朝学習の短い時間を使って,次の問題を子どもに出しました。
「半径4㎝のボール5個が,箱の中にぴったり入っています。箱の縦と横の長さは何㎝ですか」
教科書などにも掲載されている問題です。教科書では,問題文と同時にボールが入った箱の絵も提示さています。
この問題文を提示した際には,図は提示していません。従って,子どもたちが頭にイメージする箱の形にはズレがあることをこの時に直感しました。そこで,「どんな箱をイメージしているの?」と尋ねます。すると下の写真のような様々な並び方の箱をイメージしていることが分かりました。本当に子どもたちは,様々な箱をイメージするものです。
ボールの並びが決まらないと,縦・横の長さを決定することはできません。子どもたちは,板書にある4パターンの中で,ボールが横に5個並んでいる箱が「横も縦も簡単に求められる」と考えました。そこで,この横向きバージョンの長さを求めていくことにしました。
子どもたちの中には,「横:4×5=20(㎝),縦:4×1=4(㎝)」と式をノートに書いて,満足している子どもたちもいました。
そこで,この式を板書します。子どもからは「えっ?」「そういうこと!」と声があがります。そこで,「この式を書いた友だちの気持ちは分かるかな?」と,式の意味の読解活動を行います。
「半径が4㎝でしょ。ボールが5個あるから,その長さを5倍すれば20㎝になる」
論理的な説明です。しかし,「ちがうちがう」と声があがってきます。
「半径じゃだめです。直径です」
「直径は半径の2倍です。だから,4×2で8㎝にします。その直径が5個あるから8×5で40㎝です」
「だから,縦の長さも違います。これも直径で考えるから,4×2で8㎝。8㎝が1個分だから8×1で8㎝です」
教師はていねいに全ての条件を提示してしまうことがあります。そうではなく,問題場面の条件を一部だけ提示することで,子どもの想像力を培うことにもつながります。