2017年9月20日水曜日

反比例はエアーホッケーで

エアーホッケーを使って,算数の問題を考えました。
「円形のエアーホッケー盤があります。ゴールに入るまで何本の線ができるでしょうか」
 このエアーホッケーは相手は邪魔しないという特別ルールです。ノートに円を作図します。先ずは,45°でパックを発射した場合を実験します。右端の壁にぶつかったパックは,同じ角度で跳ね返りゴールに入ります。従って,2本の線ができます。この作図は、かなり面倒です。実は、この面倒さを子どもたちに実感させておくことが、後半のきまり発見へとつながる布石となるのです。
 次に,30°で発射した場合を実験しました。30°では3本の線でゴールへと入ります。ここまでの結果から,
「わかった,次は6本だ。だって,45×2=9030×3=90だから」
と声があがります。2つの実験から,線の本数を見つけるきまりを見つけたのです。一方,「もう少し実験しないとわからない」という声も聞こえてきました。たった2つの情報だけで、きまりだと断定するのは速すぎるという指摘です。この視点での意見が生まれることも、すばらしい子どもたちです。

 子どもたちは、前述のきまりを使えば、「15°なら6本になる」と考えました。そこで,15°で発射した場合を作図で確かめます。すると,子どもたちの予想通り6本であることが確かめられました。この結果から,今度は新しいことが見えてきました。
「比例っぽくなっている」
30°の角が÷2になると,本数は2倍になる」
90°で発射すると1本。これを基準にしないといけない」
90°1本を基準にすると,角度は÷2、÷3…となると本数は×2,×3…となっている」
「比例の反対になっている」

 反比例の見方を子どもたちは発見したのです。この学習では、90°でパックを発射する場面を、意図的に教師からは提示していません。それは、子どもに基準となる「1本」の場面を見出してもらいたいと考えたからです。子どもたちは、発射角度と線の本数の積が90になるきまり発見から、「1本」の基準を見つけていくことができたのです。基準となる「90°では1本」が見えてくることで、反比例の見方はよりわかりやすくなります。

「だったら,10°だなら9本になる」
 見えてきたきまりを使って新しい場面を考える声も生まれてきました。

 反比例の見方・反比例の関係を示す文字式など,反比例学習3時間分の見方が,一気に生まれた1時間でした。すばらしい追求力を発揮した子どもたちです。

2017年9月16日土曜日

比例のグラフの必要性を引き出す


子どもたちに次の問題を出します。
「年速5億㎞でボイジャー1号は太陽系の外へ向かって飛んでいます。その7年後,スーパーボイジャーは年速8億㎞で出発しました。スーパーボイジャーが1号に追いつくのはいつでしょうか」

 この問題に出会った子どもからは「速さ?」「比例?」と声があがります。そこで「ボイジャー1号は比例しているの?」と尋ねます。子どもたちは,「比例しているよ」「表を描けばわかるよ」と声をあげます。そこで,表を描いて確かめます。飛行年数が2倍・3倍になると,距離も2倍・3倍になることが分かりました。従って,ボイジャー1号は比例していることが表から分かりました。

 子どもたちはこの表をもとに,「その下にスーパーボイジャーの表を付け足せば,いつ追いついたかがわかる」と考えました。子どもたちは,ノートに表の続きを描いていきます。ところが,「18年と19年の間」「19年寄り」であることは表から分かりますが,正確な部分は分かりません。



年数12345678910111213141516171819
1号(億㎞)5101520253035404550556065707580859095
スーパー(億㎞)000000081624324048566472808896

  
 子どもからは「計算する」「グラフに描く」と2つのアイディアが生まれてきました。しかし,計算に対しては「どうやるの」「大変そう」と声があがります。そこで,簡単そうなイメージのあるグラフで調べることにしました。

 グラフにボイジャー1号とスーパーボイジャーのデータを,折れ線グラフとして描いていきます。2つのグラフの交点が追いついた瞬間となります。正確にグラフを描いていくと,18年と8ヶ月当たりに追いつくことが分かりました。

 2種類のデータをグラフにすることで,計算をしなくても追いつく経過年を見つけることができたのです。グラフの良さを実感することができました。
 比例の学習では,グラフ化する場面が,どうしても教師主導になります。子どもにとっては,グラフにする必要感がないまま,教師の指示でグラフを描かされるだけの展開です。今回は,グラフを使いたくなる展開で授業を進めてみました。