教室を2つに分けて,「大きい方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。
代表の子どもが前に出てきて,箱の中に入った数字カードを見ないで1枚引きます。両者の答えが大きいチームが1ポイントゲットというルールです。
最初の子どもが,「2+7」のカードを引きました。それと同時に,「オー」「あと1個」という声がたくさん聞こえてきました。引かれた計算カードを見て,子どもたちは何かを感じたのです。
そこで,「オー」「あと1個」の意味をクラス全体で共有していきます。
「大きい数だよ」
「勝てそうだから『オー』と言った」
「9はあと1個で10になる」
「だから,10を引かないと(反対のチームは)勝てない」
子どもたちは,1〜10の数字の配列の中で,9がどの位置にあるのかをイメージしながら説明を進めていきました。このような見方を価値付けます。すると,同様の見方が,次のゲーム場面でも表出されます。
次のゲームで,先攻のチームが「2+5」のカードを引きました。すると今度は「あー」「10より少ない」などの声が聞こえてきました。これらの言葉の意味を共有していきます。
「7は10よりも少ない」
「10よりも3つだけ少ない」
「答えの7より少ない数は,6,5,4,3,2,1だよ」
「待って,1はないよ。1+0は入っていないから」
「7より多いのは3個,少ないのは5個だから(先攻チームが)勝てそうだ」
7という数字を基準にして,その前後にはいくつの数があるのかを具体的に指摘していくことができました。
このように子どもたちは,計算カードが引かれるたびに様々な思いを呟きます。これらの声を共有化していくことで,数の大小関係や問題場面の先を予想する姿などが育っていきます。
このゲームは4対3という結果でしたが,子どもたちは「(3回戦で)引き分けがあったから,引き分けいいんじゃない」「そうだよ,引き分けでいいよ」と平和主義の思いを披露して授業を終えることができました。優しい子どもたちです。