2023年7月18日火曜日

線対称の感覚と式

 子どもたちに次のように投げかけます。

「鏡の形を作って,式に表そう」

ノートの真ん中に縦線を引きます。その左側に正方形を1個貼ります。それと同じ形が線の右側に映ったとしたら,どのような形ができるのかを考えます。所謂,線対称図形の対称の軸に対する反対側を考えさせる問題です。本来は6年生の内容ですが,線対称の感覚自体を引き出し,見える化していくことは1年生でも可能です。

さて,単に図形を鏡状に作って遊ぶ学習は以前にもしています。子どもたちは,以前のノートをふり返り,「前にもやった」「6月29日にもやった」と前の学習と関連付けることができました。「ふり返り」とは本来,このように子どもたちが自然に既習をふりかえる姿を引き出すことを意味します。

さて,最初は1個の正方形を縦線の左側に貼ります。鏡に映る右側を考えさせます。これは簡単です。その後,正方形1個を1点としたら,鏡に映った図形全体は何点になるのかを考えました。この問題は「1+1=2」となります。

2問目は,縦線の左側に正方形を2個貼ります。同様に縦線の右側を考えさせます。これも簡単です。式は,「2+2=4」となります。この式が見えた時点で子どもたちが動き出しました。

「階段になってる」

「(たされる数が)1ずつ増えている」

「答えが2個ずつ増えている」

「2,4,6,8になってる」

「次は6になる」

「+1,+2があったから,次は+3かもしれないから,答えは7かも」

子どもたちは,たされる数や答えに関数的なきまりを見つけてきました。また,そこから類推的に考え,この後の問題場面にも対象範囲を広げて考えていくことができました。

多くの子どもたちは,次の問題も答えが2個増えて「6」になると考えています。一方,前述の通り「7」になると考える子どもも一部にはいました。子どもたちの考えに,ズレが生まれました。

そこで,3問目を実験します。結果は,「3+3=6」となりました。たされる数や答えの関数的なきまりが,この場面でも当てはまることが見えてきました。

こうなると,4問目も答えや式が見えてきます。「4+4=8」と子どもたちの予想通りの結果になりました。

すると,「次は5+5で10だ」「でも,これで終わりだよ」「だって,10までしか勉強していないから」と声があがります。子どもたちは学習範囲もしっかりと理解しています。びっくりです。

さて,5問目の図形は子どもたちに自由に考えさせることにしました。個別最適化に当たる部分です。子どもたちのノートには,様々な図形が作図されました。しかし,どんなパターンになっても,結果は「5+5=10」となります。子どもたちが発見した関数的なきまりは,ここでも確かめられました。

線対称の感覚と式と関数的なきまり発見と,いろいろと欲張ってみた授業でした。