算数の時間,「隠れた数はいくつ」と尋ね,かけ算九九表の一部を隠します。
最初に見せたのは右の表です。子どもからは「簡単」と声があがり
ます。
見えた数をノートに書かせます。「4と6」が隠れていますが,今回はその合計数を求めることにします。
すると,答えは「10」となります。
続いて,左の表を見せます。答えは「15」になります。すると,子どもから「5の段」という声が聞こえてきます。隠された数字は,2の段と3の段です。ところが5の段の話題が子どもからは生まれてきたのです。そこで,なぜ5の段の話題をしているのか,その理由を尋ねます。
「だって,4と6をたすと,10でしょ。これは,5×2の
答えと同じ」
「次に隠れていた6と9をたすと,15でしょ。これは,5×3の答えと同じ」
「だから,その隣も隠れたら8と12で,それを20でしょ。これは,5×4の答えと同じ」
「2と3の段をたすと,5の段ができるんだよ」
この発見をきっかけに,子どもたちの追究の視点はさらに広がっていきます。
「他の場所もそうなっているよ」
「8(2×4)と12(3×4)で20だから5×4で5の段だ」
「10(2×5)と15(3×5)で25だから5×5で5の段だ」
これまでに子どもたちが見えていた2の段と3の段の隠された世界を,他の2の段と3の段にも広げていく見方が生まれていきました。
さらに,次の見方も生まれてきました。
「だったら,他の段でもできるよ」
「3の段と4の段なら,7の段ができるよ」
「3(3×1)と4(4×1)で7だから7×1で7の段だ」
「1の段と2の段なら,3の段ができるよ」
「4段と5の段なら,9の段ができるよ」
「離れていてもできるんじゃないかな?」
「1の段と5の段なら6の段になるよ」
「1(1×1)と5(5×1)で6だから6×1で6の段だ」
「6段と8の段なら,14の段ができるよ」
複数の段を合体することで,新しい算を創り出すことができるが見えてきました。子どもは,きまりを見つけること,そしてそのきまりを活用して新しいものを見つけることが大好きです。その一端が顕著に見えた1時間でした。
本実践は,「板書で見る全単元・全時間の授業3年上」(東洋館出版社)に掲載されたものを修正して追試したものです。「板書で見る全単元・全時間の授業」シリーズは使えますよ!