子どもたちに「カレンダーの○○を○○○○」と投げかけ,4月のカレンダーを提示します。
目を閉じさせ,「目を開けた瞬間にカレンダーに囲まれた場所があります。その場所の合計数を求めます」と投げかけます。子どもたちが目を開けた時に現れたのは,右の赤の囲みです。すぐに合計が見える子ども,じっくり計算して合計数を求める子どもと様々でした。全員の合計数は「99」で一致しました。
そこで,求め方を尋ねます。
「3+10+17+4+11+18+5+12+19」
「19+18+17+12+11+10+5+4+3」
などの求め方が発表されました。いずれの方法も少しでも計算を簡単にしようとして式の順番を変えるなどの工夫をしています。
すると「もっと簡単に計算できる」と声があがります。
「カレンダーの横の3,4,5の数字の平均は4」
既習の平均を使った考え方が生まれてきました。この意味をクラス全体で共有します。
「だから横の合計は,4×3=12」
「その下の10,11,12の平均は11だから,合計は11×3=33」
「一番下の17,18,19の平均は18だから,合計は18×3=54。この3つの合計を最後にたす」
この平均の見方をきっかけに,平均が使える場所は,縦方向や斜め方向にもあることが見えてきました。ここから,縦・横・斜めで共通する数は11であることが見えてきます。すると,9ます全体の数は,この平均と11を9倍すれば求められることが見えてきました。
そこで,先ほどとは異なるカレンダーを配布します。カレンダーを見た子どもからは,「あれ」「偶数?」と声があがります。偶数だけで構成された偶数カレンダーです。このカレンダーで,子どもたちは急に不安になります。「でも,最後に2で割ればいいんだ」という声も聞こえてきます。2の倍数で構成されているために生まれた発想です。
偶数カレンダーの赤く囲まれた合計数を求めます。合計数は216でした。求め方は,26×9でした。つまり,4月のカレンダーと同じ方法で計算ができたのです。2で割る必要はありませんでした。
その後,奇数カレンダーを提示します。奇数は偶数と比べると扱いにくいイメージのある数です。しかし,このカレンダーでも4月と同じ計算方法で合計を求めることができました。
ここまでに3種類にカレンダーの合計数を求めてきました。いずれのカレンダーも,真ん中の数(平均値)×9で,その数が求められました。この式の変数に当たる部分は「真ん中の数」です。ここで,「真ん中の数」にあたる部分を「a」「x」などの文字を使って「a×9」という式表現ができることを最後に教えます。文字式の導入場面を,カレンダーを使って学習した1時間でした。