2017年10月15日日曜日

佐渡の学校で授業診断&公開授業

先日,私の故郷・佐渡の2つの小学校を訪問しました。どちらの学校も,以前から訪問させていただいる学校です。どちらの学校も,全学級が算数の公開授業を行いました。全クラスが算数の公開授業ができること自体,2つの学校のレベルの高さを物語っています。

全クラスの算数授業を参観しました。以前の授業と比べると,どのクラスの先生方の指導力も向上していました。前回の訪問で指摘させていただいた点が,着実に改善されていました。それにともない,子どもたちの呟きや考え方の質もレベルアップしていました。教師が努力を続けると,子どもの力も確実にレベルアップします。

5年生の子どもたちとの公開授業も行いました。1~5の整数の数字全部と+,−の記号を使って,いろいろな答えの式を作る授業でした。1~15までの整数の答えが全部できると考えていた子どもたちですが,実際に計算すると答えは奇数しかありません。ここで子どもたちから,「だったら6をたせば偶数の答えができる」と素敵な呟きがあがります。子どもたちが場面を拡張したのです。次期学習指導要領が求める「深い学び」の姿が生まれてきました。

そこで,1~6の数字カードで偶数の答えになる式を探します。ところが,何回計算しても偶数の答えになる式はできません。とろこが,「できました」と声があがります。その式を板書してもらいます。すると,その式には5が使われていませんでした。すると,「だったら5を抜いたら偶数ができるんじゃないかな」と,またまた素敵な呟きがあがります。1,2,3,4,6の数字で,再度実験開始です。すると今度は,「できました」というれしい声が次々とあがってきました。ここでも子どもたちが,場面を拡張して考えたのです。そして,それまでできないと考えていた偶数の答えを見つけることができました。

質の高い佐渡の子どもたちと先生方と,算数を愉しんだ2日間でした。

2017年10月4日水曜日

体積が最大の柱体は?

子どもたちに,次の問題を提示します。
「周りの辺の長さの合計が52㎝で体積が最大の柱体を作ろう」
 柱体は,円柱・三角柱・五角柱など様々です。さて,どの柱体の体積が最大になるのでしょうか。

子どもたちは,次のように考えました。
「立方体の体積が最大になると問題集に書いてあったから,立方体が最大だよ」
「そうだね。きっと立方体が最大になるね
ほとんどの子どもたちが,立方体の体積が最大になると考えました。
 
 そこで,子どもたちに具体的な辺の長さをノートの見取り図に記入させました。ところが,52㎝では立方体は作図できません。そこで,子どもたちが次に考えたのは,できるだけ立方体に近い直方体(縦4㎝・横4㎝・高さ5㎝)を作ることでした。なかなか鋭い視点をもっています。

この意見から,次の考えも生まれてきました。
「だったら三角柱も同じようにすればいいね。できるだけ立方体に近いような長さにすれば体積が大きくなる」
 立方体を基準に三角柱もそれに合わせようとしたのです。この見方も鋭いですね。底面が5㎝・6㎝・6㎝,高さ6㎝の三角柱は立方体に似た辺の長さのバランスです。
 この段階でも,多くの子どもたちは直方体の体積が最大だと予想しました。

 そこで工作用紙で2つの柱体を作図します。ペアで分担して作りました。柱体が完成すると,「あれ,三角柱が大きい?」という声が聞こえてきます。実際に作図をすると,三角柱の方が体積が大きく見えたのです。当初の予想とは大きく異なる結果です。予想とのズレを子どもたちが感じた瞬間です。このズレが,この授業の最大のおもしろさです。

 この後,実際に体積を求めます。三角柱も直方体と同じように底面積×1㎝の基準となる体積が,何個分高さ方向に積み上がるのかを考えれば求められます。この計算で求めた体積の確からしさを,子どもたちが作成した三角柱に水を入れて確認しました。

 計算でも水を入れて確認しても,結果は三角柱が大きいことがわかりました。予想と結果を大きく異なった1時間でした。