2017年5月10日水曜日

2020年東京オリンピックエンブレムの秘密

算数の時間,「対称図形か調べよう」と子どもたちに投げかけます。

子どもに提示したのは,2020年東京パラリンピックのエンブレムです。これは見た目で線対称らしく見えます。しかし,きちんと調べないとその真偽は分かりません。多くの子どもたちは,エンブレムを構成する大小の長方形の辺の長さを調べ始めました。しかし,長方形はたくさんあります。「大変」「最後まで調べるの?」という悲痛な声が聞こえてきます。確かにこれは,大変な作業です。
そこで登場してきたのは,対称の軸を境に対応する点同士を結び,その長さを測定する方法です。この方法なら,全ての長方形のサイズを調べるよりは簡単です。全員で調べる部分を分担し,対応する点と対称の軸までの長さを測定しました。
結果は,どの部分も同じ長さでした。すなわち,パラリンピックのエンブレムは線対称図形であることが見えてきました。
 
次に,2020年東京オリンピックエンブレムを提示します。見た目では,点対称と考える子どもが多くを占めました。そこで,実際に実験で確かめます。しばらくすると,「これは違う」「重ならない」という声が聞こえ来ました。オリンピックマークは,点対称でも線対称でもないようです。
ところが,「3つに分けると・・・」という素敵な呟きが聞こえてきました。この呟きの意味を,今度は全員で考えます。
「同じマークが3つあるから,3等分する」
「円を3つに分けると120°ずつになる。120°回すと,そのマークが重なる」
「長方形3本の扇形みたいなマークが3個ある。120°回転すると重なるね」
「長方形2本の扇形みたいなマークも3個あるよ。これも120°回転すると重なるよ」
「本当だ! 点対称みたいだ」


 点対称は180°回転します。しかし,東京オリンピックエンブレムは120°回転することで模様が重なります。東京オリンピックエンブレムに隠された不思議な秘密を発見した1時間となりました。