2019年9月9日月曜日

あまりのあるわり算は認められない?

3年生のわりざん学習で,あまりのあるわりざんに意味を拡張する場面があります。この場面,子どもにとってはかなりハードルの高い時間です。大人が思うほど簡単には,子どもは意味の拡張を認めることができないからです。

12人の子どもたちを前に集め,数集まりゲームを行います。
1回戦は,タンバリンを2回たたきます。子どもたちは2人組を作り座ります。全員が座った後,「2人組は何組できたかな」と尋ねます。一目瞭然「6組」と声があがります。それと同時に,「式にできる」「12÷2=6」と声があがります。式化する声が自然にあがってきます。
そこで,「式にできるなんてすごいね」と子どもたちの見方を称賛します。すると,「他の数でも式にできるよ」「3回」「4回」と声があがります。子どもたちは,式化できるタンバリンをたたく回数を発表していきます。

タンバリンを,1回・2回・3回・4回・6回・12回は式にできると説明してきます。子ども自身が場面を拡張して考えていく姿,素晴らしいですね。子どもたちが発表した回数について,1つずつ式を確認していきます。
続いて,「5回はできない」「5回だと2人あまっちゃう」と声があがります。全員が仲間ができる回数と,仲間に入れない回数があることが見えてきました。

ここで子どもから,「5回も式にできる」「12÷5」と声があがります。一方,「なんで?」「だって,12÷3は3×4で答えが見つかる。でも,12÷5だと5×2=10,5×3=15で12にはないからおかしいよ」という疑問の声があがります。あまりのわり算を式化することへの違和感です。それまでに子どもたちが経験しているわり算は,すべてわり切れる計算です。従って,わり切れないわり算を式化することに抵抗感があるのは当然の子どもの論理です。

タンバリンを5回たたく場合を,12÷5と式化しても否かが,子どもたちの問いとなりました。様々な声があがりましたが,子どもたちが納得したのは次の話し合いでした。

「12÷3は,12人いてタンバリンを3回たたくという意味でしょ。だから,これも(5回)も同じで12人いてタンバリンを5回たたくから12÷5でもいいよ」
「12÷3,12÷4,12÷6・・・・・は,全部わる数がタンバリンをたたく数になっている。だから,5回たたくのも12÷5でいい」

子どもたちは,式が表す意味をもとにあまりのあるわり算にもその意味を拡張していきました。この見方は,論理的な見方・考え方です。12÷5と式化することに違和感を抱いていた子どもたちも納得の論理でした。

あまりのあるわり算への意味の拡張は,商とあまりの扱いが話題の中心になりがちです。しかし,式の意味そのものに視点を当てることで論理的に子どもたちが納得する展開を進めることができます。