「チョコレートは横に何個並んでいるでしょう」
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「縦に7個並んでいる」
子どもたちは声をあげます。それと同時に,「全部の数を知りたい」という声が聞こえてきます。そこで,この声の意味を共有していきます。
「全部の数が分からないと,横は分からない」
「全部が分かれば,縦が7個だから何列かかけ算でわかる」
子どもたちは,全部の数が分かれば計算で横のチョコレートの数が分かると考え始めました。そこで,どんな式が頭に浮かんだのかを尋ねます。
「全部÷7」
「□÷7=横の数」
「別の式もあるよ。□×7=全部」
3年生「□を使った式」のポイントは,子どもが□を使って考えたくなる瞬間をどう引き出していくかです。子どもたちは,この場面で□を使って式化を考え始めました。
ところで,「□÷7=横の数」と「□×7=全部」の式は,□を両者使っているものの意味が異なっています。また,□を使う式自体の意味が十分に納得できない子どももいました。
そこで,次のように投げかけます。
「□×7=全部の意味はわかるかな?」
式の意味の共有化を図ったのです。子どもたちが説明します。
「チョコレートの横の数が分からないでしょ。だから,分からない横の数を□にした」
「例えば,□が10だとするでしょ。そうすると,10×7=70という式の意味になるんだよ」
「そういうことか!」
□は未知数です。しかし,これが子どもには難しいのです。そこで,□に10を試しに入れて説明をしたのです。1つの具体的数値が入ることで,子どもたちには□×7=全部の意味が見えてきました。未知数を□にして式を作ることは,3年生の子どもには大人が思っている以上に難しいのです。
次に「□÷7=横の数」の意味を共有します。
その後,子どもたちは「□×7=全部」の式に対して,次のように声をあげてきます。
「全部の数であまりがでると困る」
「7の段の九九の数じゃないとだめだよ」
「例えば49個ならできるよ」
ここでも子どもから具体例が出てきました。曖昧な場面を明確化していくために,具体例をあげて説明できる力は,算数では非常に高度な思考方法です。すばらしい子どもたちです。
そこで,全部の数が49個なら横の数が何個になるのかを考えることにしました。
「式は□×7=49になります」
「□を求めるために,49÷7=7だから,横は7列です」
横の列を直接求めるには,「49÷7=横の数」で考えます。しかし,問題場面をそのまま式で表現すると,「□×7=49」と考えます。
情報を一部隠して提示することで,□を使って式化したくなる気持ちを引き出すことができた1時間でした。