2019年7月3日水曜日

ちがいへの気づき

1年生に次の問題を提示します。

「りすが8匹います。雄は3匹です。雌は何匹ですか」

すぐに「5匹」と考える子どももいましたが,首を捻っている子どもの姿も多く見られます。また,「たしざんかひきざんかよくわからない」という声も聞こえてきます。なぜ,たしざんかひきざんかすぐには分からないのでしょうか。その理由を子どもたちは,次のように説明してきました。

「昨日の問題は『残りはいくつ』とあったからひきざん。でも,この問題にはない」
「たしざんなら『合わせていくつ』とある。でも,これにはない」

子どもたちがこれまでに出会ったたしざん・ひきざんにはそれを決定づけるキーワードが問題文の中に存在していました。しかし,今回の問題にはそのキーワードはありません。だから,子どもの多くが演算決定ができずに困っているのです。

そこで,「これは何算かはわからないね」と子どもたちに投げかけます。5匹と答えが見えている子どもたちは,「ひきざん」と声をあげますが,納得できない表情の子どもも多く見られました。なぜ,ひきざんと考えられるのかを説明していきます。

「8+5=13になる。5匹にならないから違う」

消去法での説明です。しかし,これではひきざんに納得できない子どもは理解することができません。
次に生まれてきたのは,りすの絵カード3枚を移動させる説明でした。この動きに対して,子どもがおもしろい説明をしてきます。

「りすが8匹いるでしょ。雄が3匹でしょ。この3匹が逃げたんだよ」

「逃げた」と言いながら3匹のりすカードを動かしました。この動きは,前時までのひきざんの動きと同じです。この動きと言葉から「そういうことか」と納得の声もあがります。一方,まだ首を捻っている子どももいました。「逃げるなんて(問題に)書いてないよ」と声をあげる子どももいました。
違いにあたる部分を「逃げる」という言葉に置き換えて説明したのです。子どもらしい分かりやすい説明です。しかし,全員が理解できるまでには時間がかかりました。しかし,最後は全員が納得できました。

違いの問題を,「逃げる」「帰る」などの言葉を使って,既習のひきざんと同じように考えられることを子どもたちは説明していきました。