2022年9月9日金曜日

体積が大きいのはどれ?

 周りの辺の長さの合計が同じ3つの立体を提示します。「体積が一番大きいのはどれ」と投げかけます。

提示したのは,直方体・三角柱・四角柱(菱形)です。まずは,直感で判断をさせます。多くの子どもは,「3つとも同じ」と考えました。一方,直方体と四角柱は同じで三角柱は小さいと考える子どももいました。

なぜ,三角柱の体積は小さいと考えたのでしょうか?

「三角柱は,四角柱を半分にするから,体積は小さくなる」

「辺の長さの合計は同じ。でも,底面の三角形の面積は底辺×高さ。高さは三角形の辺の中になるから,外の辺より短くなる。同じ長さの辺なのに,内側の高さは外の辺より短くなるから長さの損をしているから,体積は小さくなる」

なるほど!子どもらしい発想です。

一方,次の声もあがります。

「直方体が一番大きい。底面の長方形とひし形を重ねたとすると,ひし形は長方形の中に入るから,体積は小さくなる」

「本当にひし形は長方形の内側に入るの?」

底面の大きさで比較しようという発想です。しかし,この時点では長方形がひし形よりも大きいかははっきりとはしません。

すると子どもたちは,直方体と四角柱の底面の大きさを比較したいと考えました。そこで,2つの立体の底面を重ねてみます。すると飛び出す部分と引っ込む部分があることが分かりました。これらが凸凹が相殺されるなら,体積は同じになるのではと子どもたちは考え始めます。

最終的な子どもたちの考えは分裂したままでした。意図的に具体的な辺の長さを提示しないことで,子どもたちは深く考えていくことができました。25分間の体積授業の導入場面でした。