2023年10月13日金曜日

計算練習に目的を持たせる

 「繰り上がりのあるたしざん」学習も3時間目です。

子どもたちに「いろいろな計算にチャレンジしよう」と投げかけます。1問目は「9+3」,2問目は「8+4」の計算に取り組みます。加数分解で計算することに,子どもたちは便利さを感じています。今回も加数分解で2つの問題に取り組みました。

2問目の計算に取り組んでいる中で聞こえてきたのは,「また12」という声でした。そこで,この声の意味を読解していきます。

「また同じ答えの12になった」

「9+3も8+4も同じ答えだ」

「同じ答えになる秘密が分かりました」

「1個増えて,1個減っている」

この声は,演繹的な世界に子どもたちが入りかけたことを表しています。しかし,この演繹の世界は1年生にはハードルが高いのが現実です。そこで,この部分は時間をかけてゆっくりと進めました。

「1減って,1増えたから答えは同じになっている」

「1減るのは,9から8」

「1増えているのは,3から4」

「だったら次は,7+5になる」

「次は6+6になる」

「5+7,4+8,3+9になる」

たされる数とたす数の関係を読解していく中で,子ども自身が対象場面を拡張していく声が生まれてきました。演繹的な世界から類推的な世界へと範囲が拡張していきました。

さて,子どもたちは答えが同じになる式の範囲を拡張して考えていきました。しかし,この段階ではまだそれは仮説の範囲です。前述の決まりが一般化できるかについては,半数ほどの子どもはまだ懐疑的でした。そこで,「7+5」「6+6」の式で実験をしました。その結果,答えが同じ12になることが分かりました。

その後も,次の声があがります。

「9+3と3+9は反対になっても答えは同じ」

「8+4と4+8も反対」

「7+5と5+7も反対」

「6+6と6+6も反対」

同じ答えになる式表記の関係性について気が付いたのです。

この時間は計算練習することが目的の一つでした。しかし,機械的にそれを行っても子どもは単にやらされているだけの時間になってしまいます。前述のような仕掛けを取り入れることで,計算練習に目的意識を持たせることができるのです。目的意識を持たせることができれば,計算自体を子どもが作り出していく展開へとレベルアップしていくこともできるのです。