2021年3月31日水曜日

「算数授業スキルニューノーマル」発刊

 いよいよ「算数授業スキルニューノーマル」が明治図書


から発刊されます。タブレットが全ての小学校に配置されます。タブレットを使えば,これまでの全ての教育問題が解消する…という思い込みが現場にはないでしょうか? 果たして,本当に全ての問題は解決するのでしょうか? 

私は,学校現場のICT化が進むことは,教師の授業力の質の差が露呈することにつながると考えています。ICT化で子どもの考えが見える化できると言われていますが,それは同時に,教師の授業も見える化するということです。見える相手は,子どもだけではなく保護者にも及びます。従って,教師の授業の質がこれまで以上に問われることになるのです。

本書は,ICT化の時代だからこそ,教師の授業の質をより一層高めるポイントを,私のリクルート・スタディーサプリでの動画撮影の経験を織り交ぜながら解説していきます。さらに,本書をご購入いただいた方には,私の授業動画がご覧いただける特典もついています。

お申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-342012-1


本書の目次は,以下の通りです。

はじめに
第1章 なぜその授業動画は学力を向上させ得るのか
1 授業動画だけで東大合格
2 一方向の動画配信でも学力は向上する
3 核心は「授業の質」
4 ALは一方向授業でも実現できる
第2章 教師は俳優になれ! 算数授業スキルニューノーマル基礎編
1 授業は「台本」で決まる
2 台本=セリフ集ではない
3 文字の大きさを強く意識する
4 モナリザから学ぶ教師の視線
5 オーバーなリアクションで一体感を生み出す
6 書くために十分な時間を確保する
7 間のない授業は間抜けな授業
8 動的スキルで子どもを引き込む
9 子どもの目,集中力をケアする
10 とにかく,羞恥心を捨てろ!
第3章 授業の前後,細部にもこだわれ! 算数授業スキルニューノーマル応用編
1 子どもの声で「深い学び」を具現化する
2 自主学習につながるエンディング
3 台本は「8割暗記」で授業に臨む
4 イメトレでレベルアップを図る
5 「先生,見えない」と言わせない
6 不要な場面を削除する
第4章 ビジュアルに解説! 算数授業スキルニューノーマル実践編
2年「たしざん」単元の1時間のオンライン授業動画(キャプチャ画像)を通して,第2,3章で取り上げた授業スキルの実際を見ていきます
第5章 オンライン授業の先に待ち受ける世界
1 オンライン授業が救う子どもたち
2 消える大型予備校の校舎
3 授業動画が保護者の意識を変える!?
4 先生の仕事はチューターに!?
5 生き残る教師の条件
おわりに

2021年3月13日土曜日

分数レポートに挑戦!

 2年生「分数」の学習では,時計と分数をコラボした学習を展開してきました。この学習の後,子どもたちにそれまでに学んだことを「分数レポート」としてA4版の画用紙にまとめる活動に取り組ませました。

子どもたちには,「この勉強をまだやったことのない2年生に伝えるつもりで,レポートを書きましょう」と相手意識を持たせました。

レポート活動は,授業場面を再現する活動です。学習した内容は,発信を行なうことで着実に定着していきます。学力を確実に高めるためには,インプットの後にはアウトプットがセットで必要なのです。レポートは,このアウトプット活動になります。

2年生には初めてのレポート活動でしたが,子どもたちは「楽しい」「おもしろい」「またやりたい」と声をあげてくれました。アウトプット活動の楽しさも,レポートに取り組むことを通して学んでくれたようです。






2021年3月11日木曜日

久々の対面講座開催予定!

 2021年度,対面講座の開始を検討しています。現段階では,次の講座を開催予定です。

5月15日(土)主催:わしょい 会場:兵庫県西宮市(予定)

        新型コロナの感染拡大の際には,Zoom開催に切り替え予定。

6月19日(土)主催:算数を愉しむ会 会場:大阪府池田市(予定)

        新型コロナの感染拡大の際には,延期予定。

いずれの会場も,感染対策を十分に行った上での開催となります。

詳細は,決まり次第お知らせします。久しぶりに,先生方にお会いできることを楽しみにしております。


2021年3月9日火曜日

これって1/4でいいの?

子どもたちといろいろな分数作りをしていたときのことです。右のよ


うにます目を塗り分けて,悩んでいる子どもがいました。

「これって,1/4でいいのかな・・・?」

 

 そこで,この悩みをクラス全員で考えることにしました。先ずは,次のように投げかけます。

「これが1/4かどうかで悩んでいるんだけど,その気持ちは分かるかな?」


 悩みの気持ちの読解をさせました。

「①④は同じ形でしょ。②③も同じ形でしょ。でも,①と②では形が違うから悩んでいる」

「①〜④は全部4ますでしょ。ますの数は同じ。でも,形は違うから1/4でいいのか悩んでいる」


 ①〜④の大きさは,ますを数えることで同じになっていることは分かります。しかし,形は長方形と正方形で異なります。このことが,1/4と考えてもよいのかどうかの悩みの原因にあることが見えてきました。この時点での子どもたちの判断も,「1/4と言えない」「1/4でいい」に分裂しました。

 

 果たして,この分け方は1/4と言えるのでしょうか。すると,子どもたちの中に以前に分数を学習したページを振り返る姿が見えました。


「2月24日の勉強は,『同じ大きさに4つに分けた1つ分が1/4』だった。2月25日も,『同じ大きさに分けた1/21/4などを分数といいます』と習った。同じ大きさだから,これは1/4でいい」

「『同じ大きさ』であって,『同じ形』ではないから,1/4でいい」

「①〜④は全部4ますずつで,同じ大きさになっているから1/4でいい」

 

 分数学習が始まった当初の,分数の定義を子どもたちは見直したのです。その定義には,「同じ大きさ」の表現はありますが,「同じ形」の表現はないのです。この表現にこだわることで,上記の分け方も1/4になることを見つけていくことができたのです。


算数は既習の学びの上に,新しい学びが積み重なっていく教科です。子どもたちが,以前の分数の学習に立ち返り,この悩みの解決策を見つけてきたことは本当に素晴らしい姿です。



2021年3月5日金曜日

『算数授業スキルニューノーマル』明治図書より3月末発刊!

 「教師は俳優でなければならない」と,新採用の頃,先輩教師から何度も指導をされました。これは,授業場面では特に意識することが必要なことです。淡々と授業を展開する教師と,俳優のような動きができる教師,子どもだったらどちらの教師に魅力を感じるでしょうか?

授業作りには教材開発や授業構成などの視点も大切ですが,いざ,授業が始まったら教師としてどのように子どもの前で動けばいいのかを意識することも,子どもの授業に対する意識を高める重要な要素です。

Googleの調査によれば,人間の集中力は9秒しかもたないそうです。そんな子どもたちの集中を切らさないポイントは何かを本書では提案します。

さらに,授業を進めていくと,子どもから学びを深めるきっかけになる言葉が生まれてくることがあります。それが生まれた瞬間の教師の動きも提案しています。

これまでの私の授業経験や,スタディーサプリ(byリクルート)での授業動画撮影経験をもとに,算数授業スキル ニューノーマルを提案します。

今回は,本書を購入いただいた方限定で,私の授業動画の視聴ができる付録も付いています。3月末に刊行予定です。お楽しみに!




2021年3月4日木曜日

こんな1/4もあり?

2年生「分数」学習では,前時までに正方形の中に1/4を作


る方法を考えていました。前回の学習では,「×をくるくるパターン」「直角三角形パターン」の2つの方法が子どもから生まれてきました。


その時,「まだ分け方がある」と声があがったので,本当にまだ他に,1/4の分け方があるのかを,全員で考えていくことにしました。



 当初は,「もう,ない」という声が多数聞こえてきましたが,「縦にすれば簡単」の声をヒントに,左のような縦切り・横切りにすれば,1/4を作ることができることが見えてきました。


2年生の「分数」の学習としては,ここまで様々な1/4が見つけられれば十分に合格点です。

 

 ところが,子どもたちからは「まだ,あります」と声があがってきました。一方,「さすがに,もうないでしょ」という声も聞こえてきます。


「まだ,ある」という子どもから,少しずつヒントをもらいながら,1/4の分け方を考えていきます。


最初に生まれてきたのは,左の分け方です。子どもたちは,「縦切りと直角三角形パターンの両方が入っている」とヒントを出していました。うまい例え方です。


続いて,右の分け方でも1/4が作れると声があがります。しかし,見ただけでは本当に1/4なのか疑心暗鬼の子どももいます。


そこで,実際に各パーツを切り取って確かめた子どももいました。4つのパーツを重ねると,見事ぴったりと重なります。子どもたちも驚きの新バージョンでした。



これまでは,直線だけで分割していました。しかし,今回は途中で曲がった直線で分割しています。こんな分け方でも1/4ができることが見えてくると,子どもの追究はさらに勢いを増します。右のような分け方が,さらに子どもから生まれてきました。

 

また,この日の自主学習では,左のような1/4を作り,折り紙で本当に


同じ大きさのパーツに分割できるのかを実験する子どもが何人もいました。


分数学習は,2年生の子どもたちの心にぴったりとフィットしているようです!





2021年3月3日水曜日

正方形でも1/4はできるの?

2年生の「分数」では,時計型ケーキを使って分数の学習を進めてきました。時計の目盛りを基準とすることで,様々な分数が作れることを見つけてきました。


 そんな子どもたちに,次のように投げかけます。

「時計型ケーキ以外でも,分数はできるかな?」


 子どもからは,「できる」と声があがります。そこで,次のように尋ねます。

「どんな形なら分数ができそうですか」

子どもからは,「三角形」「正方形」「長方形」と声があがります。その中でも,「正方形」は「やりやすい」と考える子どもが多数を占めました。

そこで,正方形の1/4を作ることができるのかを考えさせます。

 

 最初に,右の分割方法を板書してもらいます。確かに1/4
できています。これを見た子どもから,次の声が聞こえてきます。


「まだ,あります」

「えっ,もうないよ」

「丸といっしょだから,まだあるよ」

「時計型ケーキは,最初が十字架で次が×だったでしょ。だから,まだあるよ」

「時計型ケーキは,最初が十字架で次が×。正方形は,最初は×でしょ。だから,次は十字架がある」



 子どもたちは,時計型ケーキで1/4の分割方法を見つけた手順を想起しながら,正方形にも同じ考え方を当てはめられると考えたのです。素晴らしい着眼点です。

 この視点で正方形を分割すると,左のような1/4を作ることができました。時計型ケーキと関連付ける考え方の確かさが証明されました。

 

 多くの子どもは,これ以上1/4の分割方法はないと考えていました。ところが,「まだ,ある」という声が聞こえてきます。ここでも,時計型ケーキの分割方法での考え方が生まれてきます。


「時計では,1分ずつずらすと1/4ができたから,同じように考えればいいよ」

「でも,正方形には目盛りがないよ」

「だったら,1㎝ずつずらしいけばいいよ」


 右のように少しずつ十字架をずらしていくことで,様々な1/4ができることが見えてきました。


 子どもからは,「十字架印以外の1/4も作れる」と声があがりましたが,この時間は時計型ケーキの分割と関連付ける見方・考え方を引き出すことが目的なので,この発想は次回に取り上げることにしました。


 時計型ケーキの分割と正方形の分割のつながりが見えた1時間でした。



2021年3月1日月曜日

中学の数学対策に 高学年のうちに筋道立て考える体験を〜日経DUALLインタビューから

 中学校数学では,小学校の算数と違い,一気に抽象的な世界での学習が始まります。しかし,算数でも数学でも大切な土台は共通しています。それは「論理的に考える力」が土台としてあることです。

では,小学校段階で子どもの論理的な力を鍛えるためにはどのようなアプローチを教師・親は取り組めばよいのでしょうか。

この部分に焦点を当てた私のインタビュー記事が,日経DUALLに掲載されています。興味のある方は,以下のアドレスからお進み下さい。


中学の数学対策に 高学年のうちに筋道立て考える体験を

https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/101900012/021900153/