「答えが14になる問題を作ろう」と投げかけます。これと同時に,次の声が生まれてきました。
「昨日と同じだ」
「同じもの同士じゃないと,たせないよ」
「種類が同じじゃないとたせないよ」
「種類が違うとたせなかったね」
前の学習では,単位と種類の異なるものはたせないことを学習しました。その学習が,子どもたちから自然に想起されてきました。既習学習とつなげるよき見方が生まれてきました。
その後,問題作りに各自で取り組みます。多くの子どもは「車が7台止まっています。7台きました。合わせて何台ですか」のような,「種類」と「単位」を意識した問題を作りました。
さて,子どもたちが作った問題文の中に,Y子が作ったおもしろい問題がありました。その問題文を,Y子に読んでもらいます。
「Kさんと遊んでいました。そこに,12人やってきました。全部で何人になりましたか。」
問題文は板書しません。耳だけで聞いて,式を発表させました。子どもから生まれたのは,「12+1」「1+12」「2+12」「4+10」「1+13」とバラバラの式でした。さて,一体どの式が正しいのでしょうか。
「Kさんと遊んで12人来たから,1+12だ」
実は,このように考える子どもたちが半数以上いました。耳だけの情報で判断することは,1年生には難しいのですね。その後,次の声があがります。
「『Kさんと遊んでいました』と言ってたよ。だから2人だよ」
「『と』があるからKさんとYさんの2人だよ」
問題文に含まれる「と」の一文字に着目できるか否かで,式が異なるのです。その違いを指摘した声です。この声を聞いた子どもたちからは,「そうか」「そういうことか」と納得の声が聞こえてきました。
一般的な問題文は,「子どもが2人遊んでいました。あとから子どもが12人やってきました。全部で子どもは何人になりましたか」のように,問題場面に必要な情報が数値として提示されています。ところが,Y子が考えた問題文には「2人」という数値表現はないのです。しかし,文意を読み解けばそこに「2人」という数値が隠れていることが見えてきます。
問題作りを通して,子どもの発想の柔軟さに驚いた1時間となりました。