子どもたちに「大きい方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。
クラスを半分に分けます。代表の子どもが前に出て,順に裏返しに貼られた数字カードを表にします。カードは全部で10枚。0~9の数字が書かれています。その数字を,「□.□」に入れます。一の位,小数第一位のどちらに入れるのかは,チームで相談して決めます。
1回戦を行いました。消防チームは4,救急チームは0を引きました。両チームとも,数字カードを小数第一位に入れました。
そこで,「0を小数第一位に入れた気持ちはわかる?」と尋ねます。子どもたちは,次のように考えました。
「もし一の位に入れたら,0.□になって小さくなる」
「もし次に9が出たとしても,0.9では負けるよ」
「0.□にしちゃうと,もう何が出ても負けちゃうよ」
「だって,数字カードは同じのはないんだから,消防チームはもう0は引かないでしょ」
「もう何が出ても負けちゃう」は,見えている数字と見えていない数字とをつなげて,論理的に考えた説明です。この説明を,ペア説明で確認し,ノートにも再現させました。論理的思考力を培うためです。
その後,ゲームを続けていきます。救急チームがカードを引く前に,「次に何が出てほしい」と尋ねます。子どもたちは,次のように考えていきます。
「9が出てほしい。9.0になるから」
「9が出れば,消防チームが8を引いても勝てる」
「8.4と9.0だから9.0が大きい」
小数の大小比較が,本時の目標です。すでに子どもたちは感覚的に小数の大小比較はできています。しかし,その感覚を数学的に整理していくために,次のように尋ねます。
「一の位は救急チームの9の方が大きいけど,小数第一位は4の消防チームが大きいよ。だから,1勝1負で引き分けじゃないの?」
すると,子どもたちは次のように説明してきます。
「違います。一の位が大きい方が勝つんだよ」
「前に,一の位と十の位の数字でゲームをしたでしょ。その時は,十の位を見れば大きい方が分かったでしょ。それと同じで,これも大きいくらいの一の位を見れば大きい方が分かるんだよ」(K子)
K子の説明は,既習の整数の大小比較と小数の大小比較が同じだと考えた説明です。対象範囲を拡張して考えていくすばらしい見方・考え方が生まれてきました。この見方・考え方を大いに価値付け褒めます。
実際にカードを引くと,5.4対3.0で消防チームの勝ちとなりました。
2回戦以降は,子どもたちに「同じ数字カードは1枚しかなかったけど,このルールで続けますか。それとも,2枚ずつに変えますか」と尋ねます。ゲームとしての面白さは,後者の方が上です。子どもたちも後者のルール変更を希望しました。
後半は,新しいルールでゲームを重ねながら,小数の大小比較を楽しんでいきました。