2017年1月23日月曜日

見方を変えるすばらしさ!

5年生「正多角形と円」の学習です。教科書に,次のような問題があります。
「半径2㎝の円があります。その半径を1㎝伸ばした円があります。2つの円の円周の長さの違いは何㎝ですか」
教科書には,二重の円の図が描かれています。

多くの子どもたちは,次の式で答えを求めます。
2×2×3.14=12.56
2+1=3
3×2×3.14=18.84
18.84-12.56=6.28  答え6.28㎝

ところが,次のような式をノートにかく子どもがいます。

①1×2×3.14=6.28  答え6.28㎝

この式を見た子どもたちから,「なんでそんな式になるの?」「1は2つの円の差かな。でも,なんでそれを2倍するの?」と疑問の声が次々とあがります。
子どもたちが,この式を読解していきます。
「大きい円から小さい円を切り取った残りが,答えでしょ」
「大きい円周から小さい円周を引くと,それが1×2×3.14になるんだよ」
「2つの式の最初の2と3は違うけど,残りの2×3.14は同じでしょ。だから,最初の3から2を引く。だから,1×2×3.14だよ」

子どもたちは,図と式を比べて読解していこうとします。少しずつ,式の意味が見えてきた子どもたちが生まれてきました。しかし,まだ半数以上の子どもたちは,首をひねっています。①の式の意味を読解することは簡単ではありません。

ところがここで,次のような説明が生まれてきました。
「円周をまっすぐ伸ばします。大きい円は,3×2×3.14の直線です。小さい円もまっすぐ伸ばします。これは2×2×3.14でしょ。この2本の直線の違いが,1×2×3.14になっている」

この説明で「あー,そういうことか」と納得の声があがりました。それまで子どもたちは,長さの違いを丸い二重の円の状態で考えていました。このままでは,その違いは見えにくいままです。ところが,丸くなっていた円をまっすぐに伸ばし,さらにその直線を上下に並べることで,その差が分かりやすくなりました。円のままでは見えなかったことが,視点を変えて直線状に置き換えることで,見えなかったことが見えるようになったのです。

このような見方は,混とんとしている状況を打破するために有効です。算数の授業では,このような価値ある見方を見出し,価値づけていくことが大切です。