2017年1月28日土曜日

論理的思考を愉しむ



左のような図を子どもたちに,一瞬だけ提示します。そして,「周りの長さはどちらが長いでしょうか」と投げかけます。子どもたちの考えは,「円」「ハート(右側の図)」「同じ」の3つに分かれました。子どもたちには,それぞれ理由があるようです。そこで,その理由を共有することにしました。

 円が長いと考える子どもたちは,「上半分の面積は同じ。下半分の面積は,円の方が広い。面積が広い方が長さも長いと思う」という理由でした。面積と辺の長さに比例関係があるという視点です。とろころが,「周りの長さが24㎝の正三角形と正方形で面積が大きいのはどちらの勉強をした時には,角の数が増えるほど面積が増えたから,その考えは違う」という反論が生まれました。10日ほど前の学習を想起した考えが,ここで生まれてきました。そこでの学びを生かせば,面積と辺の長さには比例関係がないことがわかります。その学習をもとにすれば,先の説明は根拠としては正しくないことになります。しかし,「でもそれは,形が違う物同士を比べているでしょ。今の問題はどちらも円だから,前の勉強は当てはまらないと思う」「円だけの特別な場合だから,面積と辺の関係は当てはまるよ」という更なる反論も生まれてきました。
10日ほど前の学習では,周りの辺の長さが同じ場合の,三角形→正方形→正五角形→正六角形→・・・と形を変えた面積変化を比較しました。辺の長さが同じでも,角の数が増えると面積は増えるという事実を子どもたちは発見しました。とろころが今回の問題は,直径は異なりますが,円だけを対象としています。だから,10日前の学習とは状況が異なる特別な場面であることを主張してきたのです。それぞれの主張に,子どもなりの論理が潜んでいます。
算数で大切なことは,このように論理的に自分の考えを創り上げ,主張していくことです。子どもたちが熱く議論を戦わせました。
 一方,ハートが長いと考える子どもたちは,「ハートの下半分の線はクネクネしている。それを下に引っ張ると,円よりも長くなる」という理由でした。ところが,「円の方が長いんじゃない」という見方も生まれました。
 同じ長さと考える子どもたちは,「円の直径が2㎝だとします。ハートの小さい円の直径は1㎝になる。小さい円を2つ合わせた直径は2㎝。合わせるとどちらも同じ直径になるから,全体の長さも同じになる」という理由でした。直径の長さに視点を当てた見方が生まれました。最終的には,この説明に多くの子どもたちが納得をしました。

 では,本当の長さはどうなるのでしょうか。直径2㎝だとすると,長さはどちらも6.28㎝になります。同じ長さになることが,実験で明らかとなりました。この結果をもとに,「だったら,小さい円が4個や6個になっても長さは同じ」という,場面を拡張した考えも生まれてきました。

論理的に考える愉しさを実感した1時間となりました。