1年生の子どもたちに,次のように投げかけます。
「12個の飴があります。3個もらいました。飴は合わせて何個になりますか」
子どもたちから,「簡単」「15個」と声があがります。そこで,飴の数は何個になるのかノートに書かせます。この段階では,式を書くことは求めません。式の必要性を子どもがこの段階では感じていないからです。子どもが知りたいことは,飴の総数です。
子どもたちのノートを見て回ります。「15個」という答えの他に,式や図を描いている子どももいました。「式も書いてるんだね。すごいな」「図が描けるの。すごいね」と褒めながら子どものノートを見て回ります。
子どもたちに飴の総数を尋ねます。「15個」と自信満々の子どもたちの声があがります。そんな子どもたちに,「本当に15個なの?」と尋ねます。
子どもたちは,「だから」と言って説明を始めます。
「だから,これはたし算になるでしょ。だから12+3なの」
「12に3をたすと15でしょ」
ここで子どもから,「たし算」「12+3」という式化の考えが自然に生まれてきました。しかし,ここで安心してはいけません。さらに,「12+3は本当に15なの?」と尋ねます。再び,「だから」と子どもたちが説明します。
「だから,12の10がないとして,2と3をたすと5でしょ。この5に10をたすと15」
「最初は,2+3=5。次に,10+5=15」
ここでも式の説明が生まれてきました。子どもたちは,自然に一の位と十の位を意識した説明で,答えが15になることを説明してきました。この後,子どもたちがノートに描いた図でも,答えが15になることを確認します。
この後,「おもしろいことがある」と声があがります。
「12+3=15でしょ。これって反対から見たら,15-3=12になってる」
確かめ算的な見方で式を反対から見たのです。ひき算の発想が生まれたことを褒めます。
子どもたちに,ここでも「15-3は12で本当にいいのかな?」と尋ねます。子どもたちが説明します。
「15の10がないとして,5-2=3でしょ。これに10をたすから,10+3=13」
「あれ,これってさっきのたし算と同じだ」
ひき算もたし算と同じ考え方で計算ができることに気付いた声です。
1時間の授業の中で,位毎に計算するたし算・ひき算の両方の共通点が生まれてきました。子どもの発想は柔軟で素晴らしいですね。