと遊んでいました』と言ってたよ。だから2人だよ」

「『と』があるからKさんとYさんの2人だよ」

問題文に含まれる「と」の一文字に着目できるか否かで,式が異なるのです。その違いを指摘した声です。この声を聞いた子どもたちからは,「そうか」「そういうことか」と納得の声が聞こえてきました。

一般的な問題文は,「子どもが2人遊んでいました。あとから子どもが12人やってきました。全部で子どもは何人になりましたか」のように,問題場面に必要な情報が数値として提示されています。ところが,Y子が考えた問題文には「2人」という数値表現はないのです。しかし,文意を読み解けばそこに「2人」という数値が隠れていることが見えてきます。

問題作りを通して,子どもの発想の柔軟さに驚いた1時間となりました。



2023年10月19日木曜日

本+本はいいの?

子どもたちに「みつお君が,8+7になる問題を作りました」と問題文を提示します。しかし,これだけではまだなんのことやら分かりません。
そこで,みつお君が作成した問題文を提示します。最初に作問したのは「みかんが8個あります。7個もらいました。みかんは全部で何個になりましたか」です。これは全員が「8+7」になることに納得です。

次に作成したのは,「車が8台あります。花が7本咲いています。合わせていくつですか」でした。この問題文を提示するのと同時に,「ダメ」「本と台はだめ」「合わせられない」などの声が聞こえてきました。子どもたちは,この問題文では8+7の式はできないと考えました。
「だって,車と花は違う物だからたせないよ」
「本と台は違うから,たせない」
「前にも似たのをやったよ」
「アイテムにも書いてあったよ」
単位が異なる物はたせないことに,子どもたちは気付いていきました。それと同時に,「たせないものは他にもある」と声が聞こえてきました。ここから思わぬ展開になっていきます。
「みかんと車はたせない」
「花とみかんもたせない」
「花と鼻もたせない」
「同じ言い方でも,意味が違うとたせないね」
「橋と箸もたせない」
「箸と花はたせる。だって,本と本だから」

箸と花は,どちらも数え方の単位は「本」です。だから,この2つはたせるという考えです。なるほど,そう考えるのかと思いました。
さて,子どもたちはこの件についてどう考えるのでしょうか。
「違うよ。たしちゃだめだよ」
「箸と花は違うよ」
「でも,本と本だからいいよ」
「でもさあ,箸の本と花の本は種類が違うからだめだよ」

単位が同じでも,その種類が異なればたせないという見方が生まれてきました。この「種類」という言葉の登場で,前述の子どもも納得をしました。たせる数の単位と種類の関係が,箸と花が生まれることで,より明確になりました。
異種の比較対象物があることで,そのよさや意味はより明確になっていくことを実感した時間となりました。




 

2023年10月15日日曜日

子どもの困り感に寄り添う授業展開を考えるセミナー開催!

 11月11日(土)に大阪市で開催される算数授業づくりセミナーまで1カ月あまりとなりました。今回は,「算数教科書を活用した授業づくり〜子どもの困り感に寄り添う授業づくりについて〜」をテーマに先生方と勉強を進めていきます。

昨日は,この研修会の資料作りをしました。資料をまとめていると,自分の授業展開を反省したり,子どもの発想のすばらしさを改めて実感したりします。困り感が授業を深める出発点になるはずのですが,最近はこの困り感を最初から取り除こうとする授業が多く見られる気がします。この教師の親心は分からないのでもないのですが…。果たしてそれは,子どもたちの見方・考え方を培うことにつながっているのでしょうか。この部分も含めて,参加される先生方と考えていきたいですね。

本セミナーへのお申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/c212d7f59b53a5fe3c0775325b47987c/


2023年10月13日金曜日

計算練習に目的を持たせる

 「繰り上がりのあるたしざん」学習も3時間目です。

子どもたちに「いろいろな計算にチャレンジしよう」と投げかけます。1問目は「9+3」,2問目は「8+4」の計算に取り組みます。加数分解で計算することに,子どもたちは便利さを感じています。今回も加数分解で2つの問題に取り組みました。

2問目の計算に取り組んでいる中で聞こえてきたのは,「また12」という声でした。そこで,この声の意味を読解していきます。

「また同じ答えの12になった」

「9+3も8+4も同じ答えだ」

「同じ答えになる秘密が分かりました」

「1個増えて,1個減っている」

この声は,演繹的な世界に子どもたちが入りかけたことを表しています。しかし,この演繹の世界は1年生にはハードルが高いのが現実です。そこで,この部分は時間をかけてゆっくりと進めました。

「1減って,1増えたから答えは同じになっている」

「1減るのは,9から8」

「1増えているのは,3から4」

「だったら次は,7+5になる」

「次は6+6になる」

「5+7,4+8,3+9になる」

たされる数とたす数の関係を読解していく中で,子ども自身が対象場面を拡張していく声が生まれてきました。演繹的な世界から類推的な世界へと範囲が拡張していきました。

さて,子どもたちは答えが同じになる式の範囲を拡張して考えていきました。しかし,この段階ではまだそれは仮説の範囲です。前述の決まりが一般化できるかについては,半数ほどの子どもはまだ懐疑的でした。そこで,「7+5」「6+6」の式で実験をしました。その結果,答えが同じ12になることが分かりました。

その後も,次の声があがります。

「9+3と3+9は反対になっても答えは同じ」

「8+4と4+8も反対」

「7+5と5+7も反対」

「6+6と6+6も反対」

同じ答えになる式表記の関係性について気が付いたのです。

この時間は計算練習することが目的の一つでした。しかし,機械的にそれを行っても子どもは単にやらされているだけの時間になってしまいます。前述のような仕掛けを取り入れることで,計算練習に目的意識を持たせることができるのです。目的意識を持たせることができれば,計算自体を子どもが作り出していく展開へとレベルアップしていくこともできるのです。



2023年10月12日木曜日

10を作る計算は使えるのか?

 繰り上がりのあるたし算の2時間目です。前時で子どもたちは,10を作ってから残りの数をたしていく計算方法(加数分解)を考えました。

そこで,本時は「10を作る計算のやり方は,他の式でも使えるのかな」と投げかけました。

子どもたちは「使える」と考えます。そこで,子どもから生まれた「9+9」の式で実験を行います。この式は,加数分解で10を作ることで簡単に計算ができました。しかし,まだ実験は1問だけです。子どもからも,「まだ1個しかやっていないよ」と声があがります。

そこで,「6+6」「5+8」と実験を進めていきます。いずれの計算も,加数分解で計算を進めることができました。

ここまで進めたところで,次の声があがってきました。

「8+5も答えは同じになるよ」

「でもさあ,サクランボは違うよ」

被加数と加数を入れ替えても,答えは同じという予想が生まれてきました。しかし,加数分解を進める過程で見えるサクランボの数値は異なるという指摘です。後半の指摘で,子どもたちの「答えは同じ」という予想に対する見方が揺れてきました。少し先の世界を予想することは,まだまだ1年生には難しいようです。

そこで,「8+5」で実験を行います。この式でも加数分解を子どもたちは行ったので,サクランボの数値は異なります。しかし,答えは同じになりました。すると,他の事例を予想する声が続きます。

「だったら,8+7と7+8も同じ」

「6+6と6+6も同じ」

「4+9と9+4も同じ」

「6+7と7+6も同じ」

子どもたちの計算の取り組みを見ていると,3口の計算で彼らが発見した10を作ってから計算を進める方法が分かりやすいようですね。教科書では被加数分解・加数分解の両者が取り上げられていますが,子どもの感覚はそれとは異なるようですね。



2023年10月11日水曜日

出雲の巨星逝く

 今朝の朝刊で,かつて出雲市長を務められた岩國哲人氏がお亡くなりになられたことを知りました。出雲市では私が訪問した当日に出雲大学駅伝が開催されていましたが,この大会を誘致されたのは岩國氏です。かつて「3つの約束」という岩國氏の著書を読み,大きな感銘を受けました。岩國氏が進めた出雲市の市政改革について書かれた本ですが,学級経営や学校経営にも通じる部分がたくさんあった本でした。また,私が地域行政や街作りにより一層興味を高めるきっかけともなった本でした。

モルガンスタンレー銀行の副社長から出雲市長へと転身された方ですが,岩國氏の数々の改革は,さすが外資で働かれていた氏ならではの視点がたくさんありました。

このようなタイミングで出雲市を訪問したことに,なにか不思議な因縁を感じます。岩國氏のご冥福をお祈りいたします。



2023年10月10日火曜日

出雲のかわいい子どもたち授業をしました!

 出雲市の小学校を訪問しました。全クラスの公開授業を参観しました。半年ほど前にも全クラスを参観しましたが,着実に授業力は向上していますね。

午後は,2年生の子どもたちに私が「かけ算⑴」の導入場面の授業を行いました。素直で反応がとてもよい子どもたちでした。一気に子どもたちが算数の世界へと引き込まれていきました。最後は,かけ算にできない場面をかけ算にできる場面へと子どもたちが変えていきました。柔軟な子どもたちの発想力にもびっくりしました。

明日は,大阪の学校の授業を参観します。


2023年10月9日月曜日

出雲は駅伝真っ最中

 出雲市に到着しました。どこのホテルが満室でしたが,その原因が分かりました。今日は出雲市で出雲大学駅伝が開催されていたのですね。そんなおめでたい日に出雲入りしました。明日は,公開授業です!

2023年10月8日日曜日

明日から神在月の島根へ!

 明日から,日本で唯一10月を神在月と呼ぶことができる島根県出雲市に入ります。明後日は,出雲市の小学校で全クラスの授業を参観します。さらに私が2年生に「かけ算」の導入場面の授業を行います。

今回入る学校は,先月の京都・第2向陽小学校に校内研修会に全教員が貸切バスで研修に訪れてやる気に満ちた学校です。楽しみですねえ!

授業テラスで語り合いました!

 昨日は,今月から私が講師として就任した授業テラスのメンバーが,私の歓迎会をオンラインで企画してくれました。私の教え子が務めるリッツ・カールトン日光でのホテルスタッフの質の高さを教育現場に活用する話題や,教育行政の話題,授業展開の裏技,なぜか国語の話題まで多岐に渡る話で盛り上がりました。

授業テラスはオンライン上の総合教育センターのような役割を担っています。私の授業動画をはじめ多くの教科のプロフェッショナル教師の授業動画を視聴することができます。また,授業相談なども行っています。興味のある方は,以下からご参加ください!

https://www.nijin.co.jp/jugyoterrace

京都新聞で紹介されました!

 9月の訪問した京都・第2向陽小学校の算数授業改革の取り組みが,地元紙・京都新聞で紹介されました。




2023年10月6日金曜日

繰り上がりのあるたしざん

 子どもたちに「車が8台止まっています。台来ると何台になりますか」と尋ねます。この発問と同時に,次の声があがります。

がわからないとできないよ」

「昨日も10を作ったから,10を作ると簡単だよ」

が2なら10で簡単」

前日の学習では,3口の計算に取り組みました。そこでは「7+3+5」「12−2+4」のように10を作ってから3口目の計算を行う共通点があることを,子どもたちが発見しました。その学習での見方がここで生まれてきました。すばらしい関連付け方です。

「8+2」なら10と簡単に計算ができます。そこで,「がなんなら難しい?」と逆のことを尋ねます。子どもからは「9,8,7だと難しい」と声があがりました。

そこで,これらの中で比較的簡単そうな「7」をに入れて計算することにします。果たして,この計算はできるのでしょうか。子どもたちに「これは計算できないね」と揺さぶりをかけます。すると次の声があがってきます。

「7の2で10を作れば簡単だよ」

「10ができて,7の残ったのは5でしょ」

「その10と5をたせば,10ができる」

「10は分かりやすい」

多くの子どもは,この10を作って計算する方法が分かりやすいと考えました。一方,10ではなく11などの他の数字を作ってもいいのではないかと考える子どももいました。

そこで,の数を変更して実験することにしました。「8+8」で実験を行います。

「10を作ると便利」

「分かりやすい」

「11にすると中途半端」

「分かりにくい」

これらの声があがります。10と11という2種類の数字を作り比較することで,10を作るよさがより鮮明になりました。

その後,他の数字でも実験を行います。どの問題でも,「10を作ると簡単」と子どもたちは実感をすることができました。

最後に,「でも,7+8なら5と5で10を作る計算もできる」と声があがります。しかし,次の声が聞こえてきます。

「計算に時間がかかる」

「もし,3+2になったら,5と5の方法は使えないよ」(K男)

K男の声は,5+5の計算方法が万能でないことを示す例です。このように具体的な反例を考えられるようになってきたことも,1年生の成長を実感できますね。

繰り上がりのあるたしざんの1時間目の授業でした。



2023年10月5日木曜日

亀の甲良の模様

 「亀の甲良の丸は全部で何個ありますか」と尋ね,右の亀の画像を提示します。多くの子どもたちは,丸の数を一斉に数えます。「10個」あることはすぐに分かります。このとき,「3が3つある」と声が聞こえます。この声をきっかけに,声が続きます。

「だから9個だ」

「でも,まだ1個あるから9+1だよ」

自然に式表現が生まれてきました。この式の声が,次の声へとつながります。

「3+3+3で9だよ」

「1つの式にしたら,3+3+3+1だ」

「前までは3つの式だけど,今日は4つだ」

丸の総数を式化する見方が生まれてきました。

ところで,子どもたちは1本の式にまとめた「3+3+3+1」の式の中の「3+3+3」をどのようにイメージしているのでしょうか。半分ほどの子どもは,横に3個ずつが3列とイメージしました。残りの子どもたちは,縦に3個ずつが3列とイメージしました。

子どもたちからは,「まだ他にも式がある」と声があがります。「6+3+1」という式が発表されます。この式の各数字のイメージを尋ねます。ここでも,横に3分割と縦に3分割の見方が生まれてきました。これらは,先ほどの「3+3+3+1」とも共通する見方です。

さらに「3+4+3」という式も発表されました。式発表と同時に「分かりやすい」と声があがります。では,この式の各数字のイメージはどのようなものなのでしょうか。この式の場合は,縦に3分割のイメージであることが分かりました。それと同時に,「さっきの縦のやつと同じだ」という声が聞こえてきました。

式は多様でも,そこに使われている見方・考え方には共通点があることが見えた時間となりました。




2023年10月3日火曜日

レモンチョコレートは何個?

 「レモンチョコレートは,何個になりましたか?」と子どもたちに投げかけ,レモンチョコレートの数が変化していく動画を提示します。

1問目は10個のレモンチョコレートから,順に3個,2個と減っていく動画です。子どもたちは前時の学習をもとに「10−3−2」と1本の式をノートに書きました。

「お話の順の式にすればいいね」

「昨日もやったね」

「昨日は増えたけど,今日は減っている」

これらの声をもとに,「10ー3−2」と立式しました。式の各数字の意味を確認します。すると,「式が2つもできる」と声があがります。2つの式でこのお話を表すと,「10−3=7,7−2=5」となります。これも式としては合っています。しかし,子どもたちは1本の式が分かりやすいと考えました。その理由を,次のように説明します。

「式が1本だと,全部のお話が一気に分かる」

「1本の式の方が,2本よりもすぐにできる」

後者の考えは,計算が速くできるという視点での声です。これまでにはなかった,新しい視点です。

その後,いくつかの問題に取り組みます。3問目では「10−3ー4」の場面を提示ます。すると「3から4は引けない」と声があがります。3口の式の一部だけを見たことで生まれてきた声です。そこで,この声について全員で考えます。

「3から4は引けないから,計算できない?」

「違うよ。まず,10から3を引くんだよ。7になるでしょ。そして,その7から4を引くから引けるんだよ」

「7ー4なら計算ができるんだよ」

これらの話し合いを通して,3口の式をどのような手順で計算を進めていけばよいのかが見えてきました。

4問目は,「12−2+4」と10を超える問題場面でした。しかし,この場面にも子どもたちは3口の計算式を的確に当てはめて考えていくことができました。



2023年10月2日月曜日

0はいるの?

 

 子どもたちに「的当ての合計点を求めよう」と子どもたちに投げかけます。
 1問目は,1点,3点,3点と矢が順に当たります。式は,「1+3+3」と表記できます。この式には2つの3が出てきます。この3について子どもたちは,次のように説明してきます。
「2つの3は意味が違うよ」
「左の3は青の矢で,右の3は黄色の矢だよ」
的当ての順番と式の順番を対応させる必要があることが,話し合いを通して確認できました。ここまでは,前時の復習です。
 2問目は,1点,3点,0点と矢が順に当たります。子どもたちがノートに書いていた式は2種類ありました。そこで,「みんなの式は2種類ありました。自分とは違う式には,どんな式があったと思う?」と尋ねます。多くの子どもは3口の式を書いていたので,「1+3=4」という式が発表されました。この式を見た子どもたちが,自然に話し合いを始めます。
「0はいらないもんね」
「0はたしても増えないから,0はいらないね」
「どっちでもいいね」
「答えは変わらないから,0はいらないのかな」
「0はいるよ。前にもやったよ」
「1+3+0なら絶対に3回やっている。でも,1+3なら2回やったと思われる」
「さっきの①の問題も同じだったよ。数字が3個あるから,3回やったと分かる。②も3回やったんだから,数字は3個いる」

3つの数字を使って式を書くことには意味があることが,話し合いを通して明らかとなりました。
3問目では,0+3+0になる的当て場面を提示ます。この式には2つの0が出てきます。この0にも,「1回目の0」と「3回目の0」と意味のあることを説明することができました。
問題場面の意味と式表記の意味を考えることで,0を表記する必要性について考えていくことできました。


2023年9月29日金曜日

3口の計算

 子どもたちに,「的当ての合計点を求めよう」と投げかけます。

5点・3点・1点・0点の枠ある的を提示ます。1問目は,3点→1点の順で的に当たる画面を提示します。これを見た子どもからは,「4点だ」「式にできる」と声があがります。そこで,式をノートに書かせます。子どもたちのノートには,2種類の式が書かれていました。そこで,次のように投げかけます。

「2つの式があったんだけど,どんな式があったか予想がつきますか?」

これには多くの手が挙がりました。

「3+1」

「もう一つは,1+3」

答えはいずれも4です。そこで,「答えはどちらも4だから,式もどっとでもいいね」と投げかけます。これに対して,「どっちでもいいわけない!」と抗議の声があがります。

「最初に赤が3点に当たって,次の青が1点に当たった。だから3+1」

「式もお話の順にしないとだめだよ」

「1+3はお話の順が変わる」

「最初に1点に当たって,次に3点に当たったことになる」

これらの話し合いから,式の数値はお話の順に書くことが明らかとなりました。

2問目に提示したのは,5点→1点→1点の順に当たるの的当ての画像です。この画像には,「式が2個」「+が2個」などの声があがります。そこで,自分がイメージする式をノートの書かせます。ほとんどの子どもたちが,1本の式を書きました。「式が2個」の声はどこへいってしまったのでしょうか・・・。

そこで,「式が2個と言ってたよね。それってどんな式なの?」と尋ねます。

「先ず,5点に当たり,1点に当たったから5+1=6になる」

「次に,1点に当たったから,6+1=7」

2つの式にできることは共有できました。ところが,多くの子どもにはこのような形で,一連の的当てを2本の式に分けることには違和感があるようでした。1本目,2本目,3本目は一連の活動です。従って,その3本の的当てを2本目までと,3本目に分けて式にすることに違和感を抱くのではないでしょうか。

2本目の式は,「5+1+1」でした。この式には,「1」が2回出てきます。この「1」の意味を尋ねます。

「最初の1は,2本目の青丸の1」

「次の1は,3本目の黄色丸の1」

「赤,青,黄色が的に当たったのが,1個の式で分かるから,この式がわかりやすい」

3本の一連の的当ての動きであるからこそ,1本の式にした方がよりわかりやすいというのが1年生の感覚のようです。

このように展開することで,3口のたし算の式を自然に子どもから引き出すことができました。


2023年9月26日火曜日

算数授業づくりセミナーIN大阪開催のお知らせ

 11月11日(土)大阪市で算数授業づくりセミナーを開催します。テーマは,次の通りです。

「算数教科書を活用した授業づくり〜子どもの困り感に寄り添う授業づきりについて〜」

私の講座の他に,今回は東京の雙葉小学校の永田美奈子先生からご講演をいただきます。私学の名門校で中心となられて学校改革を進められこられた先生です。また,樋口万太郎先生の模擬授業もあります。

子どもを算数好きにしていくヒントを,たくさんご提供できると考えています。お申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/c212d7f59b53a5fe3c0775325b47987c/



箱の大きさ比べ

 子どもたちに「どちらの箱が大きいでしょう」と投げかけ,2つの箱を別々に提示します。この提示方法だけで,子どもたちが動き出します。

「両方(同時に)見せて」

「紙比べの時と同じだよ。横に並べて比べたよ」

「紙比べは切って比べたね。同じように箱もできるんじゃない?」

「新聞ちぎりも上か下を合わせたから,これも合わせてほしい」

広さや長さ比べの学習での見方・考え方(基準を揃える)が,箱の大きさ比べにも自然に活用されてきました。すばらしい子どもたちの学びの姿です。

子どもたちの要望通り,2つの箱を底面を揃えて並べます。ところが,次の声が聞こえてきます。

「Aは細いけど縦に長い。Bは横に長いけど縦に小さいから,大きいのが分からない」

「ペットボトルも細いのと太いのがあったから,同じだ」

見た目だけでは,どちらの箱が大きいか判断ができないことが見えてきました。では,どうやって箱の大きさを比べたらいいのでしょうか。「同じ大きさの物を入れる」という呟きが聞こえてきました。そこで,この呟きの意味を読解していきます。

「ペットボトルの水を,小さいコップに入れて何杯で比べたのと同じだよ」

「コップで杯と杯で比べたら分かったね。箱も同じように何個で比べたらいいよ」

「それなら広さも同じだったね。広さも小さい四角が何個入るかで考えたよ」

「例えばビー玉みたいなのを入れたらいいね」

水のかさ・広さ比べの学習で生まれた任意単位いくつ分の見方・考え方が,箱の大きさでも使えそうだというアイディアが生まれてきました。見方・考え方の統合・発展の姿です。1年生にしてこのように考えられる子どもたちは,すごいですね。

さて,箱の中に物を入れたらよさそうだということが見えてきました。すると,今度は次の声が聞こえてきました。

「パターンブロック(の六角形)黄色は凸凹しているからだめだけど,四角のオレンジなら隙間ができないから大丈夫」

「ビー玉も隙間ができるからだめだね」

子どもたちは,箱に入れる任意単位の形にこだわりを見せ始めました。箱が四角い形なので,中に入れる物も四角い物でないと,隙間が生まれて正しく測定できないと考えたのです。

そこで,キャラメルの入っていたサイコロ型の小さな箱を入れることにしました。その結果,Aの箱には16個,Bの箱には18個の箱が入りました。これならこれまでのかさや長さ比べのように,数を使って大きさの比較ができます。

様々の大きさの学習の見方・考え方が統合・発展していく姿が生まれた1時間となりました。







2023年9月23日土曜日

広さ比べ

 子どもたちに「広いのはどちらですか」と投げかけ,2枚の紙を提示します。ただし,2枚は離れた位置に,斜め向きに貼ります。すると,子どもから次の声があがってきます。

「横に置いてほしい」

「まっすぐにしてほしい」

「下を揃えて置いて」

「新聞ちぎりの時と同じだよ」(T子)

「(並べて置いたら)昨日の水の大きさ比べみたいだ」

「そうだね。太いペットボトルと背の高いペットボトルで比べたのと同じだ」

T子の声は,長さ比べを行ったときに基準量となる端の位置を揃えたことと同じことを,広さ比べにも当てはめた方がよいという考え方です。長さと広さの比較の考え方が,ここで関連付きました。

しかし,横に並べたものの見た目ではどちらが広いのかがよく分かりませんでした。そこで,「どうしたらどっちが広いか比べられる?」と尋ねます。

ここで生まれてきたのが「重ねる」という直接比較のアイディアです。そこで,2枚の紙を重ねます。ところが,黄色い紙もピンクの紙もどちらもはみ出してしまいました。すると,「はみ出したところを切ったらいい」というアイディアが生まれます。そこで,ピンクのはみ出した部分を切って,同じくはみ出した黄色に重ねてみます。すると,写真の通りに黄色が少しだけ広いことが分かりました。

さらに「もう一つの方法がある」との声があがります。

「昨日の水の比べ方の小さいコップみたいにする」

「小さい四角が何個あるかを調べる」

水のかさくらべでは,ペットボトルの水を小さなコップに移し替え,それが何杯分あるのかという方法を使いました。この考え方と同じ方法が,広さ比べでも使えるという考え方です。ここでも,水のかさの比較の考え方が,広さにも適用できることに子どもたちが気付くことができました。

先ほどの直接比較ではみ出した黄色の四角が,各四角形に何個分入るのかを考えました。その結果,黄色は9個・ピンクは8個入ることが分かりました。任意単位を使ったこの方法でも,黄色が広いことが分かりました。

直接比較・任意単位による比較,どちらも子どもたちには分かりやすい方法でした。最後に,教室にある「2つのドアの広さを比べるとしたらどうする?」と投げかけます。ドアを切ることはできません。

「筆箱を並べたらいい」

「教室の長さ比べのとき筆箱を並べたから,それと同じようにやればいいよ」

ここでも長さ比べの考え方と広さ比べの考え方が,関連付いていきました。


2023年9月20日水曜日

第3回 愉しい算数授業をつくる研修会 申し込み開始!

 11月25日(土)に大阪府池田市で開催される「愉しい算数授業をつくる研修会」の申し込みが始まりました。参加を希望される方は,以下のチラシのQRコードからお申し込み下さい。QRコードでのお申し込みができない方は,チラシ内の連絡先のメールアドレスにお申し込み下さい。


2023年9月19日火曜日

教室の縦と横

 子どもたちに,「教室の縦と横,長いのはどちら?」と投げかけます。本校の教室は正方形に近い形状です。そのため,子どもたちの予想にもズレが生まれました。

さて,子どもの予想を尋ねる前,K子が両手を教室前方に向けて右から左へと動かしている姿がありました。そこで,子どもたちにK子の気持ちを読解させることにしました。

「教室の縦と横はくっつけられないから,数えている」

「なにを数えているの?」

「手の数で調べているんだよ」

「例えば,横が15個で縦が17個だとしたら,縦が長いってことだね」

任意単位を使って長さを数値化するよさを,子どもたちが発見していくことができました。さらに,子どもの声は続きます。

「でもさあ,大きい手の人と小さい手の人がいるからだめだよ」

「小さい手だと数が多くなる」

「だったら,(教師用)定規を使ったらいいよ」

「みんなが持っている定規でもいいね」

長さを調べる任意単位の道具の長さが一定でなければいけないことを,子どもたちは話し合いを通して明らかにしていきました。

その後,全員が持っている筆箱を並べることで,縦と横の長さを比べる実験を行いました。この実験の最中,A子が「ズレている」と言いながら筆箱をまっすぐにしている姿が見えました。そこで,この姿の意味を読解させます。

「斜めにするときちんと調べられないよ」

「斜めにならないように,まっすぐにしないとだめだよ」

複数の長さを比較する際には,それらを直線状にしなければ正しく測定ができないことが見えてきました。

子どもたちの測定の結果,横は筆箱33個分,縦は34個分でした。つまり,縦が筆箱1個分だけ長いことが分かりました。任意単位の必要性,数値化のよさ,任意単位よる測定方法と,長さを比較する際の見方・考え方を引き出すことができた1時間でした。


2023年9月18日月曜日

速報!「第3回 愉しい算数授業をつくる研究会」開催のお知らせ

 来る11月25日(土)に大阪府池田市で「第3回 愉しい算数授業をつくる研究会」を対面で開催します。会場は池田市立池田小学校です。午後からの開催になります。地元大阪の先生の授業ビデオを2本公開します。恒例のQ&A講座もあります。盛りだくさんのプログラムになりそうです。

詳細・申し込みフォームがが決まりましたら,お知らせします。もう少し,お待ちください。

2023年9月14日木曜日

新聞紙ちぎりベスト3を決めよう!

 「おおきさくらべ」の学習です。子どもたちに「新聞紙ちぎりのベスト3を決めよう」と投げかけます。

子どもたちに新聞紙1/4の大きさの紙を配ります。1分の制限時間でちぎっていきます。先ずは4人の班内での1位を選出します。その後,各班の1位の結果を代表として提示します。

最初に,1班の新聞を貼ります。次に,2班の新聞を前に持って来てもらいます。その紙をどこに貼るか,子どもたち全員に考えさせます。貼りたい場所を指ささせます。子どもたちは,指さしと同時に「横に貼る」「上を合わせる」「高さを揃える」と呟いていきます。

そこで,これらの声の意味を読解していきます。

「1班のすぐ横に貼る」

「1班と同じ高さに合わせる」

「そうしないと比べられない」

長さを比べるために大切な,「基準を揃える」見方を共有していきました。この声に合わせて,上の高さを揃えて紙を貼ります。すると,「1班が長い」と声があがります。そこで,「どこを見て1班が長いと分かったの?」と尋ねます。

「下を見るんだよ」

「下が長い方が長いよ」

基準量を揃えた後の比較の視点を引き出していくことができました。

この後は,基準の位置と比較の位置を意識しながら一つずつ班の代表者の紙を貼っていきました。

長さ比べの1時間目に当たる授業でした。



2023年9月12日火曜日

掴みどりで20を作る!

 「ブロックを3回掴んでぴったり20を作ろう」と子どもたちに投げかけます。3人の子どもが順にブロックが入った袋の中に手を入れます。3人が掴み取ったブロックの合計が20に近い方が勝ちというゲームです。

このゲームは,繰り上がりのあるたし算と3口の計算単元の布石としても位置付いています。

先攻のスターチームの1人目が1個のブロックを掴みます。この時点で,先を予想する素敵な声が聞こえてきました。

「次は,たくさんとればいい」

「あと19個とればいい」

「3人いるから,19とっちゃだめだよ」

「18個までならいいよ」

ぴったり20になるための掴み取りの個数を考えた声です。その後,ゲームを進めます。2人目が3個を掴みます。1+3で4個です。3人目が4個を掴みます。4+4で8個です。

後攻のライオンチームの1人目が3個を掴みます。2人目は4個を掴みます。ここまでで,3+4で7個になります。3人目が一気に8個を掴みます。7+8の場面ですが,繰り上がりのたし算は未習です。そこで,2回目までのブロックに3回目の8個のブロックを追加で並べていきます。追加の最初の3個を,2人目までの7個の右側に代表の子が置いていきました。4個目をどこに置くのかを考えさせました。

「下に置く」

「だって,10の固まりができるから」

「前にも似たのをやった。8月31日に10の固まりと2に分けたよ」

「十の位と一の位に分けたから,それと同じだよ」

2週間ほど前の学習場面を,ノートを使うことで想起し,その内容を活用して考え方を作り上げることができました。位取りを意識したかつての学習場面が想起されたことで,子どもたちも10の固まりとバラ(一の位)に分けてブロックを並べるよさを実感することができました。

その後もゲームを進めていきました。2回戦ではスターチームが,なんと20ぴったりの合計数を掴み取ることができました!



2023年9月9日土曜日

かわいい子どもたちでした!

 昨日は京都の小学校3年生に「三角形」の授業を行いました。素直でかわいい子どもたちでした。早い段階から私が仕掛けた図形の秘密(共通点)を発見していくことができました。素直な呟きがたくさん聞こえてくると,授業を進める私のモチベーションも自然とアップしてきます。

この日は,島根県出雲市の小学校の先生方が学校を休校日にして全教員で研修に訪問されていました。こちらの学校も私が指導に入っている学校ですが,県境を越えて研修に訪問するパワフルな姿勢にこれまたびっくりでした!

2023年9月8日金曜日

数を分解して見る

 「じゃんけんダウンゲームをしよう」と子どもたちに投げかけます。クラスを2つに分けます。スタート位置は19です。じゃんけんをして,パーで勝つと3個・チョキだと2個・グーだと1個数が減っていきます。先に10に到達したチームが勝ちです。これまでとは異なり,数が早く減った方が勝ちになります。

1回戦はライオンチームがチョキで勝ちました。これまでは,数直線上の磁石を移動させてから式と答えを確認してきました。式表記だけならこれまでもすぐに表現はできていました。しかし,答えの出し方はまだ未習です。ところが,答えがすぐに見えている子どももいます。

そこで,「磁石を動かしていないのに,どうやって答えを見つけることができるの?」と尋ねます。

「9から2を引いた」

「19を10と9にした」

「9−2の7に,さっきの10を合わせた」

1年生ですので,言葉は稚拙ですが十の位と一の位に数を分けて計算を行ったことを説明していきました。

その後のゲームでも,磁石を動かす前にどのように計算を行うのかを確認していきました。一の位と十の位を分けて計算を行うことは,すぐには1年生全員が理解するには時間がかかりました。しかし,ゲームを行うことで合計9回の計算を行ったことになります。9回の計算を繰り返す中で,位に分けて計算を進める方法を確認していくことができました。この時間の見方は,繰り上がりや繰り下がりの計算の素地にもつながっていきます。


2023年9月6日水曜日

京都の3年生に授業をします!

 今週末は,京都の小学校3年生に公開授業を行います。これまで数年間に渡って校内研修に関わらせていただいている学校です。どの先生も研修に掛ける熱い思いを持たれているすばらしい学校です。

今回の授業では,どんな子どもたちとの出会いが待っているのか楽しみです!

2023年9月5日火曜日

じゃんけんぴょんぴょんゲームからたしざんのきまり発見へ!

 子どもたちに「じゃんけんぴょんぴょんゲームをしよう」と投げかけます。ホワイトボードに0〜20までの数直線をかきます。0のスタートラインに青と赤の磁石を貼ります。教室を2チーム分けます。じゃんけんをして,パーで勝つと3個,チョキだと2個,グーだと1個磁石が進んでいきます。先に20に到達したチームの勝ちです。

子どもたちがじゃんけんをしていきます。磁石を動かして,現在位置を確かめます。その後,その位置を式表記できるという声が生まれてきます。そこで,じゃんけんを行う度に,現在位置を式表記していきます。

この式が複数板書されたとき,「おもしろいことがあります」と声があがります。ここまでにおもしろいことなんてあるのでしょうか?

「0+2=2なら,後ろから2−2をすると最初の0になる」

たし算の確かめ算につながる見方です。実はこの見方は,引き算に出合ったときにも子どもから生まれてきたものでした。類似の見方は,類似の場面で表出してくるのですね。

ここで私は,「それってたまたまでしょ」と子どもに投げかけます。すると,「違う」「他のもなってる」「全部なっている」という猛烈な抗議の声があがります。そこで,他の式にも先ほどのきまりが当てはまるのかを確認していきます。その結果,すべての式にきまりが当てはまることが見えてきました。

その後,ゲームを進めていきますが,その度に,式表記と前述の確かめ算のきまりが当てはまることも確認していきました。

10を超えるたし算の計算練習をゲームを通して進めるだけではなく,確かめ算のきまりの一般化も図ることができた1時間となりました。

本実践は「板書シリーズ1年上」東洋館出版社の実践を参考にしています。


2023年9月4日月曜日

?ならべベームをしよう!


子どもたちに「?ならべゲームをしよう」と投げかけます。トランプの七並べゲームに近いルールの数字カードを使ったゲームです。
教室を4チームに分けます。各チームに1〜20の数字カードを4等分したカードを配ります。七並べは最初に7のカードを出しますが,このゲームでは5,10,15のカードを出します。
先ずは「5」のカードを持っていたチームが貼ります。次に,「10」のカードを持っていたチームに,そのカードを前に持ってきてもらいます。ここで私は,次のように子どもに投げかけます。
「みんなだったら,10をどこに貼りますか?」
子どもたちが,ホワイトボードを指さします。代表のT子が前に来ます。T子は5を見つめます。その後,5の右側を見つめながら,頭を上下に5回動かす動かしながら,視線が右へと動いていきました。その後「10」のカードを貼りました。そこで,「T子はなぜ頭を動かしていたのかな。気持ちは分かるかな」と尋ねます。
「5の次から,6,7,8,9,10となるから」
「5」のすぐ右側に「10」を貼るのではなく,6,7,8,9という4つの数字が間に入ることを意識した説明です。この説明に子どもたちも納得です。
「15」のカードも同様に貼っていきます。
「5」「10」「15」のカードが貼られたとき,「5ずつ増えている」という数の変化の決まりに目を付けた声も聞こえてきました。

その後,七並べと同じように4チーム対抗戦で,カードを貼っていきました。子どもたちは,1〜20の数の順番を意識しながら,カードを貼っていくことができました。
たった4チームしかありませんでしたが,貼ることができる数字がなくて何度もパスをするチームもありました。
ゲームを進めながら,数の大小関係や順番を明確にしていくことができました。合計2回のゲームを行いました。

本実践は「板書シリーズ1年上」東洋館出版社に掲載された授業を参考にしています。