2023年12月1日金曜日

折り紙と人はたせない

 次の問題文を提示します。

「5人の子どもがいます。青の折り紙を1枚」

ここまで板書したところで,子どもたちが次々と声をあげます。

「折り紙と人はたせないよ」

「10月19日に,似た勉強をしているよ」

「単位が違うからたせないよ」

「この問題はだめだよ」

ここまでの問題文には,「人」と「枚」の2種類の単位が登場します。子どもたちは既習に立ち返り,この問題文では計算できないと考えたのです。問題提示の途中であるにもかかわらず,既習を活用して考える姿に脱帽です。

その後,「この後の文を見ないと,まだ分からないよ」という声もあがります。そこで,その後の問題文を提示します。

「ずつ配りました。4枚あまりました。青い折り紙は,はじめに何枚ありましたか。」

今度は,「まず,図を描いたらいいよ」「式は難しい」と声があがります。これも前時の考えがベースになっています。

そこで,図を描いてみることにします。これは,板書のような図が完成します。この図から,折り紙は9枚あったことが分かります。

続いて,式はできるのかを考えます。子どもからは「5+4=9」という式が発表されます。この式表記は全員納得です。しかし,式が示す数値の意味を本当に理解しているのかは,この段階ではあやふやです。

そこで,「式の5は,図のどこに見えますか」と尋ねます。すると,この反応にズレが生まれました。子どもの5と折り紙の5です。果たしてどちらの5なのでしょうか?

「子どもじゃないよ。それじゃあ,単位が違うよ」

「人と枚はたせない」

「子どもは人で,折り紙は枚。単位が違うからたせない」

「枚と枚ならたせる。だから,5は折り紙の5」

「同じ単位しかたせないんだよ」

授業冒頭で,異なる単位はたせないとの声があがりましたが,式と図を関連付ける場面で,彼らの理解が不十分であったことが見えてきました。やはり1年生は,類似場面を通してスパイラルに学習を進める必要があります。

それにしても,既習を子ども自身が活用しながら問題場面を乗り越えていったすばらしい学びの姿が見えた時間でした。25分ほどの算数の一コマでした。