3年生の「あまりのわり算」学習も大詰めです。子どもたちに,次の問題を投げかけます。
「40個のボールを6個ずつ箱に入れます。全部のボールを箱に入れるには,箱は何箱必要ですか」
これまで,あまりのあるわり算の学習には十分親しんでいます。すぐに「40÷6=6あまり4」と計算することができます。ここまでは順調です。
箱の数を尋ねます。半数以上の子どもが,「6箱で4個あまる」と答えます。しかし,「それはおかしい」と声をあげる子どももいます。ところが「6箱で4個あまる」と考えた子どもは,「おかしい」と指摘されることが理解できません。「6箱で4個あまる」と考えた子どもも,そうではない子どもにもそれぞれの理由(論理)があるからです。
「6箱で4個あまる」がおかしいと考えた子どもたちが,主張します。
「全部のボールを箱に入れると問題に書いてあるから,6箱ではだめだよ」
「6箱に入れても,まだ4個あるから箱がまだいるんだよ」
問題文の「全部のボールを箱に入れる」に着目することで,箱の数が6箱ではたりないことを説明します。これで,多くの子どもが納得します。ところが,なかなか納得できない子どももいます。7箱であることを納得した子どもたちが,次々と説明します。少しずつ,7箱必要な意味が伝わっていきます。しかし,まだ全員が納得するところまではいきません。そんなとき,K子が「納得できない気持ちが分かります」と声があげます。
「問題に6個ずつ箱に入れると書いてあるから,箱にはボールを6個入れないとだめだと思っているんだよ。4個だけ入れても意味がないと思っているんだよ」
納得できない子どもたちは,K子の説明に頷いています。これが納得できない論理だったのです。この論理が見えてきたことで,新たな説明が生まれてきます。
「全部のボールを箱に入れると問題にあるのに,4個のボールを残したら条件を果たしていないよ」
「4個で箱にすきまができても,ボールを入れないと全部入らないよ」
「4個あまったら条件を果たさないから,あまりをなしにしなければいけない」
「あまりをなしにするから,4個だけでも箱に入れないとだめなんだよ」
あまりをなしにすることで,条件を果たすことでできるという新たな論理的な説明で,全員の納得を引き出すことができました。
子どもの考えにズレがあるときに大切なことは,お互いの考えの論理を共有することです。この部分を曖昧なままで話し合いを展開すると,せっかく生まれたズレによる盛り上がりが失速してしまいます。
互いの論理を共有することで,子どもたちの追求が連続した1時間となりました。