「ひきざん⑵」の第1時間目です。「折り紙が□枚あります。その内の9枚使います。何枚残っていますか」と問題を提示します。これだけで,子どもは動き出します。
「□は9より大きいよ」
「□が9だと残らないから,9はだめだね」
「問題に残るって書いてあるからね」
問題文をよく分析できる子どもたちです。問題文から,使えない数字を選択してきました。
その後,「□がどんな数だと簡単ですか」と尋ねます。子どもたちは,10を選択します。その理由を説明します。
「10は簡単」
「中途半端じゃないから」
「10はぴったりの数だから」
「10じゃないと,少し面倒」
「たし算は10を作った」
「でも,それはたし算だよ。今は引き算だよ」
簡単な数値を考える問題から,子どもたちは難しい数値になった場合の解き方へと考えを発展させていきました。そこで生まれてきたのが,たし算で10を作って計算した学習です。よき関連付けができました。
しかし,たし算とひき算は,真逆の計算です。果たして同じように計算ができるのでしょうか?
そこで,□に12を入れて実験します。「12−9」の中には10は見えません。すると,A男が両手の指を10本立てて,次にその指の中の9本を折って1本だけを立てる動きをしているのが見えました。そこで,この動きをクラス全員で読解していきます。
「最初に10を作る」
「次に9を引く」
「だから,残りが1になる」
12−9の中に,10−9が見えることを表現した動きをA男はしたのです。12−9のどこに,10−9が見えるのでしょうか? 今度はこの意味を尋ねます。
「12の中に10がある」
「その10から,ひく数の9を引くと1になる」
「まだ12の2が残っているから,さっきの1とたす」
「10−□にしたら簡単に計算ができる」
「それなら13−□でも簡単にできる」
たし算で10を作った学習が,形を変えてひき算にも活かされることができました。さらに,この考え方を使えば,他の計算も同様にできるというアイディアも生まれきました。
その後も,様々な式で10と作るアイディアの汎用性を実験していきます。最後は,この計算方法には「バナナ算」という名前が付きました。バナナ算で繰り下がりのある引き算の計算を次々と実験を進めた1時間でした。