次期学習指導要領から,「データの活用」領域が新設されました。その中で,データを批判的に見ることが重視されています。これまでにも,6年生の「資料の整理」単元の中で同様の授業が行われてきたことがあります。ただ,それらの多くはデータを批判的に見させる授業でした。子どもがデータを批判的に見たくなる展開は多くはありませんでした。子どもが,データを批判的に見たくなる授業を考えてみました。
ブロック飛ばしゲームに取り組んだ子どもたちに,次のように投げかけました。
ブロック飛ばしゲームに取り組んだ子どもたちに,次のように投げかけました。
「ブロック飛ばし『1組は弱い』という2組の主張は正しいか」
1組のゲーム結果は,右の柱状グラフの通りです。刺激的な問いかけに子どもたちは大興奮です。子どもたちは,「両方のクラスの平均を比べればわかる」と考えました。そこで,1組の平均値を求めます。1組の平均は53.1点でした。続いて,2組の平均を発表します。2組は44.1点です。この結果に,子どもたちは「やったー」と大喜びです。平均値では,圧倒的に1組の勝利です。ではなぜ,2組は「1組は弱い」と主張したのでしょうか。その理由を考えます。子どもからは,次の声があがってきました。
「最頻値と最大値が違うんじゃないかな」
「最頻値が高い」
「最頻値が高い」は絶妙な言葉です。しかし,難解な言葉でもあります。この意味をじっくりと共有します。その過程で,新たな予想もあがってきます。
「最頻値が1組よりも高い95点。でも,0点台の人も多いんじゃないかな」
さて,結果は子どもたちの予想通りでしょうか。2組のデータを1人ずつ提示していきます。95点→95点→95点→95点→…と次々と95点カードが登場します。1組の最大値は90点で1人です。「やばいほど多い」と声があがります。このままでは,2組圧倒的勝利です。しかし,子どもたちは「でも,きっと0点がたくさんいる」と先を予想します。その後もカードを貼っていきます。