2017年9月7日木曜日

比例と文字式をつなげる


 
 6年生「比例・反比例」の比例場面を,次のようにして導入しました。

 子どもたちに目をつぶらせて「周りの辺は何本あるでしょう」と投げかけました。目を開けた子どもの前に現れたのは,右の図形です。子どもたちは,必死で周りの辺の数を数えます。意図的に,数えにくい形に組み合わせています。
 本数は12本です。

 続いて,右下の図を提示します。周りの辺の数を数えると,本数は18本です。

 この結果を受けて,子どもから
「次も分かる」
「六角形が右に4つ増えるはず」
「4つになったら24本になる」
と声があがりました。ここまで六角形が右側に1列ずつ増えていました。子どもたちは,次はさらに右に六角形が4つ分増えると考えたのです。目の前の対象場面を拡張して考えることは,とても素晴らしい見方です。

 そこで,六角形が4つ増えた場合を実験します。辺の数は,子どもたちの予想通り24本となりました。この結果に子どもたちは,大喜びです。それと同時に,今度は
「6ずつ増えている
「全部6×1,6×2,6×3の式になっているよ」
「だって,最初は六角形が1つでしょ。その時は,周りは6本でしょ」
「だから,全部6の段のかけ算になっている」
と声があがってきました。
 子どもたちは,辺の本数を式化できると考えたのです。6×1は,六角形が1つの場合の辺の数を求める式です。六角形が1つの場合の図は,私は意図的に提示していません。ところが,子どもたちはその場合も自分たちで取り上げて,式化へと導いたのです。
 さらに,
「これって言葉の式にできる」
「6×X=yになるよ」
と,文字式とつなげる声もあがってきました。6年生で学習した文字式とつなげる声が子どもから生まれてきたのです。教科書などでは,「比例の関係を式にしましょう」と教師側から指示することで,文字式を使わせる展開が見られます。ところが,前述のような手順で教材を提示することで,子どもから文字式を使う視点が生まれてきました。




 また,「比例になっている」という声もあがりました。
「表に書くとわかる」
「列が2倍,3倍になると,辺の数も2倍,3倍になっているから」
と,表を使った説明も続きました。2つの関係を,教師の指示で表にまとめる展開もよく見られる実践です。ところがこの授業では,表にまとめるアイディアも子どもたちから生まれてきました。

 「比例」の学習で子どもたちが獲得すべき内容が,一気に1時間の中で生まれてきた授業となりました。