算数の時間,次のように子どもたちに投げかけます。
「1年生でも安全な歩き方で1分間歩きます。どれくらい進むでしょうか」
先ずは,進む長さを予想させました。「40m」「60m」「20m」「30m」「70m」と子どもたちの予想はバラバラです。60mの予想には「進みすぎ」と声があがります。
子どもからは「歩いて調べてみたい」と声があがります。そこで,「入学してから一度も廊下を走ったことのない人に代表で歩いてもらいます」と投げかけます。すると数人の子どもの手があがりますが,周りからはブーイング。さすがに一度も走ったことのない子どもはいません。
走った経験の少ない代表の子どもに,実際に廊下を歩いてもらいます。3階廊下の端(トイレ側)からスタートして,1分後には4年教室脇まで進みました。「こんなに進むの!」と子どもたちはびっくりです。さて,実際の長さはどれくらい進んだのでしょうか。
想定よりも長く進んだことで,子どもたちは「どうやって長さを調べたらいいんだろう」と考えます。「みんなの持っている定規をつなげばいいよ」などの声があがります。しばらくすると,筆箱の中からくるくる巻かれた紙テープを取り出し,「この1mの定規があればいいよ」と声があがります。2年生で1mの紙テープを作ったのです。そのときの紙テープを,きちんと筆箱にしまっていたのです。とても素晴らしい子どもの出現です。この気付きをきっかけに,子どもの声が続きます。
「1mをつなげば30㎝定規よりも正確にできるよ」
「その方が,30㎝定規をつなげるよりも簡単」
効率的な調べ方のアイディアが生まれてきました。そこで,列ごとに協力して歩いた長さを測定することにします。すでに1m紙テープがない子どもたちが多数でしたので,各列に3〜4本の1m定規を配布しました。しかし,実際に測定を始めるとそれだけでは足りません。子どもたちは1m定規を交互に動かすなど工夫をしながら長さの測定を進めました。
各列の測定結果は,次の通りになりました。
① 47m53㎝4㎜ ② 47m94㎝ ③ 44m62㎝5㎜
④ 49m50㎝1㎜ ⑤ 45m60㎝6㎜ ⑥ 45m78㎝7㎜
この結果を見た子どもからは,「全然違う」「もっと正確に測りたい」と声があがります。すると次のようなアイディアが生まれてきました。
「もっと長い10m定規がほしい」
「10m定規なら4回か5回で測れるから簡単だよ」
「一気に測れるから簡単そうだね」
1m定規は短すぎて手間が掛かりすぎることへの気付きです。いいところに視点が向かっていきました。もっと長い定規を使えば測定にズレが生まれないのか・・・。巻き尺につながるよいアイディアが生まれてきました。さて,実際の測定は次回のお楽しみです。