「これは増えるお話だ」
「だって,大きい入れ物に金魚がいる。前のたし算に似ている」
「でも,合わせるお話とは違うよ。だって最初に水槽に金魚が入っているから」
「だから合わせるじゃなくて,増えるお話だね」
合併と増加のたし算の違いを,ジェスチャー表現を使いながら説明を進めていきました。既習を関連付けるよき見方が生まれてきました。
その後,動画の続きを提示します。右の画像です。「やっぱり」
「増えるお話だ」
子どもたちは,前述の話からつなげて説明を進めていきました。
2つ目の動画を提示します。この動画もイチゴが増える話でした。「最後の絵を見せるよ」という私の言葉で,「だったら次が違うお話だ」と子どもたちが声をあげます。違うお話を探すことが,当初の問題です。ここまで2問は「増える」タイプでした。そうなれば,次が異なるタイプになるはずです。子どもたちは,この場面でも論理的に考えを進めてきました。
3問目の動画は,木に止まっていた5羽の鳥のうち,2羽が飛んでいく内容です。動画を見た子どもたちが話をします。「ほら,やっぱり」
「減ったよ」
「最初に5羽いました。そして2羽飛んでいきました。3羽になりましただね」
これらの説明と同時に,子どもたちが頭上に両手をあげ,その後片方の手だけを下に下げるジェスチャー表現をしていました。しかも動かない手は3本指,動いた手は2本指を立てています。鳥の数と動きを手で表現しているのです。
「この前の反対だ」
「ワニの動きの反対だ」
増える学習では,その増加の動きをワニの口のようにジェスチャー表現を行いました。今回はそれとは真逆の動きになることを,子どもたちはジェスチャー表現を行いながら説明していきました。たし算もひき算も,ジェスチャー表現を使うことでその意味をよりよく理解を深めていくことができます。
授業はその後,ひき算の言葉や式を教え,他の絵でもひき算を使うことができるのかを考えました。右の「5-2」になる問題場面では,子どもたちの次の声があがります。「あれ,また5-2だ」
「さっきの鳥も5-2だった」
式が3問目と同じになることに気付いたのです。そこで,「式は5-2しかないんだね」と私が投げかけます。すると,ここでさらに話し合いが続きます。
「式はもっとあるよ」
「だってたし算だって,たくさん式があったよ」
「だからひき算も式はたくさんあるよ」
「でも,5+6はできても5-6はできないから,ひき算はそんなに多くはないよ」
「たし算の半分くらいかな?」
ひかれる数とひく数の大小関係への気付きから,ひき算の総数がたし算よりも少なくなりそうだと推測する声まで生まれてきました。これには私もびっくりしました。1年生でも,ここまで考えられるのですねえ。
本実践は,東洋館出版社「板書シリーズ1年上」を参考にしています。