6年生「速さ」の学習の終盤に,次の問題を子どもたちに提示します。
「45㎞離れた町まで車で往復しました。行きは時速30㎞で走り,帰りは時速50㎞で走りました。往復の平均時奧は何㎞ですか」
問題に出会った子どもたちは,「こんなの簡単」と自信満々でした。子どもたちのノートには次の式が書かれていました。
「30+50=80 80÷2=40 答え 40㎞」
この式を板書します。式を見つめたほとんどの子どもたちは,「当たり前」という表情をしています。「だって,時速30㎞と50㎞なんだから,合計して2でわれば平均だよ」と考えています。
ところが,「違う」という声があがります。しかし,「なにが違うの?」と声があがります。2つの時速を合計して2でわることに疑問を呈すること自体が不可解なのです。
この声に対して,「違う」という違和感をもつ子どもたちが主張します。
「時速30㎞は長い時間がかかる。50㎞は短い時間で済む。時速だけじゃなくて,時間もバラバラになっている。だから,そのまま平均にできない」
「時速30㎞は1時間で30㎞進む。時速50㎞では1時間で50㎞進む。さっきの計算では,進む距離が違っているのに,そのまま時速をたして2でわってはだめ」
最初の式に違和感をもった子どもたちの説明で,少しずつその違和感が共有されていきます。その後,テストの平均の話題が出てきました。次のような説明です。
「これってテストの点数と同じだよ」
「200人で平均点80点のテストと,2人で平均点40点のテストは平均60点じゃない」
「人数も平均点も違う。人数が同じならいいけど」
「そうか! 時速とかかった時間の2つが違うからそのままたして2でわるのは変なんだ」
「そうか! 時速とかかった時間の2つが違うからそのままたして2でわるのは変なんだ」
テストの例示は,イメージがつきやすかったようです。子どもたちの理解が,一気に深まりました。
正しくは次のようになります。
「45÷30=1.5 45÷50=0.9 1.5+0.9=2.4 90÷2.4=37.5 答え 37.5㎞」
難しい問題場面でしたが,シンプルな例とつなげて考えることで違和感の原因を突き止めることができた1時間でした。